既読の方用パート
さて、本題はここからです。以降の話は、読者が37話(執筆時点での最新話)をお読みになっている前提で書きますので、よろしくお願いします。
もうですね、ついに、ついに、ついについに若葉さんの作品『魔王の胃の中で』の新連載が始まりましたね……! これだけでもう万感の思い、「誰にも読まれないのかな」と思いながら、文字通り血反吐を吐きつつ漫画を描き続けてきた若葉さんがようやく報われたな……!! という他ないんですけど。
この37話、1話から共通して描かれてきた作品のテーマが、まさに結実するその瞬間でもあるんですよ。
つまり、
「物作りにおいて一番嬉しい瞬間は、自分の作品で誰かの心を動かした瞬間」
という、1話から繰り返し紡がれてきた言葉。
ライバル作を担当している編集者が、不動の絵のあまりのクオリティに愕然としながら身を乗り出す。ポテチを食べながら漫画を読むのが唯一の幸せというOLが、わざわざ本が汚れないように用意した箸を置きっぱなしにしながら、ポテチの袋を破ることすらせずに漫画に魅入る。そして、作品を読んだ小さな女の子が、便せんを手にとって、作中キャラの模写と感想を描き始める。
これが、1話からのリフレイン。若葉と不動と薔薇園先生が、本当に自分たちの作品で「誰かの心を動かした」瞬間。この読者からの手紙を読んだ瞬間の、若葉さんたちの表情が、本当に三者三様(田中さんも含めると四者四様)で、特に若葉さんの反応が本当に心から嬉しそうで、このシーンを読めただけでも、この漫画追っててよかったなーと思ったんですよ。
第1話の展開が最新話で展開されるところ好き……!! ってなってしまうタイプの漫画オタクなんですが、今回の展開は心底好み過ぎて、ついつい感情が暴走してしまった、というわけなのです。
これは一般的に言えることだと思うんですが、創作って基本、岸壁に1人でトンネルを掘り続けるような、非常に困難で先が見えない、けれど中途中途では報われにくい作業です。「作品を創る」ことと「作品を読む」ことでは、文字通り「トンネルを掘る」ことと「できたトンネルを歩いて通る」くらいの、必要エネルギーの差があります。
だからこそ、「誰かの心を動かせた」ということが、読者の感想という形で実際に受け取れたその瞬間は、本当に何物にも代えがたいくらいの喜びとエネルギーになるんだろうなあと、そう心から思えたシーンだったわけです。感想は軽率に口に出していく主義なのですが、好きな作品の作者さんに巡り巡ってどこかで届きますようにと、願いを込めてこれからも感想を書き綴っていこうと、自分でも思いを新たにした次第です。
それはそうと、この37話でも、作中作である『魔王の胃の中で』が、かなりの尺をとって描写されているわけですが、ここも「え、ちょっと登場してるだけの作中作がなんでここまで書き込まれてるの……?」と思わずにはいられない程の力の入りっぷりです。原稿の1枚だけを見て「あれが決めシーンか?」と思っていた他作の編集者さんが、「全部決めシーンじゃん」と驚くところめちゃくちゃ好き。
そしてトリを務めるのは担当編集の田中さん。本当この人、登場当初は「モブのおじさんかな……?」と思ってしまうような姿だったんですが、実は漫画にもめちゃ造詣深いし、言うこともいちいち説得力バカ高いし、伴走ポジションとしてもとても頼もしいし、良い意味で予想を裏切られたキャラクターランキングトップだと思います。
以前、作中でも触れられていた「3巻が出るかどうかの壁」、『モノクロのふたり』でも無事に突破されたのかと思うと、「打ち切りプロットを使わないで済んで良かった」というのは何より作者さん本人の言葉でもあるのかなと、ホント読者としても万感の思いです。
ところで、37話からは少し離れるのですが、『モノクロのふたり』には他にも味があるキャラが多々出てきます。
主人公陣の話は既に出たのでライバル陣の話をするんですが、特に『マリア』の看板作家の1人である見明心先生、ツインテールヤンデレ小悪魔身長195cmハイパワー系巨女という、作者さんの性癖全部盛りかよっていうくらいの盛り過ぎキャラで、「一人のキャラにどれくらい性癖を盛れるか」というひとつの実験をみているような気すらしてきます。不動の略奪(引き抜き)に情熱をもやす見明先生、今後の展開は果たしてどうなるのか。
また、不動とはまた全然別のタイプの、策謀系おじさんである草壁さん。彼も、「一見するとヒールのように見えて、よく見ると挙動が結構面白い」系のキャラクターだと思っていて、見明先生の職場でのアシスタント編では、「なんでこのおっさんハートマークのエプロン着てるんだ」と全力ツッコミをせざるを得ませんでした。多分根は結構天然な人なんだと思います。
あと、不動が色恋沙汰についてはほぼ一切感情を見せないキャラであるところ、実は作中一番ヒロインっぽい挙動をしている、IROHAこと春雅奈彩葉。不動の妹との絡みもあり、連載が始まった今一番、不動たちの作品に影響を受けそうなポジションですが、彼女の反応にも期待大なわけです。
あと、どんなラブコメ場面でも眉一つ動かさない不動、客観的に状況を見ると美女たちに囲まれている(そのうち見明先生からは積極的に略奪を狙われている)わけですが、なにかしらラブコメが進展するような状況は来るのか、という点も気になるところです。作品テーマ的に、ラブコメ抜きならそれはそれで全然問題ないと思うんですが。
さて、長々と書いてしまいました。
今日の記事を端的にまとめると、「『モノクロのふたり』は超面白いしまだ3巻までしか出てないので皆さん読んでください損はさせませんもうすぐ4巻も出ますご確認ください」のひとことになりまして、他に言いたいことは特にありません。よろしくお願いします。
今日書きたいことはこれくらいです。

