高身長で社交的、スポーツ好き。恋愛経験もあり、仕事も順調。それでも40代の婚活は厳しい――医療系営業として働く49歳男性は、1回約1万円の出会いの場に通い続け、年齢を理由に関係が途切れるという経験を重ねてきた。中年婚活のリアルに迫る。
新刊『モテない中年 恋愛格差と孤独を超えて』より一部抜粋・再構成してお届けする。
誰かと一緒に生きる経験をしてみたい
医療関係の会社で営業の仕事をしている春日修一さん(仮名、49歳)は、40歳を過ぎてから婚活を始めた。現在に至るまで6年ほど、婚活パーティやイベント、コミュニティへの参加を続けている。
「最初のうちは『婚活を始めれば、相手は見つかるだろう』『そのうち結婚できるだろう』と思っていました。しかし、なかなか相手が見つからないまま、気づけば50歳が近くなってきて、『このまま1人でいいのだろうか』と感じています」
現在の会社には、2017年に入社して、8年ほど勤めている。
「今の会社に入る前も、ずっと医療関係の業界で働いていて、転職を支援する人材紹介の営業などもしていました。仕事は順調なんですが、プライベートではずっと独身です。
20代や30代の頃は付き合っていた女性がいて、結婚の話が出たこともありました。でも、あまり僕の中で『結婚したい』という気持ちが強くなくて、結果的にうまくいかなかった。どこかで『いつかすればいいや』と思っていたんです。
それが40代に入ってから、少しずつ焦りが出てきました。周囲の友人たちが家族を持ち、子どもが大きくなっていくのを見て、『自分はこのままでいいのか』と感じるようになって。『誰かと一緒に生きる経験をしてみたい』という気持ちが芽生えました」
人生の伴侶となるパートナーを探すため、いわゆる街コン(「街ぐるみで行うコンパ」の略。多くの男女が集まり、飲食などを通じて出会いを目的とするイベント)や婚活パーティに参加するようになった。
「最近ではアプリも使っており、独身者向けの婚活コミュニティにも参加しています。Facebookの広告で、月額数千円程度の金額で、ほぼ毎日行われているイベントに参加し放題というのを見かけて、興味を持ったのがきっかけでした。
ただ正直なところ、40代になってからの婚活は本当に厳しいです。この年齢になると、同世代の女性もそれなりに人生の形ができていて、価値観も固まっています。会って話をしても、なかなか交際にまで発展しない。
40歳を過ぎてから、実は一度も女性とお付き合いに至ったことがないんです。もちろん『いいな』と思う人に出会うこともあるんですが、うまくつながらない。向こうの反応が薄かったり、年齢差がネックになったり。また、ありがたいことに女性側からアプローチをしていただくこともあるんですが、あまり興味の湧く人がいない。
僕自身、最初のうちは一回り、もしくはそれ以上年下の女性を希望していました。30代の頃に、そのくらいの年齢差の女性とお付き合いしていたので。でもこの年齢になって、当時と同じような年齢差の女性を求めようとすると、交際にすら至らない。そのため、『さすがに無理があるな』と思うようになって、今は同年代を中心に探しています。ただ、それでもマッチングは簡単じゃない」
年齢の壁にぶち当たる
春日さんは高身長で人当たりも良いタイプであり、学生時代はサッカー部に所属し、現在も週末は前職で知り合った仲間たちと趣味のフットサルを楽しんでいる、社交的なスポーツマンでもある。高校生の頃から恋愛経験もあり、健康面の不安もない。いわゆる「モテない中年男性」とは正反対の存在であるように思えるが、それでも、40代になってからの婚活は本当に厳しい、と語る。
「パーティに行っても、2~3時間、場合によっては半日程度拘束されて、良い出会いがないまま終わることも多い。1回参加するのに1万円くらいかかることもあるので、経済的にも、体力的にも、精神的にも削られます。それでも、どこかで『次こそは』と思って、続けています」
春日さんの参加している独身者向けの婚活コミュニティでは、少し変わった形式のイベ
ントが行われている。
「そのコミュニティでは、男女の参加者同士が、お互いに年齢や職業などを明かさず、まずは趣味や感覚のつながりで交流するんです。オンラインでテーマを決めて話す会もあれば、週末にリアルで会うイベントもあります。僕もそこで何人かの女性と知り合いました。
その中に、特に『いいな』と思う女性がいました。最初はお互いに年齢も知らないまま、数回グループで会って、話が合って、笑い合って、自然に仲良くなっていきました。
あるとき、連絡先を交換して2人で食事に行くことになったんです。その時、初めて年齢を明かし合いました。彼女は36歳くらい。僕の年齢を聞いた瞬間、少し驚いた表情をしていました。良くも悪くも、想定外だったんだと思います。
食事自体は、楽しく終わりました。変なことを言った覚えもないし、空気も悪くなかった。でも、その後、彼女からの連絡が途絶えました。
主催者に後から聞いた話では、彼女も僕に対して『いいな』と思ってくれていたそうです。イベントの主催者を通して、『春日さんと連絡を取りたい』と言っていたと。でも、2人で会って、自分の年齢を知った途端に距離ができてしまった。理由はおそらく、それだけです。
もちろん、本当のところは本人にしかわかりません。僕の側に何か不備があったのかもしれない。でも、自分では失礼なことをした記憶もないし、女性とのコミュニケーションも苦手じゃない。結局、『年齢の壁』にぶつかったという感覚が強いんです。
年齢や職業を気にしないスタイルの出会いでも、やっぱり最後のところで、現実が顔を出す。40代の婚活って、そういう現実を何度も突きつけられるんですよね」

