しかし、濡れにくさは体質や性格の問題ではなく、疲労やストレス、冷えなどからだの状態が影響しているケースが多いといわれています。
本記事では、濡れにくい原因と漢方薬を用いたセルフケアについて、あんしん漢方薬剤師の山形ゆかりさんに教えていただきます。
「濡れにくい=ダメ」じゃない!

濡れにくいのは悪いことではなく、むしろからだからのSOSかもしれません。
膣の乾燥は「膣ドライネス(vaginal dryness)」とも呼ばれ、性的接触時だけでなく日常生活でも不快感をもたらすことがあります。
セックス時の「濡れ」は、ただの潤滑ではなく、からだの血流やホルモンの反応によって起こるとされています。
膣の粘膜が潤うのは、性的興奮に伴う血流増加がきっかけで、それがうまく起こらないと乾燥や「濡れにくさ」を感じることがあるのです。
これは自然なからだの反応で、決してあなたが悪いわけではありません。
膣の潤滑は、エストロゲンなどのホルモンによって左右されやすいです。
エストロゲンは膣の粘膜を健康に保ち、潤いを維持する役割を担っていますが、これが減少すると乾燥しやすくなります。
ホルモンは睡眠・ストレス・生活習慣などの影響を受けやすく、とくにストレスやプレッシャーが強いと、からだは“防御モード”になりやすいため、リラックスや性的興奮への反応が弱くなります。
「濡れないのは気持ちが足りないから」と思われがちですが、からだが緊張や疲労からリラックスできていないことが大きな要因になっている可能性も否めません。
また、日常の疲れやストレスは心身の交感神経を優位にし、血管を収縮させやすいと考えられています。
膣周辺の血流が不足することで、性的刺激に対する生理的な反応が抑えられ、潤滑反応が弱まることがあるのです。
疲れを漢方的に見ると“巡り”が大切

漢方は、からだ全体のバランスを整えることを目的としたものです。
症状だけを見るのではなく、「なぜその不調が起きているのか」という体質・生活習慣・心の状態まで含めて考えるのが特徴です。
漢方では、からだの不調を「気・血・水(き・けつ・すい)」という構成要素の不均衡として考え、「巡り(血流や、水分・エネルギーの流れ)」が滞ることによってさまざまな不調があらわれると捉えます。
漢方の観点では、女性の生理周期やホルモンの変化、ストレスからくる不調は「巡りの乱れ」としてあらわれることがあるのです。
たとえば、現代の生活では睡眠不足や仕事のストレスによってからだ全体の循環が落ち、血流が弱まったり、冷えやむくみが起こりやすくなったりします。
膣の潤滑も、からだ全体の血流や体液のバランスと密接に関わっているため、巡りが整うことが潤滑反応の正常化につながると考えられるでしょう。
これは漢方的な表現ですが、現代科学でも血流やストレス管理が性的健康に影響を与えることが示唆されています。
また、血流がいい状態はからだ全体の機能を支え、ストレスホルモンの分泌を減らすなど心身の安定にも影響するとされます。
性生活はからだの一部だけの問題ではなく、からだ全体の健康状態が反映される現象であるため、全身の巡りを整える意識が大切なのです。
