
中国のbilibili動画にて配信され、日本でも多くの視聴者を魅了したオリジナルアニメーション「時光代理人 -LINK CLICK-」「時光代理人 -LINK CLICK-II」の続編である「時光代理人 -LINK CLICK- 英都篇」が、2025年2月より放送中。本作では特殊能力を活かしてさまざまな依頼を請け負う「時光写真館」の経営者・トキとヒカルの“過去”が描かれている。WEBザテレビジョンでは、トキ/程小時(チョン・シャオシー)役の豊永利行、ヒカル/陸光(ルー・グアン)役の櫻井孝宏にインタビューを実施。第1期から長く関わり合っている2人に、改めて作品の魅力について話を伺った。
■「どう投げかけてもヒカルでいてくれる」アフレコ現場で感じた信頼感
――今回は「英都篇」ということで、台本を読んだ感想は?
豊永利行(以下、豊永):「英都篇」は、トキとヒカルが出会った頃の話になっているんですけど、個人的には第2期の続きが気になっていたこともあり、「続きは!?」というのが正直な気持ちでしたね。ですが、作中で何らかの伏線が張り巡らされているんじゃないかという思いや、「おそらく心が晴れやかになることはないんだろうな」という覚悟はしておかなければと思っていました。
櫻井孝宏(以下、櫻井):今回の「英都篇」があっての第1期や第2期なので、私自身も教育された感じがありますし、シナリオも基本ヒカル視点で描かれるので、ずっと彼のターンなんですよね。その中でさらに新しいキャラクターという不確定要素も出てくるので、「誰かが物語のカギを握っているんだろうな」という憶測や想像を膨らませていました。
――「英都篇」では2人の“過去”が描かれていると思います。演じる上で意識したことを教えてください。
豊永:1話を見てもらうとわかるのですが、記憶がまっさらな状態なのはトキだけだと思っているんですよ。加えて過去の話ということもあり、見た目や声色というよりは、精神年齢を少し若くするように意識していましたね。第1期での、少し無鉄砲で自由なトキを思い出しながら表現していたのを覚えています。
櫻井:先ほど豊永くんもふれていましたが、ヒカルは何度も同じ時間を繰り返していて、もう何回目かわからないような出会いのシーンでも、彼はその先を変えようと必死に頑張っていると思うんですよ。でも既にアニメは完成しているし、あまり複雑にしてもよくないと感じたので、できるだけシンプルに表現するようにしています。どちらかというと「彼は先のことを考えている」ということを踏まえて演じていました。
――第1期から長く関わり合ってきて、互いに刺激を感じることはありますか?
櫻井:豊永くんが演じるトキはピッタリだし、彼は表現のアイデアがたくさんあって、その一つ一つがどれも面白いんですよね。トキの何かに縛られていないような奔放な印象は、豊永くんだからこそ生まれているんじゃないかなと思っています。
豊永:僕も櫻井さんに対して「どう投げかけてもヒカルでいてくれる」という信頼感があって。櫻井さんのお作りになられるキャラクター像って土台がしっかりしているので、ヒカルのまま楽しんでくださっているのを現場でひしひしと感じるんですよね。

■日本のファンからも愛される理由は「ドラマを見ているような映像体験」
――「英都篇」からは物語の舞台も変化していると思うのですが、実際に映像をご覧になっていかがでしたか?
豊永:これまでとは違うカラーリングや、欧州の建物の感じは意図的に変えているんだろうなということが伝わってきましたし、アニメを見ていて「トキって英語が少し話せるんだ」と思ったりもして。
あと個人的に思ったのが、第1期では史実に基づいたことを取り入れていたと思うんですけど、今回は少しファンタジー寄りになってきているところも、作品の固定概念を覆していて興味深かったですね。
櫻井:印象としては豊永くんと似ています。英都篇では主な舞台が変わっているんですけど、「それにも意味があるんだろうな」って考えるとその場所が特別に感じますし、作品のビジュアルも含めて色々な楽しみ方ができると思いました。
――「時光代理人」は日本でもファンが多い印象があります。日本国内でも愛される理由は何だと思いますか?
豊永:作中であまり答えや情報を与えすぎないというか、ある意味視聴者にとって多少ストレスになるような演出や描写が「時光代理人」はすごく多い気がするんですよね。なので「これからどうなっていくんだろう?」という没入感は、皆さんが楽しめる要因の1つなんじゃないかなと。
あとはアニメーションを見ていて、日本とは少し違うと感じる部分があって。アクションシーンだったり、実際の動きから描き起こしているように思える描写はドラマっぽいというか、僕自身は見ていて新鮮に映った記憶があります。
櫻井:あくまでアニメーションではあるんですけど、何かが少し違うと思えるような気がしていて。アニメを見ているけど、ドラマを見ているような映像体験が、視聴者にとって新鮮に感じるのではないかと思っています。

