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夕闇迫る中、黙々とバットを振り続ける福永、新助っ人サノーの軽快な守備...上位進出を目指す中日のキャンプで見た光景<SLUGGER>

夕闇迫る中、黙々とバットを振り続ける福永、新助っ人サノーの軽快な守備...上位進出を目指す中日のキャンプで見た光景<SLUGGER>

今年で球団創設90周年を迎えた中日ドラゴンズ。近年は低迷が続いているものの、観客動員は好調。地元名古屋を中心に、老舗球団の復興を願う声は多い。チーム力も徐々に上昇し、6年ぶりのAクラス入りも現実味を帯びている。

 2月1日からは毎年恒例の沖縄キャンプを実施。大きな期待感も相まって、一軍のキャンプ地・北谷にはこれまでにない人出の多さが目立った。

■新戦力・サノーは攻守で存在感

 19日、北海道日本ハムとの練習試合が組まれた。2日前には相手のキャンプ地・名護で対戦しており、リターンマッチとなった。試合は4-8と敗れたのだが、開幕投手候補の柳裕也が2回をパーフェクトに抑え、主軸打者のジェイソン・ボスラーに特大の一発が飛び出した。

 そして、何といってもこの日はメジャー通算164発の大砲ミゲル・サノーの初実戦に注目が集まった。

 見せ場はいきなり訪れた。プレーボール直後、日本ハムの1番・水野達稀が放った二遊間の打球を田中幹也が横っ飛びで好捕して素早く送球、一塁を守るサノーが目いっぱい脚を伸ばしてキャッチ。最後は股割りのような体勢になりながらもアウトをもぎ取った。

 打席では4回の第2打席で三遊間を破る「来日初安打」をマーク。その前の打席は二塁ゴロに倒れたが、二遊間寄りの鋭い打球でシフトに阻まれる形。あとは角度がつけば、という打席内容だった(※実際、23日の千葉ロッテマリーンズとのオープン戦で来日1号アーチを放った)。

 豊富な実績を持ちながらもNPBに活路を求めたのは、度重なる故障渦から。公称126kgを超えるオーバーウェイトでの全力プレーは負担が大きい。正直、ヒヤヒヤしながら動きを見ていたのだが、試合後の特打にも参加して打球を飛ばしまくっている姿は頼もしさを感じた。

■ドラ1・中西は立浪前監督の前で投球

 キャンプ取材の醍醐味といえば、ブルペン投球を間近で見られること。北谷のブルペンは8人が同時に投げられるほどの広さを誇り、その様子は壮観の一言だ。

 一番奥のレーンでは、大野雄大が石伊雄太と組んで投げたり、涌井秀章が直球のみを何十球も投げ続けたり。真ん中のレーンには複数台のカメラが設置され、金丸夢斗が力のこもったピッチング。調整が遅れていたカイル・マラーも立ち投げメインではあったが投球シーンを見られた。

 新戦力では、アルベルト・アブレウ(元西武・当時の登録名は「アブレイユ」)が印象に残る。150キロを優に超えていそうな速球は力強く、鋭く変化するツーシーム、スライダーはブルペン捕手に細かくコースを要求しながら投球。WBCドミニカ共和国代表に選出されているのもあるだろうが、仕上がりの早さをアピールしていた。 また、ドラフト1位右腕・中西聖輝は19日に62球の熱投。同学年の味谷大誠に向けてストレート、カーブ、フォーク、スライダーを投げ込んだ。時折納得いかないボールもあったが、「もう1丁」と伝えて微調整を繰り返す姿が見られた。

 50球を超えた頃には、立浪和義前監督が視察に訪れ、井上一樹監督を含めてのスリーショットが実現。立浪氏から「あんま力まんでええよ」と声をかけられながら、中西はラストスパートをかけていた。

 他にも多くの投手がブルペンで投げ込み、捕手やコーチ、スタッフと状態を確認する姿が頻繁に見られた。中には5分以上捕手と話し合い、ディスカッションしていた者もいた。繊細な感覚の中で投手は生きているのだと、改めて感じさせてくれる。

■福永に見た「プロの練習」

 北谷キャンプで最も印象的だったのが、福永裕基の姿だ。

 昨季は背番号7を与えられ期待の大きさが窺えたが、2度の大怪我でシーズンをほぼ棒に振った。捲土重来を期す今季は内野のポジションを奪い返す立場にいる。

 19日の日本ハム戦は途中出場ながら3打数ノーヒット、2本の併殺打。残りの1打席も事実上の併殺打だった(※相手内野手が失策)。当たり自体は悪くないのだが、あまりにも結果が悪すぎた。

 危機感を感じさせたのが、試合後の練習だった。まずはサブグラウンドで約20分間の特守。三塁を守り、ノッカーの繰り出すゴロを淡々を受け続けた。その後、メイン球場に姿を現すと、ロングティーを30分以上にわたり敢行。一塁ファウルゾーンから右翼芝生席に向かって黙々と打球を飛ばし続けた。

 17時45分、すべてのボールを打ち終えた時には、他の選手は誰もいなかった。場内に居残った熱心なファンからは自然と拍手が起こった。

 福永のロングティーを見て感じたのは、振り続ける体力とスウィングの再現性の高さ。他の選手のロングティーを見ると打球方向がブレたり、スウィングが波打つことが散見される。福永にはそれが見られない。体力と技術の両方が伴わないとできない芸当で、これこそが「プロの練習」だと認識させられた。

 鍛錬を積み重ねることが必ずしも結果に結びつくわけではない。それでも、これだけの練習をできる選手が試合で結果を残せないのは無常だ。福永においてはまず、健康で1年間乗り切れるよう祈るばかりだ。

文●加賀一輝

【著者プロフィール】
かが・いっき。1988年3月6日、愛知県生まれ。2016年~23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。現在は執筆・編集を主に活動する一方、DAZN初のリアリティーショー『THE ANNOUNCER ~スポーツ実況者オーディション~』にも参戦。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。

配信元: THE DIGEST

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