2月28日午前8時(日本時間午後3時)、アメリカとイスラエルがイランに対する大規模攻撃に踏み切り、イランの最高指導者ハメネイ師の殺害に成功したと発表した。これを受けてイラン側はイスラエルのほか、米軍基地がある近隣の中東諸国への報復攻撃で応戦するなど、中東情勢は大混乱の様相を呈している。
危機的状況に直面しているという意味では、ホルムズ海峡を挟んでイランと対峙するUAE(アラブ首長国連邦)も例外ではない。
UAE国防省によれば、攻撃開始の当日だけでも、少なくとも300発近いミサイルや無人機などによる攻撃が、主要都市を襲ったとされている。UAEの主要都市ドバイでも、あろうことか、観光や貿易の拠点として名高いドバイ国際空港が攻撃を受けた。爆撃による煙が立ち込める中、職員4人が負傷したと伝えられている。
このような事態を受け、日本の競馬関係者の間では、3月28日に行われる競馬の祭典「ドバイワールドカップデー」をめぐって「今回は開催中止になるのではないか」との懸念が一気に広がった。
過去の事例を振り返れば、2003年にはイラク戦争の影響でドバイWCに出走を予定していたゴールドアリュールが渡航を取り消したほか、2020年には新型コロナウイルスの感染拡大によって、ドバイWCそのものが中止されている。
競馬関係者が懸念しているのは、ドバイWC中止だけではない。ドバイのメイダン競馬場には、サウジカップなどに遠征して出走した日本馬が6頭、日本に帰国することなく調整を続けているのだ。その筆頭格が、昨年のドバイWC(ダート・2000メートル)で3着に敗れ、リベンジを虎視眈々と狙っているフォーエバーヤングである。
同馬を管理する矢作芳人調教師(栗東)は、緊迫する中東情勢について、こうコメントしている。
「(ドバイの)空港は閉鎖されているようだけれども(フォーエバーヤングについては)人馬とも問題なくこられています。我々として想定していたことですし、そのことに対する備えもしてきました。今は(中東情勢を)見守るだけです」
3月2日には助手を乗せて、ダートコースで調整したというが…。
はたして、今年のドバイWCデーは「安全」に開催されるのか。今はただ「世界のダート王」フォーエバーヤングをはじめとして、ドバイ(メイダン競馬場)に滞在する日本馬の「無事」を願うばかりである。
(日高次郎/競馬アナリスト)