――これまでトキとヒカルは、お互いの特殊能力を活かして依頼を遂行していました。おふたりが協力してやってみたいことは?
櫻井:彼(豊永)は多彩でいろんなことができるので、私が彼の力になれるようなことがしたいですね。
豊永:僕はちょっと失礼なんですけど、先輩が苦手なことを一生懸命やっているところを見るのがすごく好きなんですよ。
櫻井:あ〜、ちょっとわかるかも(笑)。
豊永:見ていてすごくキュンとしちゃうんですよね。なので何かをやるとしたら、2人で畑を耕して、作物を育てて、収穫した作物でご飯を作って一緒に食べるみたいな。この2人でやってみたら何が起きるのかは気になるし、当たり障りがないけど経験がものを言うようなことをやってみたいと思いました。

■「彼のノリに私が助けられているのかも」共演が多い2人ならではの関係性
――おふたりは第1期から共演していると思いますが、その中で知った「新たな一面」などがあれば教えてください。
豊永:(櫻井さんと)初共演したのが22年くらい前の作品だったので、「時光代理人」の収録期間中で印象が変わるということは特になかったですね。初めて出会った時から、櫻井さんは櫻井さんで、根本的な印象は大きく変わっていないんですよね。
僕も年齢を重ねるにあたり、「後輩からこんな風に絡まれるとうれしい」というのがわかってきてからは、先輩に対しての接し方が徐々に変わってきて。今までは遠慮していたり壁を作っていたりしていた部分がなくなって、櫻井さんとナチュラルに話しやすくなったという自負はなんとなくありますね。
櫻井:私もそこまで大きな変化はないですね。お互いに年齢なりの経験や知識も得ているし、同じような歩幅で成長している気がします。豊永くんとは他の作品でもよく一緒になるんですけど、演技の迫力や説得力が見ていて年々豊かになっている印象があるので、自分もこうなっていたらいいなと思っています。
――先ほど豊永さんが少しふれていたと思いますが、おふたりは後輩からどんな風に絡んでもらえるとうれしいですか?
豊永:強めに遠慮なく突っ込んでもらえるとうれしいですね(笑)。自分がポロっと言ったことを拾ってくれて、突っ込まれると「もっと言って!」という気持ちになるんですよ。なので僕も櫻井さんにガンガン話しかけるようになったのですが、そうすると櫻井さんはすごく楽しそうに笑ってくださるので、きっと僕の考えは間違っていなかったんだなって。
櫻井:実は「これ」というものがあまりなくて。そもそも私が人見知りなので、現場に行くと隅っこで黙っているような感じなんですよね。特定の仲が良い方やコミュニケーションを取れる方とは、いつの間にか関係性が出来上がっているんですよ。
豊永:今の話を聞いていて、僕は櫻井さんのテリトリーに入っても許されるようになったのかなと思うとうれしいです。
櫻井:話していて思ったけど、豊永くんは最初から抵抗がなかったかも。私が基本受け身でいるので、彼のノリに私が助けられているのかもしれないですね。

――最後にファンの方へメッセージをお願いします。
豊永:第1期・第2期を乗り越えてくださった皆様であれば、「英都篇」があるからこそ、今後に繋がっていくのかとある意味納得できる作品になっていると思います。なのでいわゆるスピンオフではなく、正当な続編。斜に構えず見ていただきたいです。
あと僕は第1期がオムニバスで、第2期はサスペンスだと感じているのですが、「英都篇」は“ハードボイルド”だと考えていて。そこの違いや、皆さんが見た後にどう感じるのかは個人的に楽しみですね。
櫻井:第2期のラストが衝撃的だった分、「英都篇」は少し落ち着いて見ることができると思うし、過去に遡ってこれまでの情報が一新されるのがしんどくも面白かった。事実を受け入れれば、それを踏まえた上であらためて知る楽しさを味わえますしね。第3期に繋がる重要な位置付けの作品になっているので、しっかり最後まで楽しんでいただけたらと思います。
◆取材・文=渡辺美咲


