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「創作者に声を届けたくなる」ジャンプ+で連載中の『モノクロのふたり』が超面白いので早口で語らせて欲しい <連載:今日書きたいことはこれくらい>

「創作者に声を届けたくなる」ジャンプ+で連載中の『モノクロのふたり』が超面白いので早口で語らせて欲しい <連載:今日書きたいことはこれくらい>

 いやー、『少年ジャンプ+』(以下、ジャンプ+)がやたら面白いですよね。

 近年、色んな出版社さんが公式のWebメディアを展開されていて、読み切り、連載問わずさまざまな作品を読むことができます。気軽に触れられる面白いコンテンツが一杯で、漫画好きにとっては天国のような環境、実は「漫画の黄金時代」って今なんじゃないかと思うくらいなんですが、特に「ジャンプ+」掲載作品の面白さと完成度のバランスは、頭ひとつ分リードしているような気がしています。

ライター:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ、三児の父。ダライアス外伝をこよなく愛する横シューターであり、今でも度々鯨ルートに挑んではシャコのばらまき弾にブチ切れている。好きなイーアルカンフーの敵キャラはタオ。

X:@shinzaki

 しんざきが特に愛読している作品をいくつか挙げると、例えば言うまでもない女子高生軽音部漫画『ふつうの軽音部』。秀逸な人間関係描写を、演奏描写の熱さと厘ちゃんの信仰深い策謀脳が時々横からぶん殴っていくところが大好き。直近、まわりちゃんのベース演奏描写が凄すぎて「この子、こんな重要キャラだったの……!?」って戦慄してます。

 また、この2作が同じ媒体に載っているということが信じられない、異色野球漫画の双璧『サンキューピッチ』と『野球・文明・エイリアン』。前者は「心理戦」に、後者は「文明発展」に極振りしつつ、ちゃんと「野球の面白さ」というテーマが根底に流れていて、連載会議どう収まったんだろうと思わずにはいられません。

 ほかにも、ついにインディーズ連載から通常連載になった、読んでいるだけでギリ子の早口感が伝わってくる『限界OL霧切ギリ子』。

 「ゆるゆるなようで頼もしい」祐天上人がひたすらかっこよかった、江戸時代エクソシスト漫画『伴天連怪談』。

 顔が超よくて性格が超悪そうな男の表情描写で紙面が渋滞している『天傍台閣』。

 身体入れ替わりというギミックを最大限活用しつつ、きっちり三角関係を描写して見せる『クソ女に幸あれ』。

 などなど、まあどれ一つとっても大変面白い作品ばかりなわけですが。

 そんな中でも、しんざきが一番楽しみにしていて、日曜の0時になった瞬間超速で更新を確認しにいくのが、連載中の漫画家漫画『モノクロのふたり』だ、という話なのです。

 以下では、「ジャンプ+で連載中の漫画家漫画、『モノクロのふたり』の直近の展開がすごく熱いし面白いので皆さん読んでください」ということを主に書きます。依頼されてのPR記事ではなく、単に直近の展開を読んで我慢できなくなったしんざきが「書かせてください!!」って、ねとらぼ編集部さんに頼み込んで書かせていただいているだけです。

 この記事は、前半「未読の方用パート」と後半「既読の方用パート(早口)」に分けておりまして、特に後半には直近の展開(37話)についての感想が含まれるため、未読の人にとってはネタバレになってしまう可能性があります。

 まだ『モノクロのふたり』をお読みでない方は是非、まず第1話~第3話をお読みになって、良かったらその勢いで続きもだいぶ読んでから本記事にお目通しいただけないものか、と考える次第です。今なら無料で読める回も拡大してますし、損はさせませんので……!!

 ということで、漫画の話をしましょう。

未読の方用パート

 冒頭で書いた通り、『モノクロのふたり』は漫画の描き手を主題にした、いわゆる「漫画家漫画」です。

 画力も才能もあるのに現実と生活の前に画業の夢を諦めた主人公・不動花壱と、自分の画力の低さに悩みながらも漫画家の道を諦めきれていないヒロイン・若葉紗織。

 職場では仕事ができるエリートサラリーマンとして振る舞っている2人ですが、若葉がふとしたことをきっかけに不動の画力の高さに目をつけて、「自分と一緒に漫画を描いて欲しい」と不動を誘うのが話の導入です。

 ここから、不動と若葉の2人は、それぞれの能力を生かして漫画を形作っていくことになります。

 これは以前も書いたんですが、『モノクロのふたり』の最大の特徴は、「作中作に対して注がれるリソースが常識外れにデカい」ことではないか、と私は思っています。

 「漫画家漫画」って、当然漫画家が主役なわけですが、じゃあその漫画家が作中で描く「作品」の描写をどうするか? というのは、ひとつの大きなボトルネックではないかと思います。「主人公が天才漫画家」という設定だったとしたら、その天才が描く漫画も天才的なものでないといけません。作中で主人公の漫画が人を感動させているのであれば、作中作の描写も「人を感動させる漫画」でないといけないのです。

