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トッティ7年ぶりローマ帰還へカウントダウン 注目の役職はサネッティ式? マルディーニ式? 創立100周年の目玉、新スタジアム計画の追い風へ【現地発コラム】

トッティ7年ぶりローマ帰還へカウントダウン 注目の役職はサネッティ式? マルディーニ式? 創立100周年の目玉、新スタジアム計画の追い風へ【現地発コラム】

ASローマの「バンディエーラ(旗印)」フランチェスコ・トッティが、2019年以来7年ぶりにクラブに復帰する可能性が高まっている。現在、クラブとの間で話し合いが進んでいることが明らかになっており、来年迎える創立100周年という節目に何らかの形で復帰が実現するものと見られている。

 この動きが表面化したのは、2月7日、ローマの前監督で現在はオーナーであるフリードキン家のシニアアドバイザーを務めるクラウディオ・ラニエリが、伊スカイ・スポルトのインタビューでこう語ったことから。「クラブは(トッティの復帰について)真剣に考えている。フランチェスコがローマにとって真の意味で有用な存在になることを私は祈っている。彼はローマの一部なのだから」。

 ラニエリはローマ全般について語った7分半ほどのインタビューの最後に、上に訳出した通りのひと言を発しただけだったが、これをマスコミ各紙が即座にスクープとして報じ、SNS上でもあっと言う間に拡散されて大ニュースになった。

 トッティはその2週間ほど前に行なわれたELリーグフェーズのシュツットガルト戦で、約3年ぶりにスタディオ・オリンピコのスタンドに姿を見せていたが、このラニエリ発言の2日後のローマ対カリアリでも再びオリンピコで観戦。サポーターから大きな拍手と歓声を集めた。

 この時にはスポーツダイレクターのフレデリック・マッサーラが、DAZNのインタビューに答えてこうコメントしている。「フランチェスコはこのクラブの歴史だ。彼とフリードキン家はとても良好な関係を保っている。クラブは常にローマの利益だけを考えて振る舞ってきた。今回もその観点から判断を下すことになるだろう」。

 そしてその1週間後、2月16日にはついにトッティ自身が、スカイ・スポルトのマイクに対してこうコメントする。「ローマは常に私の家だ。私がいない時にもね。このところ噂に上っていたが、クラブと話し合っていることは事実だ。全員にとって最良の形になるよう、詳細を話し合っている。(復帰が)いつになるとは言えないが、話し合っていることは確かだ。ガスペリーニは素晴らしい仕事をしている。彼のことは知っている。少し前には一緒に食事に行って、いろいろなことを話した。サッカー以外のこともね」。

 さらに21日には、セリエAクレモネーゼ戦の前日会見で、ガスペリーニ監督がこう語った。「(トッティの復帰については)クラブともラニエリとも話したことはない。でも私に聞くのならこう答える。彼はローマにとって巨大な、とても巨大な資産だ。私が言い出したことではないが、これはいい機会だと思う」。

  当事者や関係者からのコメントは、曖昧かつ断片的なものでしかない。しかしこれらを通じて、トッティのローマ復帰という機運が少しずつ、段階的に醸成されてきていることは確かだ。おそらくそれはある程度意図されたコミュニケーション戦略なのだろう。

 これを受ける形で、マスコミの間では、トッティがどのような形でローマに復帰することになるのかについて、推測や憶測も交えた様々な報道が飛び交っている。それらがどのくらい信憑性があり裏が取れている情報なのかは、外部から見ているだけでは判断がつかない。しかし大方のところで一致しているのは、トッティは単なる「シンボル」や「お飾り」ではなく、実質的な権限を伴う役職に就く形での復帰を望んでおり、現在進められている交渉と調整もそれに関するものだということ。

 その背景にあるのは、2017年の現役引退後、無任所のダイレクターとでも言うべき立場で6年契約を交わしてクラブに残りながら、その2年後には、意思決定にまったく関与できないことを理由に、自らローマを去ったという経緯。この時トッティは、ローマのクラブオフィスではなく、市内にあるイタリアオリンピック委員会のプレスルームに会場を設定して、辞任記者会見を行っている。

「ASローマから辞任した。この日が決して来ないことを願っていたが、来てしまった。しかしこの決断は正しいものだ。何よりも優先されるべきはローマだからだ。ただ、この決断は私の責任ではない。なぜなら、私は発言する機会を与えられなかったからだ。強化プロジェクトにまったく関与させてもらえなかった。自分にはテクニカルダイレクターを務める能力があると思っているが、彼らはそれを望まなかった。この2年間、パロッタ会長とも(そのアドバイザーとしてクラブの外部から経営の実権を握っていた)フランコ・バルディーニとも、一度も話をしていない」

「もしローマに戻るとしたら? それは別のオーナーの下でだろう。私の可能性を信じて、一緒にローマのためにいい仕事ができると信じてくれるなら。私はローマのためにすべてを捧げたいと思ってきた。しかし今まで何度も、お前はこのクラブにとって重荷だ、選手としても幹部としても存在感が大きすぎると言われてきた。アメリカ人たちがオーナーになってからずっと、ローマからロマーニ(ローマ人)を排除したがっていた。彼らはそれを望み、最終的には成功した」

 この時ローマを保有していたジェームズ・パロッタから、現在のフリードキン家にオーナーが替わったのは、この1年後の2020年。彼らも当初はトッティと距離を置いていた。2021年にモウリーニョを監督に招聘し、2023年にはギリシャ人のリナ・スルークをCEOに据えて経営を委ねるなど、「脱ローマ化」「国際化」の路線を進めてきた。

