ホンダは、2021年限りでF1から一時撤退したというのが正式な立場。2022年から2025年までは、HRC(ホンダ・レーシング)を介してレッドブル・パワートレインズ(RBPT)をサポートしていたという身であり、この間はPU開発が凍結されていた。そして今年が”F1復帰”を果たすシーズンということになる。
海外では、一時F1から撤退したことで開発をストップしてしまったことが、今回の出遅れに関連しているのではないかとも報じられた。
渡辺康治HRC社長は、その可能性も否定できないと認めた。
「2021年で正式参戦が終了したことで、エンジニアは量産車の開発や先進エネルギーパワーユニット研究関連に異動しました。実際にプロジェクトから人はいなくなっています」
「その後は、レッドブルへの供給のためだけに、一部のエンジニアとメカニックが残っていたという状況だったので、そこには確かにブランクが発生しています。その後、2022年の11月にHRCとして(F1用PUの)製造者登録をして、2023年の4月にホンダの経営会議で参戦が認められました。そこからスタッフを集め始めましたから、多くのエンジニアが一旦いなくなっている状態なのは事実です。その影響は、正直に言って出ていると思います」
「2022年は、コスト制限がない時期でした。しかし2023年からはコスト制限が課された。エンジニアたちは頑張ってくれていますけど、プロジェクトに戻るというところでは、少し時間差があったというのも正直なところです」
武石伊久雄専務も、次のように説明した。
「エンジニアをF1のプロジェクトに戻すための、タイムラグがあったのは事実です。そしてコストキャップでも制限されました。当然、他のメーカーも同じ状況なのですが、そのタイムラグとかコストキャップの妙みたいなところも含めて、少し出遅れた感が否めないです」
「そこは自分の反省かなと思っています」
ただ、こういう状況を二度と生み出さないようにするための策として考えられたのが、F1のプロジェクトをHRCで担うという体制である。
これまでホンダのF1活動は、本田技術研究所内の”プロジェクト”として行なわれてきた。そのため、F1に参戦するとなれば、研究所内の各部門からエンジニア/スタッフが集められ、撤退するとなればエンジニア/スタッフは、他の研究開発部門に異動……F1の知見は引き継がれず、前述したような”ブランク”が生じることになった。
しかしかつては二輪のレース専門会社であったHRCに、四輪レース部門を統合し、F1もここで担うという形にしたことで、たとえF1から撤退することになったとしても、その経験が引き継がれる形にすることを目指したわけだ。
渡辺HRC社長は以前、こう語っていたことがある。
「F1は本田技術研究所内の”プロジェクト”という形を採ってきましたが、これには継続性の問題がありました。F1をやるためにプロジェクトリーダー(LPL)を定め、そこに社内の精鋭たちを集めてきました。しかし、いざF1の活動自体をやめてしまうと、F1に関わっていたスタッフが全員いなくなり、予算もなくなってしまうということになります」
「今後はHRCというレース専門会社の中でF1をやることになります。我々はHRCは、将来のモータースポーツの技術研究をやらせてもらうということを、親会社から許可されています。つまり、F1をやめたとしても、人や予算がゼロになることはないということが保証された。それが大きいと思っています」

