
1980年代に一世を風靡した伝説のギャグ漫画が、令和の時代にまさかの復活。1月より放送中のTVアニメ「ハイスクール!奇面組」が、往年のファンから新規層まで巻き込み話題を呼んでいる。個性豊かなキャラクターたちが繰り広げるドタバタ学園コメディである本作で、「奇面組」のリーダー・一堂零を演じるのは関智一。そして、硬派な冷越豪を武内駿輔、かわいらしい物星大を戸谷菊之介が演じるなど、実力派キャストが集結した。放送も中盤に差し掛かり、ますますヒートアップする物語。今回は、奇面組メンバーを演じる3名にインタビューを実施。出演が決まった際の驚きのエピソードから、レジェンド・千葉繁へのリスペクト、そして笑いの絶えないアフレコ現場の裏話まで、たっぷりと語ってもらった。
■「どうせ受かんないっすよ」からの逆転劇? 奇面組結成の裏側
――まずは、本作への出演が決まった際のお気持ちをお聞かせください。
武内 前回のアニメで豪くんを演じられていたのが、弊社(81プロデュース)の大先輩である玄田哲章さんだったんですね。豪くんって、どこか玄田さんの人柄とリンクしているところがあるなとも思っていたので、玄田さんの人となりみたいなものも演技に入れられたらいいなと思ってオーディションに挑みました。なので、決まった時は本当に嬉しかったです。
戸谷 僕は「奇面組」という作品のことはほとんど知らなかったんです。僕が生まれる前の作品ですし、どこかで名前を聞いたことがあるなくらいで。でも今回、制作陣から大くん役でオーディション指名をいただいたんです。それで初めて旧アニメを観させてもらって、驚きました。「このキャラを指名してくださったということは……え? どういうこと?」って(笑)。
武内 「そういう目で見られてんのかな?」みたいな(笑)。
戸谷 そうなんです(笑)。ただ、キャラの説明文に「乙女チックでガーリーなものが好きだけど、一番頼りになる」と書いてあったので、可愛いだけじゃなくて、芯の強さみたいな部分も表現したいなと思って演じました。それがハマったみたいで、決まった時は嬉しかったですね。

関 僕の場合、事務所にオーディションの話が来てて、「関さん受けますか?」って言われて。ただ特に指名とかでもなかったですし、マネージャーも「おそらく若い世代でやるだろうから、受けてもどうせ受かんないっすよ」みたいな感じでした(笑)。
武内 そんなスタンスだったんですか(笑)。
関 そうそう、「まあせっかくだから受けとこう」っていうくらい。「ワンチャン狙えるとすればこの辺りですかね」って、奇面組の周りの役を勧められたんですけど、「いや、どうせなら一堂零やっとかないと意味なくない?」って言って。そしたらたまたま受かっちゃって、みんなで「受かったじゃん!」ってびっくりしたみたいな(笑)。
――ダメ元だったんですね。
武内 でも僕からすれば、関さんが零を演じると聞いて安心感が半端なかったですよ。関さんになら全てを捧げられるし、いい意味でエンジンをかけられる存在なので。
戸谷 僕も全く同じです。関さんの名前を聞いた時の安心感はすごかったです。

――役作りについては、どのようにアプローチされたのでしょうか?
関 一堂零という人物については、先代の千葉繁さんの芝居以外では全く想像できなかったんです。何しろ、全てが支離滅裂ですから(笑)。だからとりあえず一回、千葉さんの真似をしてみようと思って。そうすると、やっぱりそれがシックリくるんですよ。
――モノマネから入ったんですね。
武内 キャラクター性を掴むキッカケとして、千葉さんの存在が大きかったということですよね?
関 フォローありがとう(笑)。そう、たしかに最初はモノマネから入りましたけど、やっていくうちに自然と自分が出てきますから。あと、実は第1話の収録前にたまたま別の現場で千葉さんに会って、「一堂零をやらせてもらいます」って挨拶したら、「ぴったりだと思うよ」って言ってくれて。そこでもう「じゃあいいや、千葉さんの真似しよう」って腹を括りました(笑)。

武内 僕も関さんと同じで、キャラクター性を掴むという意味で、先代の玄田哲章さんの存在は大きかったです。豪くんは硬派に見えて、実は実直だし、自分から場をかき乱すというよりは、黙って零くんについていくタイプ。その「零くんについていく感覚」や、男としての「理想像」みたいな部分は、自分の中にあるものともリンクさせながら作り上げていきました。
戸谷 僕は、大くんのジェンダー的な表現については、昭和と令和ではだいぶ変わっているのかなと思いながら臨みました。塩沢兼人さんが演じられていた大くんもリスペクトしつつ、可愛いものが好きで、自分も可愛くなりたいという要素を大切に演じました。