  風向きが変わったのは昨シーズン半ば、クラウディオ・ラニエリが監督として戻ってきたことがきっかけだった。開幕から間もなく、トッティと並ぶクラブレジェンドであるダニエレ・デ・ロッシが電撃解任という形で監督の座を追われ、その首謀者と見做されてサポーターから集中砲火を浴びたスルークCEOも辞任。クラブの中枢が事実上空洞化するという混乱に陥っていたローマを救ったのがラニエリだった。

 自らの手でセリエAに昇格させたカリアリを残留に導いた23-24シーズン限りで引退を表明し、悠々自適の生活に入っていた名伯楽は、2009年、そして2019年にそうしたように、ロマニスタとしての純粋な心情から、愛するクラブをシーズン途中の深刻な不振から救い出す仕事を無条件で引き受ける。「ローマから呼ばれたら私はイエスと答えなければならない。なぜ戻ってきたのか? それはローマだからだ。違うクラブだったら間違いなく断っていた」。

 降格争いに巻き込まれかけていたローマを最終的に5位まで引き上げるという偉業を達成しながら、監督の座からは昨シーズン限りで退き、オーナーのシニアアドバイザーという立場に転身。自らの後任にガスペリーニを指名し、現場とオーナーの間に立って実質的な経営の舵取りを担っている。

 選手としてローマでプレーしたことはないが、ローマで生まれ育った生粋のロマーノ(ローマ人)でありロマニスタ。その点でトッティとは心が通じ合う立場にある。18-19シーズンの半ば、解任されたエウゼビオ・ディ・フランチェスコの後釜としてローマにやって来たのは、当時まだクラブに残っていたトッティに懇願されたからだった。

 上に触れた辞任会見で、トッティはこう語っている。「ここで私が唯一したのは、(2019年3月のディ・フランチェスコ解任時に)ラニエリに電話をして後任に来てもらったことだけだ。私が電話をすると何を聞くこともなく『明日トリゴリア(ローマのトレーニングセンター)に行く』と言った。無給でも来てくれただろう。彼には本当に感謝している。ロマニスタは彼を誇りに思うべきだ」。そのラニエリが、今度はトッティをローマに呼び戻す計らいを進めているというわけだ。

 トッティが、何の権限もない「お飾り」としてではなくローマに戻るとしたら、どのような形が考えられるのか。かつての「バンディエーラ」が、クラブの幹部として残るあり方としては、いくつかの形がある。インテルのハビエル・サネッティは、副会長として「クラブの顔」という役割を担いつつ、最終的な意思決定権は持たないが、その過程には関与する立場にある。アンドレア・アニェッリ会長時代のユベントスにおけるパベル・ネドベドもそれに近い立場だった。

  それに対して、より意思決定への関与度が大きい立場にあったのが、ミランで実質的な強化責任者であるテクニカルダイレクター(TD)を務めていたパオロ・マルディーニ。2018年に、当時TDだったレオナルドに請われて片腕として引退後9年ぶりに復帰、翌年TDに昇格して21-22のスクデットをもたらしたが、その直後にオーナーとなったジェリー・カルディナーレと意見が合わず、2023年夏に解任されている。

 ユベントスでは今シーズンから、TDよりもさらに経営トップに近いフットボールストラテジーダイレクターに、ジョルジョ・キエッリーニが就任している。こちらは、チーム強化よりもレイヤーがひとつ上のクラブとしての戦略を策定し、経営の最高責任者であるCEOをサポートする重要な立場だ。

 この中で最もトッティが望む形に近いのは、本人が「テクニカルダイレクターを務める能力はある」と語っている通り、マルディーニのような強化責任者としての立場だろう。常にチームに帯同し、監督と経営陣をつなぐパイプ役となりつつ、部下となるスポーツダイレクター(SD)と共に強化戦略を策定し、選手獲得の最終的な意思決定を行うそれだ。現在SD職にあるマッサーラは、ミランでほかでもないマルディーニの下でSDを務めた人物であり、役割分担は問題にはならないと見られている。

 一方、クラブサイドから見れば、トッティという「バンディエーラ」の帰還は、創立100周年という節目を飾るうえで、また市北部のピエトララータ地区で進んでいる新スタジアム計画の実現に追い風を吹かせるうえで、そして何よりサポーターの支持をさらに強固なものにするうえで、大きなメリットをもたらすトピックであることは間違いない。

 ただしこれは、トッティの望む(とりわけチーム強化にまつわる)意思決定への関与とはまた別の、むしろ「クラブの顔」としての役割と機能を期待する視点である。その意味ではモデルとしてはマルディーニよりもむしろサネッティのそれが近いかもしれない。

 だとすればおそらく、現在進んでいる「話し合い」は、この2つの側面をいかにバランスさせ、誰もが納得しハッピーになれる形で復帰を実現するかが焦点になっているはずだ。オーナーとその知恵袋(ラニエリ)、監督(ガスペリーニ)、強化担当者(マッサーラ)のいずれもが、復帰に前向きな姿勢を見せているとすれば、トッティが無理な要求をしない限り、落としどころは必ず見つかるはず。向こう数か月の間には出るであろう結論を楽しみに待ちたい。

文●片野道郎

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配信元: THE DIGEST

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