小学館の漫画アプリ「マンガワン」をめぐる問題が、波紋を広げている。発端は、過去に児童買春・ポルノ禁止法違反で罰金刑を受けていた漫画家が、別名義で新連載を開始していたことだ。
編集部は起用判断の不備を認め、当該作品の配信停止と単行本の出荷停止を発表。しかし、経緯や再発防止策について具体的な説明が乏しかったことから、同アプリで連載していた漫画家たちが相次いで配信停止を表明するという、異例の事態に発展した。
さらに高橋留美子の作品にも掲載終了の表示が出され、海外メディアが反応。騒動はアプリの問題にとどまらず、出版業界の信頼を揺るがす事態となっている。
だが、問題はそれだけではない。近年は出版社に所属せず、SNSを拠点に活動する「野良漫画家」や、フリーランス作家を集めて配信するアプリが急増している。埋もれていた才能を発掘できるというメリットがある一方で、作家の経歴確認やコンプライアンスチェックがどこまで徹底されているのかは見えにくい。
今回の一件で明らかになったのは、作家の経歴確認が万全とは言えなかったという現実だ。と同時に、審査基準を明確にしていない小規模アプリや新興プラットフォームは本当に問題ないのか、という疑問が出てくる。
創作の自由は当然、守られるべきだが、匿名や別名義で活動しやすいネット時代では、作品を掲載する側の責任はこれまで以上に重い。とりわけ利用者に未成年を多く含むことを考えれば、なおさらだ。重大な犯罪歴を隠したまま再び活動できる仕組みを、そのままにしておいていいのだろうか。
才能発掘を掲げるのであれば、同時に透明な審査基準とチェック体制も明確に。業界全体でのガイドライン作りや、一定規模以上の配信事業者に対するルール整備など、具体的な対策を議論する段階に来ているかもしれない。

