反自民のドン、小沢一郎前衆院議員は先の総選挙で落選したが、再び政界返り咲きと自民潰しで動き始めたともっぱらだ。
当選19回、今年83歳となった小沢氏は、かつて自民党幹事長を務めたが離党、それ以降は一貫して反自民の旗頭だった。その間、反自民政権を二度も樹立させるなど「剛腕政治家」として君臨してきた。その小沢氏が先の衆院選では後援会組織の高齢化や全国的に吹き荒れた「高市旋風」の前に自民党候補に敗れ、ついに比例復活もならず落選となった。
政治部記者が言う。
「今回の落選で、さすがに戦後政治の申し子と言われた小沢氏も、60年近い政治生活に幕を下ろすかと思われましたが、とんでもない。自らのYouTubeチャンネルやXで、今後も政治活動を続けると宣言し、後進の指導などにあたるといいます。その第一弾として、参院での首班指名造反騒動を裏で指揮したと囁かれているわけです」
参院での「首班指名造反騒動」とはこうだ。
2月18日の参院本会議で行われた首班指名選挙の際、野党の中道改革連合、立憲民主党、公明党は投票先を、中道・小川淳也代表への一本化で事前合意していた。
ところがフタを開ければ一回目の投票では、小沢グループの森裕子氏ら5人が立民の水岡俊一代表(参院)に投票する異例の行動に出た。
結果、一回目の投票では自民党の高市早苗総裁が123票、小川氏が58票、水岡氏が5票で高市氏は過半数に1票足りず、小川氏との決選投票に。決選投票では保守党の2票が高市氏に加わり、過半数で当選となった。一方、森氏らは小川氏に投票した。この森氏らの一回目の投票行動に、野党関係者の間で批判が高まったのだ。
野党議員秘書が言う。
「ところがこの批判に、森氏らの影のリーダーたる小沢氏がYouTubeやXで猛然と反論
した。『首相指名は、まず自党代表に投票するのは当然。決選投票では小川代表に投じているから、とやかく言われる行動ではない。造反でもなんでもない』と擁護したのです」
加えて小沢氏は「衆院では自民が圧倒していても、参院は過半数割れ。高市政権のアキレス腱だ」と指摘した上で「憲法改正など大きな問題では参院で過半数も取れていないという状況では、自民は後の政局をどう運営をしていくかは、非常に難しい、微妙な状況になるだろう」とまで言及。
つまり今回の「造反騒動」で小沢氏は、参院で自民が維新を入れても過半数に達していない事実を、首班指名で与野党に思い知らせたのだ。
自民党長老が警戒する。
「小沢は死ぬまで政治家として生きるつもりだろう。今回の選挙では落選したが、小沢はあわよくば2028年の参院選で、なんらかの方法で政界復活劇を画策しているのでは。だから今回の首班指名でも、裏で森氏らを指揮した」
政治アナリストも言う。
「衆院で中道はボロ負けし、存在感が薄れています。一方で参院では中道に合流していない立民は40議席、公明は21議席と、合わせて61議席ある。小沢氏はこの61に衆院の中道を逆飲み込みさせて、一大勢力にするハラではないですか。さらに小沢氏は次の参院選では、振り子の原理で自民党が大負けすると読む。それに乗じて与党の数を大きく減らし大きなねじれを作り上げ、自民党を苦しめる作戦でしょう」
政界の壊し屋は、まだまだ生臭いのである。
(田村建光)