 でも、当然ながら、作中のキャラが現実に出てきて勝手に漫画を描いてくれたりはしないので、作中作をちゃんと「面白く」形作ろうとすると、作中作の分まで、2作分、3作分を描くリソースが必要になります。だから、多くの漫画家漫画は「作中作」の描写は最低限に留めて、「読んだ人のリアクション」という形で作中作の凄さを描写することがもっぱら(※例外もある)です。

 作中の料理を実際に読者に食べさせることはできないので、食べたキャラの反応でうまさを表現する料理漫画に通じるものがありますよね。これ自体は悪いことでもなんでもない、ごくごく当然の常識的な手法だと思います。

 ただ、『モノクロのふたり』の場合、その辺の常識をだいぶ、ぶっちぎっていて、この「作中作」にかけられたリソースがとにかく物凄いんですよ。「今、不動と若葉が描いている漫画は、どういう点がウリで、どのように面白いのか」というところから一切逃げないというか、話のテーマをそこからずらさないんです。作中の人たちが自分の漫画を「面白く」しようとする、その努力の過程をすごく詳細に描く。

 特に1話~3話で2人が描く作品、『黒の世界から』。

 不動の能力は「背景がバカ上手い」ことである一方、若葉の魅力はかわいらしいキャラと物語の見せ方、ストーリーテリングです。ここには、「絵柄のミスマッチ」という本来なら致命的なギャップがあるわけですが、そのギャップを直接「漫画の面白さ」に利用する、というのが、3話までのハイライト。3話の中盤、不動が「水平線に太陽が浮かぶシーン」を描いた場面、夢を諦めた少女が再び前を向くと決意した瞬間に感じた「眩しさ」。「そこまで退屈に見えていた作中世界が、その瞬間から輝き始める」という演出。

 これ、本当に「作中漫画のそのシーン」をド迫力の一枚絵で描いていて、これを見るだけで「ああ、確かにこの絵ならそう感じられる」という怒濤の説得力があるわけなんですよ。

 『モノクロのふたり』って、もちろん不動の画力が作中最大の武器であって、「それをどう生かすか」という点で毎回、毎回、作中のハードルを上げてくるんですよ。そして、不動がそのハードルに対して、作中描写でも毎回きっちりと「答え」を魅せてくる。

 これ、言うのは簡単だけど、恐ろしく難しいことをやっていらっしゃると思うんですよね。「作中の天才」の絵を実際に作中に出してしまって、それが読者に「たいしたことない」と思われてしまったら致命的です。そのハードルに対して、毎回、毎回、きっちりと挑まれている。これ本当に凄い。

 ちなみに、無料部分では読めないんですが、この辺の「面白さのハードル」を毎回、可視化してくれるのが、売れっ子原作者の薔薇園先生と担当編集の田中さんで、この2人が語る「面白い漫画」の形作り方も、作中もの凄い説得力があります。これを読んでいるだけで、「それができれば確かに面白くなるだろう(でも難易度バカ高)」と納得できる質・量。

 この作中作『黒の世界から』って、そのまま「一度は夢を失った主人公が、失った夢を目指してもう一度歩き始める物語」なんですよね。それは、そのまま『モノクロのふたり』という物語の基本的なテーマでもある。

 これだけでも十分熱いんですが、不動が画力を発揮して、それを見た周囲の人間が驚き、感動し、そしてそれが「漫画の面白さ」に十分に発揮される描写もまた熱い。

 これは何度か書いていることなんですが、私、少年漫画の面白さの中核って「まさか(意外性、苦境からの逆転による面白さ)」という驚きと、「さすが(作中の評価が裏書きされれる、「期待通りになる」面白さ)」という納得感の2本の軸だと思っていまして、本作で言うと「不動の画力」という点が「まさか」と「さすが」の両軸において非常に高い存在感を占めていると思います。ここを正面から描いてるの本当凄い。

 あと『モノクロのふたり』、登場キャラもとにかくいい味出してるし、主要キャラに感情移入することで読者が抱ける好感度も高いんですよね。

 まず主人公の不動からして、「気遣いができて仕事もできる、家では妹思いのお兄ちゃん」という非常にスペック高いキャラでして、職場で育てたコミュニケーション能力とタスク遂行能力を存分に発揮しつつ、いざという時には決して「揺れない」まさに不動の頼もしさを見せてくれます。

 マネジメント能力を存分に発揮して、若葉さんのスケジュールを整理するところとか超好き。一方、いざ絵に集中し始めた時はめちゃくちゃかっこよくて、特に1話のラストの「黒で表現してみせろ」なんて作中最高に好きなシーンまであります。

 一方の若葉さんなんですが、こちらは「仕事ができる有能先輩社員」という職場での姿と私生活がだいぶかけ離れていて、私生活ではかなりのドジっ娘属性を発揮してくれて非常にかわいいわけです。この作品、メインキャラ3人のうち、不動と薔薇園先生はあまり感情を表に出さない方なので、若葉が感情表現を一手に担っている結果、若葉が報われるシーンでは本当「よかったね……」と温かい心になる一方、ヒロインがしてはいけなそうな表情もちょくちょく見せてくれるのとても好き(初登場シーンからしてそう)。

 ということで、ここまでが未読の方用パートになります。

配信元: ねとらぼ

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