「永田町大劇場」で繰り広げられたのは、アメリカとイスラエルによるイランへの先制攻撃で緊迫する中東情勢をめぐる「噛み合わない論戦」だった。
3月2日の衆院予算委員会で口火を切ったのは、共産党の田村智子委員長。高市早苗総理に対し、こう詰め寄ったのだ。
「当事国であるイスラエルが先制攻撃を認めているが、これは明白な国連憲章、国際法違反ではありませんか。ただちに無効な先制攻撃をやめるよう、求めるべきではありませんか」
高市総理はなんと答弁したか。
「詳細な情報を持ち合わせているわけではなく、我が国として法的評価をすることは差し控えさせていただく」
特に中身のない定型文を繰り返すばかり。しかも田村氏が「総理!」と指名し、高市氏が立ち上がろうとする刹那、茂木敏充外相がマイクの前に滑り込み、国際法の解釈をとうとうと述べるなどして、総理への追及を物理的に遮断。ついにブチぎれた田村氏が声を荒らげた。
「総理、総理! 総理に聞いてます。総理が答弁ください」
「鉄壁の盾」に守られた高市総理は3月の訪米を控え、あからさまにトランプ大統領を批判できない。相変わらずの「アメリカの犬」ぶりを晒して答弁から逃れた形だが、政治部記者は苦笑いしてこう語る。
「茂木氏としては、高市総理の不用意な失言を恐れてのことでしょうが、いくらなんでもガードが固すぎる。野党のベテラン議員からは『茂木さんは総理を守る騎士(ナイト)を気取っているのか、単に自分が喋りたいだけなのか。いずれにしても過保護すぎるガードで、あれじゃ誰が総理かわからないな』と失笑が漏れていましたね」
その茂木氏とは正反対に、不可解な「ダンマリ」を決め込んでいたのが、小泉進次郎防衛相だ。数日前には〈#ママ戦争止めてくるわ〉というハッシュタグに便乗し、「大切な子供さんを戦争に巻き込んではならないという思いは同じ」と、情緒たっぷりの進次郎節を披露したばかり。
しかし、いざ本物の戦火が中東で上がり、本来であれば防衛相としての見識が問われる場面、その口は真一文字に結ばれたままだった。
「自衛隊の最高責任者の一人でありながら、同盟国の軍事行動という最重要局面でひと言も発さない、いや、発せさせてもらえないというのは、どういうことなのか。まさに実務能力を試されるこの有事。にもかかわらず、得意のポエムも封印されて沈黙を守る姿は、まさに高価な置物、といったところでしょうかね」(前出・政治部記者)
厳しく迫る野党にまともに答えない高市総理、それを完全ガードする茂木外相、そして黙り込む小泉防衛相。これが「トランプ爆撃」「イラン有事」における、今の日本の姿なのである。
(灯倫太郎)

