『おでかけアンソロジー ひとり旅』
春風に誘われて、あてもなくひとり旅に出かけよう。
『おでかけアンソロジー ひとり旅 いつもの私を、少し離れて』阿川佐和子 ほか/だいわ文庫(2025)池波正太郎、西加奈子、いとうあさこ、岸田國士、穂村弘、村上春樹……。41人の著者が綴る「ひとり旅」をテーマにした珠玉のエッセイ集。旅先で感じる開放感、誰にも気兼ねしない自由さなど、ひとり旅だからこそ味わえる特別な瞬間を詰め込んだ一冊。
春って落ち着かないですよね。風に誘われてあてもなく旅に出たくなります。そんなときにこの本をおすすめする理由は3つ。
(1)人気作家から文豪まで、41人の作家がひとり旅へのこだわりを語っていること。
(2)41回も旅の話を聞くと旅に出たくなる。そして春は旅をするのに最高の季節であること。
(3)短いエッセイ集なのでキリ良く読み終われて、あてもなく旅に出られること。
この本には、クラクフやマルタ、サマルカンドなど世界中のたくさんの場所が登場します。
(左)サマルカンド、(右)サマルカンド市場撮影:森卓也
私もクラクフへ行ったことがあるのですが、そこの中央市場広場は荘厳な建物に囲まれていて、まるで自分が舞台に立っているような陶酔感を味わうことができました。地中海の島国マルタでは目もくらむような豪華さの聖ヨハネ大聖堂にため息をつき、ウズベキスタンの青の都・サマルカンドでは、数千年もの歴史を持つ巨大バザールを散策してシルクロードの情緒に浸り……。旅で訪れた場所が本に出てくると、当時の感動も鮮やかに思い出されます。この本を旅のバッグに入れて、あなたなりの旅について考えてみませんか。
聖ヨハネ大聖堂撮影:森卓也
『d design travel JEJU』
本を通じて、旅先のリアルとその魅力が見えてくる。
『d design travel JEJU』D&DEPARTMENT PROJECT(2024)2009年創刊。編集者たちが2ヶ月間暮らすように現地を旅して、本当に感動したものだけを「ロングライフデザイン」の視点で本音で紹介する『d design travel』シリーズより、韓国の済州島を特集した一冊。47都道府県の魅力を発信してきたシリーズの初の海外版であり、火山島である済州島特有の歴史や文化を追求している。ただの観光ガイドブックではなく“読み物”としても楽しめる。
旅先ではやはり地元の人のおすすめがいちばん頼りになると思うのです。もちろん初めて行く土地に知り合いはいないので、この本を開きましょう。この旅行本では編集者が2カ月間、その土地で暮らし地元の人がお勧めする場所を案内してもらいます。そして実際に体験したことをそのまま伝えてくれる。いわば血の通った地域案内本です。
2026年の年明けに私は済州島にいました。自然やリゾートを楽しむ島とあって冬は完全なオフシーズンであり、さらに韓国は旧正月文化なので、日本とは違い大晦日から年越しはとても静かでした。さらに雪も降り、美術館巡りや旧市街のビアバーで過ごす落ち着いた年越しとなりました。雄大な自然が魅力の済州島は春から旅のベストシーズンに入ります。ぜひこの本と一緒に済州島を旅してください。

