2026年も引き続きF1のレーシングブルズでリザーブドライバーを務める岩佐歩夢。“控え”のポジションが故にフラストレーションを感じる役割でもあると言われるが、彼はそういった感情には支配されていない。
岩佐はレッドブルの育成ドライバーとして2022年、2023年とFIA F2で好成績を挙げ、2024年からは日本のスーパーフォーミュラに参戦し、2025年にはチャンピオン獲得した。このように結果を残し続けてはいるが、F1のレギュラーシートには届かずにいる。
しかしレッドブル系F1チームとの関わりは持ち続けており、これまでレッドブル、レーシングブルズからフリー走行やテストに複数回参加。ファクトリーでのシミュレータドライブを担当したり、レーシングブルズに同行してサーキットを訪れ、そこでチームをサポートしたりしている。金曜夜にはファクトリーでシミュレータを走らせ、土曜日からサーキットに……という過酷なスケジュールで動いた時もあった。
そんな役割は、もちろんドライバーにとってプラスになる部分はありつつも、精神的には決して楽な仕事ではないという声もある。かつてアルファロメオ(ザウバー)からF1に参戦し、昨年フェラーリでリザーブドライバーを務めた周冠宇は、メンタル面での負担についてこう語っていた。
「精神面では大変だ。なぜなら、そこでレースをしている人たちの中には、これまで一緒に何年も戦ってきたり、何なら倒してきたドライバーもいるからだ」
「自分もそこにいたいし、彼らと一緒にグリッドで戦う資格があると感じている。だからこそ、ただレースを見ているだけという状況が精神的に辛い」
F1レギュラードライバーの中に、自分が倒してきたドライバーがいる……これは岩佐にも言えることだ。岩佐は2020年のフランスF4でチャンピオンに輝いているが、佐藤蓮を挟んでランキング3位だったのが、今季レッドブルに昇格を果たしたアイザック・ハジャーだ。F2ではリアム・ローソン、ジャック・ドゥーハン、オリバー・ベアマンらと互角、もしくはそれ以上のパフォーマンスを見せた。
岩佐にこのことについて尋ねると、彼も上記のライバルたちに先を越されてしまったことに対する釈然としない感情は「正直あります」と答えたが、それが精神的な負担になっていることは全くないという。
「F1は速くて強いだけでは行けない世界であることは皆さんご存知だと思います。だからそこに対してフラストレーションを抱いても何も変わらないかなと思っています」
「今の自分の持っている環境、チャンスの中で何ができるかがすごく大事だと思っています。そもそも、冷静に考えればリザーブドライバーも誰もがなれるポジションではないと思いますし、それが自分にとって当然というか最低限のポジションになっているのはポジティブなことです」
「ただ、自分がやっぱり欲しいのはレギュラーシートです。そこに向けてリザーブという自分の立ち位置で何ができるのかを考え、チャレンジして、チャンスが来た時にレギュラーシートを掴みに行く準備や心構えをしていくことが大事だと思っています」
■SF連覇に向けテスト順調
そんな岩佐は、レーシングブルズのリザーブ業と並行してTEAM MUGEN AUTOBACSからスーパーフォーミュラに継続参戦する。タイトルを獲得した昨年は取りこぼしが多かったことから、今季は“全戦優勝”を目標に掲げている。
2月下旬には鈴鹿サーキットで2日間の開幕前テストが実施されたが、岩佐は常に上位のタイムをマークし続けた。岩佐本人はタイムは全く気にしていないと語るが、チームと共にこなしたプログラムは順調だったようだ。
「各チームそれぞれのテストプログラムがあるので、スピードに関しては全く分かりません。ラップタイムや順位、タイム差は全く当てにならないと捉えています。(2日目)午前中のトップタイム、午後の(4番手)タイムも気にしていません」
「自分たちが重視しているのは、テストプログラムをどれだけうまくこなせたかというところですが、そこに関しては結構満足しています」

