2026年2月、大阪にて「茨城県産業立地セミナー in 大阪」が開催された。
経済産業省の調査で「県外企業の立地件数」8年連続全国1位を誇る茨城県。本セミナーでは半導体産業の第一人者による基調講演や、県・市による具体的な立地メリットのプレゼンテーションが行われ、関西企業の新たな拠点としての茨城のポテンシャルが示された。
全国トップの実績を背景に、さらなる飛躍へ
セミナーの冒頭、茨城県副知事の岩下泰善氏が登壇。茨城県が「県外企業の立地件数」8年連続全国1位であり、さらに過去10年間の累計立地件数、工場立地面積ともに全国1位、設備投資額が1兆円を超えている実績を強調した。

「関西からも日清食品、クボタ、ダイキン工業といった日本を代表する企業に選ばれている」とした上で、労働力不足への対策として、つくばの研究機関を活かしたデジタル人材の確保や外国人材の活用に注力していると説明。「県の担当者が熱意を持って、補助金や規制緩和など皆様の要望を一生懸命バックアップする」と、強力な支援体制をアピールした。
基調講演「半導体産業の今後の展望と期待」
続いて、日本電子デバイス産業協会(NEDIA)会長であり、航空宇宙・熱マネジメント・MEMSのグローバルエンジニアリングメーカー住友精密工業株式会社代表取締役 社長執行役員を務める鶴丸哲哉氏が登壇。
「関西から見た半導体産業の今後の展望と期待」と題して講演を行った。
鶴丸氏は、WSTS(世界半導体市場統計)のデータを基に、2026年には世界のチップ売上高が100兆円の大台に乗ると予測。牽引役はAI、そしてそれを支えるGPUとメモリだ。しかし鶴丸氏は、その華々しさの裏にある「激しい波(変動)」にこそ目を向けるべきだと語る。

「例えば、メモリの売上推移はプラス30%の年もあれば、マイナス30%の年もある。この荒波をどうマネジメントし、サバイブするか。それこそが経営の本質です」。
その鶴丸氏が提唱するのが「20%の壁」だ。半導体製品の売上に対する装置売上がこのラインを超えると「過熱」のサインだという。長年の経験に基づくこの独自の物差しは、熱狂に沸く市場を冷静に見つめるプロならではの視点である。
また、現在の日本のポジションについても言及。チップ単体での世界シェアはかつてより低下したものの、ウエハー製造装置や、微細化の限界を補う「後工程(パッケージング)」の材料分野では依然として日本企業が高いシェアを維持しており、この分野でのさらなる成長に期待を寄せた。

そんな鶴丸氏が最も強調したのは、半導体産業における深刻な人材不足だ。電子情報技術産業協会(JEITA)によれば、今後10年間、日本全体で約4万人、近畿圏だけでも約4,000人のエンジニアが必要になると予測されている。
半導体の成長は『資金力 × 革新的技術 × 優秀な人材』の掛け算と言われるが、成長のアッパー(天井)を決めるのは、特に人材だと鶴丸氏は言う。日本のみならず世界中で人材不足が叫ばれる中、産学官が連携し地域を挙げた育成体制の構築が急務であると訴えた。
現在、兵庫県尼崎市の住友精密工業株式会社で指揮を執る鶴丸氏。関西から見ると「茨城は遠い」というイメージがあると言うが、茨城県に住み、ルネサステクノロジ(現ルネサスエレクトロニクス株式会社)那珂工場の工場長を務めた経験を持つ氏は、その距離感を否定する。
「東京からひたちなかへは、大阪から京都へ行くような感覚。心理的な時間は驚くほど短く、ポテンシャルの高い場所なのです」と締めくくった。

