すべては「死者の日記」から始まった——
信州で暮らす久喜雄司と夕里子のもとに戦死した親族・久喜貞市の日記が届く。日記の最後のページに綴られていたのは「ヒクイドリ、クイタイ」の文字。その日以来、幸せな夫婦の周辺で不可解な出来事が起こり始める。これは怪異か、それとも仕組まれた罠なのか?
「第40回 横溝正史ミステリ&ホラー大賞」大賞受賞作、原浩による小説「火喰鳥を、喰う」が実写映画化され10月3日(金)より全国公開となる。監督を務めるのは、『超高速!参勤交代』シリーズや、『空飛ぶタイヤ』『シャイロックの子供たち』などを手がける本木克英。
主演には、数々の話題作に出演し、今年8月にW主演作『九龍ジェネリックロマンス』が公開された人気実力派俳優・水上恒司。水上は本作が映画単独初主演作となる。ヒロインには、乃木坂46の元メンバーで、女性ファッション誌「CanCam」専属モデルを務め、俳優業では連続テレビ小説「舞いあがれ!」をはじめ、映画、TVドラマなど多方面で活躍する山下美月。
誰も予想し得ないミステリー・ホラーが描かれる映画『火喰鳥を、喰う』。この度、水上恒司さんと山下美月さんにネタバレを回避しながら物語の謎にまつわる質問を行い、本作の魅力を伺った。
同い年の初共演
——本作『火喰鳥を、喰う』で初共演となるおふたりですが、お互いの印象を教えていただけますか?
水上 山下さんはいろんなスケールの大きい作品に出演されているので、共演前から宣伝や予告編をよく目にしていました。なので”すごく器用だな”って印象がありますね。
僕は経験したことがないから、的を射ているかどうかわからないけど、アイドルグループに所属して、その世界で活動されて、さまざまなことを乗り越えてきた。それって、相当なことだと思うんです。グループ活動をされていた経験が、現在の山下さんを形作っている、ひとつの要素だと思うから、ご一緒することがすごく楽しみでした。
山下 水上さんとは同い年なんです。同じ業界で同年代の方が出演されている作品などをチェックすることがあるのですが、水上さんはそのおひとりで。今回ご一緒できるのがすごく楽しみでした。
共演する前は、水上さんはすごくまっすぐな方というイメージでした。感情をストレートに出す役柄を多く演じられてきた印象でしたので、そんなイメージを抱いていたのですが、実際にお会いしてもそうで、自分の思ったことを素直にお話しされる。
撮影をしていても、自分が感じた役柄への解釈を、セリフや動きにちゃんと投影されている。お芝居に対してもすごく真摯に向き合っていらっしゃる方なのだなと思いました。
これはいるな‥‥と感じた恐怖体験
——今作は超常現象なのか、誰かの策略なのか、はっきりしない状態で物語が進行していきます。自分の考えが及ばない状態になった不思議な体験をしたことはありますか?
水上 僕はないですね。不思議な現象に対峙したことがないという意味ではなくて、自分のなかで”原因がこれだったら素敵だな”と思えることを、大体考えられてきた。だから自分の考えが及ばないということは、今までないですね。
山下 私は不思議な体験を一度したことがあります。静岡で泊まりがけのロケをしたときのことなのですが。
夜中2時ぐらいにホテルに帰ってきて、部屋のドアを開けたらテレビがついていたんですね。消し忘れたかどうかも覚えてなくて、”テレビついてるなぁ”ぐらいで気にも留めなかったんです。そのままお風呂に入って、普通に過ごしていたら、急にパッ!ってテレビが消えて、外からドンドンドンって部屋の窓を叩くすごい音がしたんですよ。で、窓を開けたら、目の前に神社があって‥‥。
得体の知れない恐怖を感じて、”すごく気持ち悪いな”と思っていたら、今度は部屋の中から、カン!って音がして、触ってもいない電気ケトルにスイッチが入りました。そもそも私、まったく霊感はないのですが、”これはいるな”って、初めて思いました。
——それでどうしたんですか?
山下 すごく疲れていたので、すぐ寝ました(笑)。
水上 聞いてて、寝たんだろうな、と思ってた(笑)。
