スポーツランドSUGOで行なわれた、ホンダの新型GT500車両『プレリュードGT』のシェイクダウン。走行開始を前に撮影のためパドックを移動していると、バリケードと言わんばかりのたくさんのトランスポーターが目隠し代わりとなっているピットガレージの隙間から、牧野任祐がヘルメットを被って準備をしている姿が見えた。彼は共にこの日の走行を担当した、スーパーGTのチームメイトで先輩の山本尚貴を差し置いて、プレリュードでの初走行という重要な任務を任されようとしていた。
そうして降り出したのが、バケツをひっくり返したような豪雨。まるで牧野の大役就任を祝福するかのようだったが、当の本人にとってはありがた迷惑であったに違いない。元々ウエットだった路面は最悪のコンディションに……それでもプレリュードは走り出した。
「もう『何かあってはいけない』という思いが強すぎて、感動とかしている暇もなかったですね。僕のレース人生の中で、クルマをシェイクダウンする機会はありましたが、今回はなかなか緊張する場面だったと思います。……ただその緊張がなくなるくらいの土砂降りだったので、インスタレーションラップはちょっと大変でしたね」
そう振り返った牧野。豪雨で緊張も吹き飛んだようだが、各メーカーが威信をかけて戦うGT500において新型車両の最初の走行を担当するということは、彼としても貴重な経験と捉えている。「こういう機会に携わらせていただくことはなかなかないと思います。ドライバーとして、本当に素晴らしい経験をさせていただきました」と彼は語った。
そんな牧野の大役については、ホンダGT500の新車開発を引っ張ってきた存在であり、これまでは自らが“走り出し”を担当してきた山本としても、感慨深いものがある様子。山本は、この起用が牧野に対する「ホンダの期待の表れ」だと述べた。
「ここ最近、走り始めは僕が担当していましたが、今回は牧野選手が本当のシェイクダウン、転がしを担当しました。ホンダの期待の表れにもなっていますし、車両はプレリュードになりましたけど、そういったところも含めて時代が移り変わっていく瞬間なのかなと思いました」
「彼がこれからのホンダを引っ張っていくのは間違いないですし、もっと言えば国内のモータースポーツを引っ張っていく存在のひとりになると思います。その経験をひとつ積めたというのは、彼にとってすごく良かったと思います」
一方の牧野からは、先輩からのエールに感化されてか、ホンダ陣営を引っ張るドライバーのひとりとして頼もしいコメントも聞かれた。取材の中で、市販車のプレリュードの印象について尋ねられた牧野は、「本当にカッコいいなという印象があります。確かにデートで使えそうで、欲しいなと思いました」としつつ、こう続けた。
「プレリュードを使ってスーパーGT・GT500を戦うという発表の投稿に対しても、かなりのインプレッションがありました。いろんな方が期待をしてくれているのだと思います」
「そこで僕たちが結果を出したら、もっとカッコいいクルマになっていくと思うので、そうできるように頑張っていきたいです」

