狙った目標を正確にとらえるアイアンのスイングは、どんなところにポイントがあるのか?世界のトッププロが集結した「ベイカレントクラシック」に出場した3選手のスイング写真から学ぼう!
“ゆるやか入射”でピンを刺す世界トップレベルのウエッジショット

ザンダー・シャウフェレXanderSchauffele
●1993年生まれ、アメリカ出身。178cm、75kg。2015年にプロ転向。2020年の東京五輪男子ゴルフ競技で金メダルを獲得。2025年の「ベイカレントクラシック」で優勝を飾り、キャリア10年目で通算10勝目を達成した。

アドレス~バックスイング(左の2枚の画像)
シャウフェレ選手のウエッジショットは、アドレスで左足のツマ先を少し開いています。短い番手のクラブは左にヒッカケやすいので、こういった小さな工夫や調整はすぐにマネしたいですね。バックスイングでは、腕のなかの三角形の形が見事にキープされたまま動いていますが、これは背骨を中心とした胸の動きをスムーズにすることがポイントです。
胸を動かしたときに「キツい」と感じる人は、ヒジを曲げたり、手首を積極的に使ったほうが腕のなかの三角形の形が崩れにくく、スイングの再現度が上がります。
トップ~切り返し(右の2枚の画像)
男子ツアーを見ているとウエッジショットのトップは総じてコンパクトです。しかし、シャウフェレ選手のトップにおける股関節や胸といった体幹部分の回転量は、フルスイングと変わっていません。つまり、腕や手元など手先の運動量を減らして方向性を上げつつも、メインのスイング動作は体の大きなパーツにまかせているということ。
切り返しは、骨盤がターゲット方向へ少しスライドしながらスタート。これによってクラブヘッドには遠心力がかかり、腕に力を入れなくても自然にダウンスイングがはじまるのです。

ダウンスイング~インパクト(左の2枚の画像)
シャフトが地面と平行になるところで、すでに骨盤はターゲット方向を指しています。左腕とクラブが作る角度が、さほど鋭角でないのも見どころのひとつ。PGAツアーのシビアなピンポジションの場合、スピンコントロールは必須の技術。比較的ゆるやかな入射角のスイングなので、バックスピンが入りすぎない球質で目標を狙っているように思えます。
また、インパクト時とその直前で骨盤の向きがほぼ変わっていないことにも注目。インパクト直前で体の大部分の運動量を落とし、それによって肩や腕といったパーツをスムーズに加速させています。
フォロースルー~フィニッシュ(右の2枚の画像)
右手の角度がついたままなので、あまりクラブヘッドを走らせておらず、ボールの打ち出しはとても低く出ていそうです。フォローでもヘッドのトゥ側が空を向いていますので、フェースはスクエア。バックスイング同様、このように腕のなかの三角形の形をキープするには腕や胸の回転がスムーズでなければなりません。
フィニッシュでは両腕、そしてクラブが肩幅の間に収まっています。つまり完全に体の前に腕やクラブを保ったまま振り終えたということであり、これがシャウフェレ選手の安定感抜群のウエッジショットの象徴です。

神ワザPoint:見どころは入射角を意識したダウンスイング。ベタピンを狙いたいウエッジショットは、ついインパクトを意識して上から打ち込もうとしてしまうが、シャウフェレ選手の場合は入射をゆるやかにするようコントロールしている。球筋を一定にしつつ、グリーン上のどこにどれくらいのスピン量で落とすかをイメージしているのがわかる。
非の打ちどころナシ!ザ・スタンダードスイング

アダム・スコットAdamScott●1980年生まれ、オーストラリア出身。183cm、81kg。2000年にプロ転向し、米ツアー通算14勝のうちメジャー1勝。ベテランの領域に入ってきたが、直近の「AustralianPGAChampionship」でも7位(13アンダー)と健闘。その存在感を示した。

アドレス~バックスイング(左の2枚の画像)
教科書どおりのアドレスです。1点だけ特徴をあげるなら、右手のグリップがややウィークであること。これでインパクトからフォローにかけて、ローテーションに制限をかけることができます。バックスイングはほとんど体幹の動きでクラブを上げていて、右足への体重移動はあまりありません。左腕が地面と平行になるタイミングでは手首、右ヒジが少し曲がっています。
関節を少し曲げながらトップに向かうほうが、切り返しでタメが強くなりすぎない。インパクトがどうしても刺さってしまうという人にオススメの動きです。
トップ~切り返し(右の2枚の画像)
トップのポジションはコンパクトですが、体幹部分は完全に回転しています。また、右前腕と左前腕が正面から見て重なっているということは、両腕が胸の正面にあることを意味している。切り返しでは、骨盤がターゲット方向へスライド。左股関節がほぼ左足の真上にきています。軸が左に移動することでスイングの最下点はボールよりもターゲット方向へ移動するため、ダフるリスクはこの動きでかなり減らすことができています。

ダウンスイング~インパクト(左の2枚の画像)
シャフトが地面と平行になるタイミングで、腰が上半身よりも先に“回りすぎていない”ことがスコット選手のスイングのGOODポイントのひとつ。アマチュアの場合は「下半身先行」という言葉に引っ張られすぎて、この段階ですでにお腹がターゲット方向を向いたり、右カカトが浮いて「振り遅れ状態」を作ってしまうことがあります。スコット選手のようにクラブスピードとの調和を崩さずに振り下ろしてくることが、アイアンショットで安定した距離感を得るコツでもあります。
フォロースルー~フィニッシュ(右の2枚の画像)
ターフ跡からインパクトゾーンの長さがうかがえます。ボールを打った衝撃や芝生の抵抗があるにもかかわらず、フェースがスクエアで動き続けているということは、わずかですがフェースを閉じるトルクがかかっているものと思われます。フォローでは両腕のなかの三角形の形がきれいにキープされていて、フェース面と自身の前傾角度がほぼ同じくらいになっていますのでフェースはスクエア。シャウフェレ選手のスイングでも見られた特徴ですが、フィニッシュで両腕とクラブが体の幅に収まっているのがわかります。

神ワザPoint:肩から先のパーツがハイレベルの精度で動いている。上の写真がバックスイングで、下の写真がダウンスイングだが、形はほぼ同じ。この再現性の高さはツアーでもピカイチ。入射角やヘッドスピードをイメージどおりに再現できるので、卓越した球筋のコントロールが可能となる。
