
俳優の山田孝之が仕掛ける俳優オーディション「THE OPEN CALL」が始動した。「THE OPEN CALL」は、山田がメインパートナー(審査兼任)として参加し、オリジナルの長編映画のために主演、主要キャストを募集するオーディションで、「15歳以上」であれば年齢、性別、国籍、所属事務所や演技経験の有無を問わず、誰でも挑戦できる、名前通りオープンなプロジェクトとなっている。このほど、動き出したプロジェクトについて山田にインタビューを行い、オーディションに参加する人に求めるものや、自身も俳優として四半世紀にわたって挑戦を続けてこられた“原動力”などを聞いた。
本プロジェクトには、まだ見ぬ才能と出会うため、山田を中心に、伊藤主税(オリジナル映画脚本)、阿部進之介(企画・プロデュース)、榊原有佑(オリジナル映画・脚本・監督)、山田兼司(オリジナル映画企画監修)といった、映画業界で実績を持つクリエーターたちも参加。
2027年の劇場公開を目指す長編映画製作に向け、オーディションの開催だけでなく、Leminoにてオーディション番組「THE OPEN CALL -MAIN PARTNER 山田孝之-」として配信することも決まっている。
■年齢・職業不問「俳優っていつ始めてもいいと思ってる」
――「THE OPEN CALL」がいよいよスタートしました。とても興味深い企画ですよね。
「オープンコール」というのは海外にはあるみたいです。ただ、応募してくるのは組合に登録されている俳優さん。僕らは「15歳以上」という条件だけで、今の職業も問わないので、いろんな意味で新しいことができるんじゃないかと思っています。
俳優っていつ始めてもいいと思ってるし、いろんな人がいて、それは全て個性になるので、いろんな人に応募してもらいたいなって思っています。
――何歳からでも始められるのも俳優業の魅力だと。
はい。50代、60代から始めてもいいんですから、夢があるじゃないですか。実際に、そういう方もいらっしゃいますし、お芝居をやってみたいと思っている人ってたくさんいらっしゃると思うんです。そういう方にとってのチャンスになると思います。
――以前から構想はあったんですか?
長編映画を作るためにオーディションをやったことはあります。今回、一緒にやっている阿部進之介が企画・原案・主演をやった「デイアンドナイト」という映画(2019年公開)で、藤井道人監督とも出会ったし、(制作会社の)「and pictures」の伊藤さんとも会って、そこからみんなで一緒にやり始めたのがきっかけになっています。
――俳優業、お芝居をすでにされている方にとっても大きなチャンスの一つになりそうな企画ですね。
本当にどの人にとってもチャンスだと思っています。もしかしたら未経験の方のほうがいい味を出せるかもしれないって思うんですよ。
要は、自分の中で「お芝居ってこうだよね」って、変に凝り固まっているとよくないので、「お芝居はこうでなければいけない」とか「オーディションにはこういうふうに臨まないといけない」とかの固定観念がないほうが自由にやってくれそうな気もするので、そういう意味でも、全く経験のない人にも来てほしいなって思うんです。
――どういう人が来るのか分からないという意味では、選ぶ側として楽しみだと思いますが、選ぶ基準がないとも言えるので、難しさもあるのではないかと思ったのですが。
どういう方が来られるのか分からない、予想できないということで言うと、難しい感じもするんですけど、純粋に会ったことのない人と会えるのが好きですし、うれしいので、あまり「難しい」とか「どうなるのかな」みたいな不安や、心配はしていないです。
――そうなると、“どんな人が来るのか”とか“どんな話が聞けるのか”とか、ワクワク感のほうが大きいんですね。
はい。いろいろ興味ありますね。「なぜ今回応募したのか?」というところもそれぞれ理由は違うと思いますし。
■オーディションでは「『自分って何なのか』というのを出すしかない」
――オーディションに応募する人は、自由度が高いだけに、どういうふうに臨んだらいいのか分からないと思っている人もいるのではないかと思います。
例えば自分が16歳だった場合、60歳の人も応募してるって考えたら、もはや戦略なんてないと思うんです。
――確かに、同じ年代の人だけを募集しているオーディションであれば、その人たちと同じ役を競い合う感じになることが多いと思いますけど、年齢が違うと同じ役というのはあり得ないですし。
そうなんです。「20歳から25歳まで応募します」っていうオーディションであれば、同世代のライバルの中でどう勝ち残るかを考えると思いますけど、年齢もバラバラで、性別問わずですから、「自分って何なのか」というのを出すしかないですよね。
――ライバル視するのではなく、自分を出すことが大事だと。
はい。オーディションを受けたことで、その人自身も知らなかった特徴、長所が見つかるかもしれません。コンプレックスも含めて個性ですから、その人が短所だと思っていたところが、実は他の人から見たら魅力的だったりすることもあり得ますし、そういうところを克服したくて、自信をつけたくてやって来る人もいるでしょう。
――そういうことであれば、どんどんオーディションに応募してチャレンジすべきですね。
結局、自分次第なんです。世間からどう見られるかというのも含めて。世間は自分の鏡写しだと思いますから。オーディションを受けて落ちたら恥ずかしい、という感覚はまずなくていいと僕は思っています。だって、挑戦した時点ですごいことなので、自信を持ってほしい。
それは俳優とか映画とか関係なく、新たなことに、全く未知の領域に踏み込むっていうことを少しでも経験していれば、何か今後の自分の人生に役立つと思っているので、このチャンスを逃さずに一歩踏み出してみてください。
――「自分はこれしかできない」とか「自分はこれができない」と決めつけない。
先に言い訳を作ると楽なんです。もちろん逃げ道を作るのは大事なんですけど、人生一度きりと言いますけど、いろんな失敗もあっていいと思うんです。世間は“失敗”っていうかもしれないけど、それは経験ですし、“学び”でもあるので、その先に向かって進んでいく気持ちがあれば“失敗”ではないんですよ。
■俳優業を続けてこられた原動力とは
――オーディションでは、人間性というのも重要とのことですが、山田さんからみて「魅力的だな」と思う人物像は?
それも答えは一つではないですね。超コミュニケーション能力がないんだけど、なぜないかというと、ひたすら役と向き合ってるから、という人もいれば、本当にこの人が現場にいてくれたらいいんだよねっていう人もいたりするし、答えがないんです。
今回、番組で“過程”を見せていきますから、見た人が「昔諦めたあれをやってみようかな」って思えるコンテンツになったらいいなとは思いますね。
――25年以上も俳優業を続けられていますが、長く続ける秘訣(ひけつ)や原動力になっているものは?
一番は、まだ誰も知らない役っていうものを理解していける、一つになれるっていう喜びが大きいですね。答えがないからじゃないですかね。答えがないからやれる。
飽きないようにする工夫も大事ですね。俳優として芝居をするということ自体はずっと一緒なので、じゃあいろんなジャンルの作品に出てみる、いろんな監督さんと、いろんな俳優さんとやってみるというふうに。嫌われ役、嫌な役、ファンが減るかもしれない。でも、俳優としての経験値はプラスになる。じゃあ、やったほうがいい。そういうふうに考えながらやっていくと気付けばこれだけ長くやっていた感じです。
――最後に、エントリーされる方や配信番組を見る方に向けてメッセージをお願いします。
挑戦というと重い感じがするので、“試しに”参加する程度でいいと思っています。最終的にはそこまでの職人になっていただきたいですけど、最初は気軽に、見てくださる方も気楽に見ていただいて、「自分も何かやってみよう」と思ってもらえたらうれしいです。
◆取材・文=田中隆信

