京都府警亀岡署は2月25日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童買春)の疑いで、団体職員の江渡浩一郎容疑者(54)=茨城県つくば市=を逮捕した。日本のインターネット黎明期から活躍し、科学技術振興の一翼を担ってきた著名な研究者の逮捕を受け、各所に激震が走っている。
「女の子の方は今回が初めてだったようだ」
逮捕容疑は、江渡容疑者が昨年10月29日午後5時18分頃から午後6時頃までの間、京都市南区内のホテルにおいて、当時15歳の学生であった少女Aに対し、現金を渡してわいせつな行為をしたというもの。
両者が接触したきっかけは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)だ。捜査関係者は、経緯を次のように説明する。
「相手の女の子がSNSに売春の書き込みをして、それを見た江渡が応募してきた……返しを送ったような感じ。女の子(A)の方は今回が初めてだったようだ。お金欲しさでやったようだが、後になって『なんてことをしてしまったんだ』って反省している様子です」
事件から2日後の10月31日、少女Aは自ら亀岡署を訪れ、「わいせつな行為をしてしまった」という趣旨の相談を行った。この自発的な申告が、捜査の端緒となった。
京都府警は2月25日午前10時23分、茨城県つくば市内の容疑者宅で江渡容疑者を逮捕した。同時に家宅捜索を行い、スマートフォンやパソコンといった通信機器などを押収。本人は容疑について「おおむねその通りで間違いない」と認める一方で、児童買春の成立要件となる「年齢の認識」については争う姿勢を見せているという。
「認否については、まだ取り調べが始まったばかりだが、おおむね認めている。ただ、相手の年齢については『今日初めて知った』などと供述している」(捜査関係者)
警察は現在、押収した端末の解析を進め、SNS上でのやり取りの中で年齢を示唆する内容がなかったか、あるいは他に同様の余罪がないかを慎重に調べている。
江渡容疑者はいったいどんな人物なのか。
周囲に研究意識を熱く説いていた「あまりのことで信じられません」
逮捕された江渡容疑者は、日本初の本格的なオンライン大学であるZEN大学の教授を務めていた。だが、単なる大学教授ではない。「デジタル技術とアートの融合」における日本屈指の権威であり、いわば「インターネット文化と学問の橋渡し役」として、実績を積み上げてきたエリート中のエリートだ。
1990年代には、デジタルアート界のノーベル賞とも称される「アルス・エレクトロニカ」で数々の賞を受賞。国を代表する研究機関である「産業技術総合研究所(産総研)」に所属し、専門家だけでなく一般市民も科学に参加できる「ニコニコ学会β」を委員長として立ち上げるなど、常に時代の最先端を走り続けてきた。
江渡容疑者の「表の顔」を知る知人は、今回の事件に言葉を失っている。
「彼は、いわば日本の科学技術界の『スター』でした。2017年には文部科学大臣から表彰を受けていますし、昨年開催された大阪・関西万博にも、量子力学をテーマにした巨大プロジェクトを出展している。名実ともに日本を代表する顔だったんです。
常々、研究や教育の場で『共創(きょうそう)』という言葉を大切にしていました。『ただ誰かが作ったものを使う(ユーザー参加)のではなく、遊び場そのものをみんなで土台から作り上げること(共創)こそが重要なんだ』と。
そしてシステム作りでも教育でも、『一番大事なのは、本人の意識をどこに置くかだ』と熱っぽく語っていました。あまりのことで信じられません」
日頃から学生たちに「一番大事なのは、本人の意識をどこに置くかだ」「志を高く持て」と説いていた江渡容疑者。日本のAI研究を牽引し、人工知能学会の理事という重職にも就き、大学での教育や学会運営に携わっていた人物が、SNSを通じて少女と個人的な接触を持っていたという事実に、捜査当局も困惑を隠さない。
「被疑者の男については、本人は『大学教授』なんて言っているけど、ネットで調べると色々出てくるね。メディアアート? アートサイエンス? 詳しくないから私らにはよく分からんけど、万博の美術品がどうのこうのとホームページにはもっともらしいことが書いてあって、多岐に頑張って活動していたんだなとは思っている」(捜査関係者)

