レースそのものとは直接関係がないものの、ここ数ヵ月白熱しているエンジン圧縮比をめぐる政治的な議論は避けて通れない。メルセデスがエンジンの圧縮比を、熱による素材の膨張を活かし、レギュレーションで許されている16:1以上に引き上げる方法を見つけたと言われていて、ライバルたちはそれについて猛批判しているのだ。
メルセデスのトト・ウルフ代表は、開発プロセスを通じて、FIAに対して情報を提供してきたと語っている。しかしFIAは他のメーカーからの質問を受け、圧縮比の検査方法を変更することについて、投票を行なうことを決めた。
現在提案されている解決策は、これまでどおり常温時の圧縮比と、130度になった時の圧縮比の両方を検査するようにしようというものだ。しかしこれが導入されることになったとしても、実施されるのは8月1日になってからだ。つまり、シーズン前半はメルセデス以外のメーカーが苦しむことになるかもしれないが、メルセデスは8月に向け、追加の開発を強いられることになるというわけで、ある意味痛み分けということになる。
ただこれはF1における妥協の典型例であり、この問題はしばらくの間、水面下でくすぶることになるはずだ。
FIAのニコラス・トンバジスは、圧縮比が熱膨張によって変わっても、パフォーマンス面での優位性は多くの人が疑うよりもかなり小さく、それほど注目する必要はないものだと語っている。しかしこれもまたF1の常套手段と言える。
グレーゾーンやパフォーマンス面での差別化要因は、どんなに小さなモノであっても、激しく争われる。レギュレーションの変更で、F1では多くのことが様変わりした。しかしこの点に関しては、全く変わっていない。

