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なぜ椎茸が「ゲーミング」? 三代目農家が語る格ゲー大会から商標登録の経緯とその後

なぜ椎茸が「ゲーミング」? 三代目農家が語る格ゲー大会から商標登録の経緯とその後

Twitter完売から商標登録へ

 転機は2021年秋に訪れました。気温上昇により予想を超える大量のシイタケが発生、このままでは値崩れしてしまうと判断した植田さんは、Twitterで窮状を訴え、割引価格での購入希望者を募りました。

「自然のものなので、そういうことが起こりうるんです。通常どおり市場に大量に卸すと値が下がってしまうので、ネットで少しお安く販売するので買ってくださいって投稿したら、一気に100個ぐらい売れました」

 このツイートをきっかけに、スポーツニッポン九州版に掲載され、農業支援サービスのヤサイバー社から声がかかり、東京・大手町の直売所での販売が実現しました。

 さらには格闘ゲームコミュニティでも有名なプロゲーマーたちが「ゲーミング椎茸」を味わい、SNSに投稿、コミュニティを超えて全国的に知名度が広がっていきます。

 そして2023年1月、植田さんは「ゲーミング椎茸」の商標登録を出願しました。友人からのアドバイスだったそうです。

 2024年には、ゲーム実況者として、また『ストリートファイター6』の自動実況機能を担当したひとりとしても知られるアールさんとのコラボによる、「ゲーミング椎茸」のCM動画も公開されました。オファーから3年越しでようやく実現した企画だったそうです。

 また同年、ついに公式から声がかかります。2024年3月より愛知県蒲郡市の複合リゾート施設「ラグーナテンボス」にて開催された、JR東海とカプコンによる『ストリートファイター6』がテーマの公式イベント内で、「ゲーミング椎茸デー」が開催されたのです。

 当日はゲーミング椎茸の試食即売会はもちろん、植田さんと対戦して勝てばこれをプレゼントするというイベントも実施されました。椎茸はまたたく間に完売します。

「まさかカプコンさんの方からお声掛けいただけるとは夢にも思っていなかったので、本当に驚きましたし、一生忘れられない思い出になりました。ゲーミング椎茸として販売していて本当に良かったです。格ゲー界隈って本当に素晴らしいなと思います」


秋から春先にかけてが旬の椎茸だが、2025年夏の酷暑の影響もあり、今シーズンは不作という (画像:植田有裕さん提供)

さらなる転機で販売縮小→からの「復活の兆し」

 ところがその間にも、植田さんと「ゲーミング椎茸」には別の転機が訪れていました。「子供が生まれてからゲームの時間があまり取れなくなり、仕事のほうも忙しくなったこともあって」、ゲーム大会の開催は止まってしまいます。また2023年6月に発売された『ストリートファイター6』に、それまで使っていたキャラクター「メナト」が未参戦であることもあって、ゲームから徐々に距離ができてしまったとのことです。

「本人がゲームをプレイできていないのに、『ゲーミング』をうたうというのも……」と植田さん、格ゲーコミュニティや周囲に対する遠慮もあったようです。2026年2月現在、いまがシーズンの椎茸ですが、他の販路(後述)への出荷の拡大と、昨年の酷暑による不作も重なり、「ゲーミング椎茸」としての販売は大幅に縮小しています。

 一方で2024年より、地元である静岡県御前崎市の「御前崎ブランド」に「御前崎産肉厚椎茸」として認定され、地元での販路拡大に注力してきました。そして2024年12月、農協を通じ東京や名古屋への出荷を開始したところ、青果物卸売業界最大手の東京青果(東京都大田区)では最高価格で取引される高評価を獲得します。

 その視察時に「ゲーミング椎茸」が話題になると、先方が大いに関心を示してくれたとのことです。今後、東京などで再び「ゲーミング椎茸」として販売される可能性が出てきました。

「このまま埋もれていくのはちょっともったいないし寂しいとも思っていたので、また東京などで『ゲーミング椎茸』として販売できるようになったら嬉しいです」

 植田さんは「ゲーミング椎茸のおかげで、プロゲーマーさんやいろんな方たちとつながることができました。神のような存在の方々とつながれて、やってて良かったです」と振り返ります。農業など家業を継ぐ若い世代へのメッセージを聞くと、「SNSは使えるなら使わない手はないです。お金がかかるわけでもないし、自分で勉強してうまく広げられれば、仕事に直でつながりますから」と力強く語ります。

 一度は生活の変化で縮小していった「ゲーミング椎茸」、しかしその名は、品質への評価とともに新しい形で復活しようとしています。

配信元: マグミクス

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