桜舞い散る橋と仮装したお祭り
ーー本編の中で、おふたりが印象に残ったシーンの思い出を教えてください。
ブレンダン:それぞれのシーンがとてもユニークで大好きだから、一つに絞ることはできないけど、あえて言うなら、桜が咲いている橋の上のシーンかな。年をとっても、いつまでもあのときのシャノンを覚えていると思う。あのシーンの撮影で、シャノンは、まだ映画俳優として知っておくべき基本的なこと、例えば、地面に貼られたバミリ (印) の上を歩く方法さえも知らなかったんです。彼女にそういう基本的なことを教えたら、真剣な瞳で聞いてくれました。あのときのことは、本当に忘れられない。この映画を作る上で、これから経験する全てを、まるでスポンジのように吸収してくれる人だと確信しました。
シャノン:私は全部のシーンが思い出深いけど、一つ挙げるとしたら化け猫祭りかな。ずっとフェイスペイントをしてみたいって思っていたんです。その機会が巡ってきたので、やった! って感じでした。あと肩車! ブレンダンの背が高すぎたことも印象に残っています (笑)。神社で何度も撮影したけど、音楽に合わせて体を揺らして、みんなで踊ってすごく楽しいシーンでした。監督に「美亜は、まだそこまで大人じゃないから、もうちょっと動きを抑えて」って言われるくらい (笑)。ちょっと素が出ちゃいました。
ブレンダン:お祭りに参加してくれたのは、みんなボランティアの方々で、彼らも扮装して、近所のみんなが純粋に楽しむために来てくれていました。映画作りの観点からいうと、それがすごく大きな価値となっていると思います。
ふたつの世界と自分の世界
ーーこの『レンタル・ファミリー』は、様々な人々が存在する“東京“で暮らしている人たちに特に観てほしいと思います。これから、この映画を見る方に対してのメッセージをお願いします。
シャノン:私は、日本で生まれて今も住んでいるんですけど、”なんで私は、日本人の顔をしていないんだろう”と悩むこともありました。私が演じた美亜というキャラクターも同じだと思うんです。友達からは「日本人なのに黒髪でもない、でも瞳は外国人みたいな青じゃない」と言われることもありました。でも私は、この茶色い瞳が好きなんです。だから、自分が誰かと違ってもいい。みんな自分らしく、自分を変えないで、自分を大切にしてほしいと思っています。この映画を観て、みなさんにもそう感じてもらいたいです。
ブレンダン:シャノンは、こんなに若いのに自分の気持ちを言葉で伝えられてすごいと思うんです。感じていることを雄弁に伝えられるのは、心が安定していて自分の感情にアクセスできているということ。彼女はそれを役に落とし込むことができる。自分に誠実な役者なんです。それに彼女が、英語と日本語両方の言語を流暢に使えているなんて、本当に驚くべきことだと思いませんか?それは、彼女が演じた美亜というキャラクターの一面でもある。つまり、ふたつの世界に属さなければならない葛藤。そして、それは自分がどこに属しているのかわからないと感じさせる。それが美亜がたどる旅路なんです。
物語の終わりには、僕が演じたフィリップが”自分は今のままで十分幸せなんだ”と悟るように、美亜もまた、自信を持ち、そして学ぶんです。完璧ではないかもしれないけれど、それが最善の未来となり得るということを。でも、それは私が何も言わなくても作品が伝えてくれると思う。観客に伝えるとすれば、いつも歓迎してくれて、いろんな体験をさせてくれて、人生の夢を叶えてくれて、ありがとうという心からの感謝ですね。
取材・文 / 小倉靖史
撮影 / 立松尚積
映画『レンタル・ファミリー』
東京で暮らす落ちぶれた俳優フィリップは、日本での生活に居心地の良さを感じながらも、本来の自分自身を見失いかけていた。そんな中“レンタル家族”として他人の人生の中で“仮の”役割を演じる仕事に出会い、想像もしなかった人生の一部を体験する。
監督:HIKARI
出演:ブレンダン・フレイザー、平岳大、山本真理、柄本明、ゴーマン シャノン 眞陽ほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
2026年2月27日(金) 日本公開
公式サイト rentalfamily
