
「ちょっとビビって何も言えない」ベルギー上位戦線で奮闘する日本人DFが“声掛け”の重要性を説く!「クオリティーがあるから絶対に変われる」【現地発】
大詰めを迎えたベルギーリーグのレギュラーシーズン、3月1日にはヘンク対ヘントの直接対決が組まれ、ホームチームが3−0で完勝。8位だったヘンクがプレーオフ1出場圏内の6位にジャンプアップした。一方、6位からプレーオフ1圏外の7位に順位を落としたヘントには大きなダメージが残った。
伊東純也は千両役者。3日前、EL決勝トーナメント進出をかけたディナモ・ザグレブとのプレーオフの延長前半10分で、ヘンクの勝ち上がりを決めるゴールをマークした背番号10は、ヘント戦ではベンチスタート。それでも2点リードの73分からピッチに立つと、86分には気持ちの入った完璧なタックルでヘントのカウンターを阻止する。ファウル&イエローカードの判定に思わずボールを地面に叩きつけそうになるもグッと堪え、試合終了直前、右オープンスペースを突いた伊東がソルにラストパスを通し、3−0のゴールをアシスト。短い出場時間でも、伊東はしっかり見せ場を作り、しかも結果を残した。
ヘントは元気がなかった。個々の選手のクオリティーは上々。それがチームとして噛み合う時期があるからこそ、6位前後につけているが、この日のヘンク戦のように一度崩れると歯止めが効かない。
橋岡大樹は右SBとして83分間出場。前半終了間際には決定機を迎えたが、GKラバルの好守に防がれた。彼に試合後、「このチームは良かったと思えば悪くなる。あまりにも」と声をかけると即座に「差が激しい」とレスポンスし、こう続けた。
「僕が一番言いたいのは、選手自身がチームを変えたいという気持ちが少ないというか、自分のためにプレーしている感じがします。ミスしたら、助ければいい。さすがに『お前のミスだ』というところまでいかないですけれど、全体がもっとチームのためにプレーしないといけない。
そして、何か言うことを怖がらないこと。何か言うことで『自分もいいプレーをしないといけない』『自分がミスできない』とみんなが思っている節がある。何か言うことに対してちょっとビビって、誰も何も言えない。そう僕は思ってます。僕自身、トライしようとするけれど、自分の英語がちょっとまだまだなので、言いたいことを全部言えずにいる。そこがちょっと悔しい」
ここから橋岡は試合中の声掛けの具体例を示した。
「たとえ0−1、0−2で負けていても、諦めずにみんなが声を出す。『相手の選手が行ったよ、そっち見ろ、そっち見ろ!』といった本当にベーシックなコミュニケーションのところが不足しているのかなと、僕は思っている。そこさえできれば僕たちにはクオリティーがあると思っているので、絶対、チームが変わると思っている」
開始4分、エル・ウアディのゴールでヘンクに先制されたシーンがそう。ライン際でアデデジ=ステルンベルフに橋岡が対峙し、MF伊藤敦樹がそのカバーに入った時、ヘンクのMFハイネンがスルスルとボックス内に走り込んだが、誰もケアすることなくパスを通されてしまい、これが致命傷となって失点に繋がった。
それにしても橋岡が「(ヘントの選手たちが)自分のためにプレーしている感じがします」と語り出したのには、私にもいろいろと思うところがあった。前夜、アントワープと戦い終えたシント=トロイデン(STVV)のGK小久保玲央ブライアンと、こんなインタビューをしたからだ。
――順位表を眺めていて感じたのが、今、首位ユニオン、2位STVV、3位クラブ・ブルージュが4位以下に大差を付けています。この上位3チームに共通するのがチームワークの良さ。彼らのプレーから「One for all, all for one」の精神がプレーから伝わってきます。
「そこが昨シーズンとは違うところ。おっしゃる通り、みんながひとりのために走って、ひとりがみんなのためにやっているので、そこはすごくいいチームになってきていると思います」(小久保)
橋岡に「いま伺ったことは、まさに昨日、小久保さんとのテーマでした。One for all, all for one。ユニオン、STVV、クラブ・ブルージュの上位3位チームはそれを持っている」と尋ねた。
「絶対そうです。それがないと俺らは勝てない。僕もそれができるようにトライしてみます」
レギュラーシーズンは残り3試合。6位ヘンク(勝点38)と7位ヘント(同36)の差はわずか2。ヘンクは上位チームのユニオン、STVVと戦ってから15位のラ・ルビエールとの最終節を迎える。ヘントは次節、今季5位と好調のメヘレンとホームで戦うが、ここを凌げば12位ズルテ・ワレヘム、最下位デンダーと比較的、与しやすいチームが相手だ。しかし今のヘントの状況を鑑みると、対戦相手がどうこうと占っても無意味。敵は我にあり。克己こそヘント立ち直りの道標となる。
取材・文●中田 徹
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