常盤山親方の定年退職により旧常盤山部屋を継承し、湊川部屋に部屋名を変更した元大関・貴景勝の湊川親方。
「きれいごとは言ってられない。(弟子たちを)強くするのが自分の今の仕事」
親方はそう言い切っている。
春場所(3月8日初日)に向けて、稽古開始時間を午前8時から2時間遅らせ、稽古時間もおよそ半分の2時間程度に短縮。
「いろいろ試行錯誤しながらですけど。しっかり寝ることも大事。僕の場合は稽古が長くないので、集中してやりきれるようにした」(湊川親方)
2月26日の稽古を見てみよう。
2組同時のぶつかり稽古にスクワットなどのハードな基礎運動と、力士たちは体を休ませることなく動き続けた。相撲の稽古は手を抜こうと思えばいくらでも抜けるのに、それができないのだ。
相撲を取る稽古では一番一番、親方が声をかけ続ける。
「友達でも何でもないんだから、叩きのめせ」
「優しさは捨てろ」
「勝たなきゃ始まらない。カッコイイ勝ち方は横綱だけでいい」
「堂々と仕切れ」
「きつくなったら、親のために頑張れ」
精神面を鍛える厳しい言葉だけでなく、
「強く当たるというより、走り抜けるイメージで」
「取りにいくんじゃない。出て当たった先に上手が見えてる。そのマインドでいった方がいい」
「当たるだけじゃない。当たって押し込まないと」
親方が知っていることをそのまま伝えたという。
湊川親方は言う。
「できるだけ具体的に言った方がいいと思っている。一人一人、性格も力の出し方も違う」
力士のコンディションや性格を考え、言葉を使い分けていることを明かしたのである。幕内・隆の勝、十両・若ノ勝から若い衆まで、同じメニューで取り組むやり方はユニークだ。
「関取衆が若い衆と同じぐらいの稽古量をこなしたら、間違いなく強くなる。さらに伸びる」(湊川親方)
角界最年少師匠の船出は、どんな結果となるか。
(蓮見茂)