■「理屈じゃない面白さ」アドリブなしでも成立する“完成された”脚本
――80年代の作品を令和にリブートするにあたり、意識された点はありますか?
武内 僕は、変に「令和らしさ」を意識しすぎないようにしました。完成した映像を見ても、原作や以前のアニメの良さをすごく大事にしていると感じましたし、大きく設定やストーリーが変更されているわけでもないですから。あと、後半になると今のスタッフさんたちが作ったオリジナルのエピソードも入ってくるんですけど、それもまた面白いんですよ。
関 そうそう。今の感性で作ったオリジナルエピソードも、原作のテイストをうまく拾っていてバランスが良いんです。だから、いつの時代でも「奇面組」は成り立つんだなと思いましたね。
武内 個人的には、今の時代だからこそ「ノリとテンポ感」を大事にしたいなと思っていました。今って、何事にも理由や正解を求めて、言語化したがる傾向があるじゃないですか。でも「奇面組」は、そこを無視できる(笑)。「なんかよくわかんないけど、面白いからいいじゃん!」という感覚を、この作品で感じてもらえたらいいなと。
関 まあ、ギャグだしね(笑)。
武内 そうなんです。セリフの意味や伏線を考えるのではなく、「会話をしているだけで面白い」という空気感を大切にしました。
戸谷 そのポンポン進むテンポ感が、すごく令和っぽいなとも思いました。若い人が見ても新鮮に感じるスピード感だと思います。

――5人の掛け合いが凄まじいテンポ感で、アドリブの応酬にも注目ですが、収録はいかがでしたか?
武内 いやもう、めっちゃ速いですよ。本当に速い。
関 でも、実はアドリブはそれほど入れていないんですよ。
――えっ、そうなんですか?
関 元々の脚本が面白く作られているので、余分なものを入れるとブレてしまう気がして。僕は結局、あんまり入れなかったですね。ただ、出瀬潔役の松岡(禎丞)くんだけは、すごい果敢に頑張ってて(笑)。
戸谷 たしかに。現場でも笑いが起きていましたね。
武内 あとは例えば、潔くんが犬のフリをするシーンで、大くんが「アイボ!」って鳴いたのはアドリブだよね?
戸谷 そうですね。あれは絵がロボット犬になっていたので、僕も絵に合わせて「アイボ!」って鳴き声を入れてみました(笑)。
武内 オンエアで採用されている以上に、チャレンジしている回数は多いですよね。
関 そう。果敢に挑んでも「やっぱ普通のもください」って言われた時の敗北感も味わいつつ(笑)。
武内 「ダメかー」って(笑)。


■自分とキャラの共通点は?「平和主義」に「理想の男像」
――ご自身と演じるキャラクターの共通点はありますか?
関 零は基本的には理解不能なんですけど(笑)。でもあえて言えば、意外と真面目というか、しっかりしているところ……ですかね。零って、バカっぽく振る舞っているけど、たまに核心を突くような良いことを言ったりするじゃないですか。「本当はすごい人なのか? いや、やっぱり違うか」みたいな(笑)。そういう掴みどころのない部分は、自分にもあるかもしれません。
――武内さんと豪くんはいかがですか?
武内 先ほども少し触れましたが、豪くんは「零くんについていく」タイプで、その感覚は自分もすごく分かるし、似ているかなと思います。あとは、格闘技やプロレスが好きという「男像」みたいな部分も、僕自身の好みともリンクしていて演じやすかったですね。
――戸谷さんと大くんは?
戸谷 僕は「平和主義」なところが似ていると思います。僕、人が怒られているのを見るのも嫌なくらい、争いごとが苦手で……。大くんも争いを止めようとするキャラですが、彼はそこに割って入る強さがある。僕はそこまでの勇気が出ない小心者なので、大くんは僕の「理想像」でもありますね。

――放送も中盤に入り、個性的なキャラクターが出揃ってきました。今後の見どころを教えてください。
武内 最初は奇面組が一方的に周りを巻き込んでいる印象でしたけど、だんだんと周りも奇面組に毒されていくんですよね(笑)。伊狩増代先生(CV:日笠陽子)の怒り方もどんどん派手になって、必殺技みたいになっていくし、ゴリラ化も進んでいくので注目してほしいです。
関 後半の見どころは、ラストに毎回、河川唯ちゃん(CV:白石晴香)が微笑んで終わるところですね。どんなにドタバタしても、唯ちゃんが笑ってくれれば丸く収まる(笑)。
戸谷 たしかに! 「唯ちゃんが幸せそうなら、まあいいか」って、謎の説得力があります(笑)。

――最後に、皆さんの「推しキャラ」を教えてください。
関 そう言えば、僕らの時代は「唯ちゃん派か千絵ちゃん派か」っていうのがありましたね。
戸谷 どっち派だったんですか?
関 僕は宇留千絵ちゃん派。元気があってボーイッシュな感じが好きで、それは今も変わりませんね。
武内 じゃあ僕は……邪子で!
戸谷 僕は三段腹幾重ちゃん。ちょっとしか喋らないんですけど、お芝居もめっちゃ面白くて、現場で爆笑しました。
――(笑)。ありがとうございました。
◆取材・文=岡本大介


