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新製品は買い替え時期が見てわかる エレコムの安全性の取り組みとは?【どうなるモバブ】

新製品は買い替え時期が見てわかる エレコムの安全性の取り組みとは?【どうなるモバブ】

【どうなるモバイルバッテリーのこれから・5】モバイルバッテリー絡みの事故が、話題に上ることが多くなった。政府も対策を進めているところで、今後は、事業者側に製品の回収義務が課されることになる。そこで、メーカー側は安全性に対してどのように考え、対処していくのか。本連載では、各社製品の特徴を踏まえながら、関係者に取材していく。今回取材したのは、特殊な素材を使用した製品で話題となったエレコムだ(BCN・寺澤 克)。

●特にモバイルバッテリーで支持集めるエレコム


 エレコムといえば、さまざまな製品を展開する日本のメーカー。BCNランキング(※)「モバイルバッテリ・充電器部門」では12年連続販売数量1位を記録するなど、とりわけモバイルバッテリーでは、ユーザーの支持を集めている。
(※)「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
 話を聞いたのは、商品開発部 次長の清水光則さん、商品開発部 コンダクション課 スーパーバイザーの田邉明寛さんの2人だ。
環境フリーで安全 ナトリウムイオン電池搭載製品が話題に
──貴社の製品の特徴は何ですか?最近はナトリウムイオン電池が話題となりましたが。
田邉さん(以下敬称略) ナトリウムイオン電池を使用したモバイルバッテリーは、安全性が高く、電池の充電サイクルも5000回と長寿命。温度も-35~50度と、低温環境でも耐えられるというのが特徴と言えます。
 そして、コバルトやリチウムといった環境負荷が高い素材を使っておらず、環境にやさしいところも見逃せない点だと思います。
ふくらみを許容しながら設計 多重保護により安全性を確保
──全体的なモバイルバッテリー製品ラインアップでいうとどうでしょうか
田邉 多重保護をかけることで安全性に配慮しています。
──多重保護。
田邉 万が一、一つ保護が働かなかった場合、他の保護機能でそれを補ってリスクを低減させる、ということです。
 当社のモバイルバッテリーは、ケース部分の物理的な保護に加え、充電時の入力保護、バッテリーセルの保護、接続した機器を壊さないようにする出力保護の四つの保護機能が働きます。それぞれに難燃性素材を使用したり、過電流保護や過充電保護といった機能を設けたり、保護機能を重ねているんです。
田邉 それと、バッテリーはどうしても膨らんでしまうもの。それをある程度許容しながら、多少膨らんでも圧力がかからない安全な設計を心掛けています。発火の原因になりやすい接続ポート部分にも耐久性が高く抵抗が少ない「金メッキピン」を採用することが多いです。
製品の評価やテストは自社3拠点で実施 布団にくるむなど独自試験も実用に沿った項目を多数用意
──工場の選定については。
清水さん(以下敬称略) モバイルバッテリーについては、海外の委託工場で生産しています。ただ、製品の設計データや評価などは当社の大阪、横浜、中国・深センの3拠点のエンジニアが実施し、こちらで責任を持って、製造を行っています。
 また、選定した工場には定期的にわれわれが立ち合い、監査や製品の抜き取り検査も行っています。
 特に、バッテリーセルは発火を伴う危険性のある部品ですから、事前に監査を行った信頼できる工場・メーカーにしか製造を依頼しません。
──製品の安全性を確かめるような試験では、何か独自のものを取り入れていますか?
田邉 そこは結構独特なことをしていると思いますね。毛布にくるんだりとか。
──毛布にくるむ?
田邉 はい。実際の使用環境を考慮して取り入れているものなんですけど、布団でくるんで使ってみるという試験なんです。わざわざくるんで使うなんて、ありえない状態かもしれませんけど(笑)。
──それはまた独特ですね。ほかにもそんな試験を?
田邉 そうですね…電車や車に乗ると思うので振動テストとか、あとはできれば避けてほしいですけど、ポケットにモバイルバッテリーを入れたまま座ったときにどうなるかとか、コンセントや端子の抜き差しを繰り返すとか、そういった検査を取り入れています。
清水 10年以上モバイルバッテリーを販売しているので、そのノウハウから、注意すべきところを把握したうえで、さまざまな検査を取り入れてきました。今では、だいたい60くらいの試験項目を設けています。自社でカスタマーサービスを展開 膨らんだバッテリーもできる限りは回収する
──不具合が起きた場合の対応などについて。
田邉 これまで2回ほど自主回収で対応させていただいた事例があります。ホームページでも告知のほか、大手通販サイトや家電量販店など、購入者をある程度特定できる場合は、個別にご連絡をしています。
 そのほかにSNSも活用しました。
──ユーザーサポートの体制は?
清水 われわれは札幌のほうに自社のサポートセンターを設けており、すべて社内で対応できる体制を設けています。そのほうがスピーディーに対応でき、開発現場への迅速なフィードバックも可能となります。
──安全な使い方に関する啓発などは?
田邉 Xやホームページ上での使い方の解説、そして製品マニュアルについてもよりわかりやすく改定を続けています。最近はAmazonなどでもそうした取り組みを始めています。
田邉 あとは捨て方ですよね。行政もさまざま取り組みを進めて、以前よりも捨てやすくはなっていますが、問題は膨張したバッテリーの処分です。
──確かに、膨らんでいると回収不可なんてことは多いですからね。
田邉 ただ、当社の製品であれば、膨らんでいても回収させていただいています。もちろん、防火シートなどでしっかり処理をする必要はありますが。
 ちなみに、回収自体については、モバイルバッテリーを販売し始めた2010年から取り組んでいます。
回収・資源化が課題 家電量販店などと協力し 回収してもらえる取り組み展開したい
──今後の展開は。
清水 回収もそうですが、どう資源化するかが課題の一つになっています。今後は、家電量販店などと協力して、ユーザーが迷わずに捨てられて、さらに回収しやすく、資源化できるような取り組みを進めていきたいと考えています。
──製品については。
田邉 より安全性の高いものに改良していく、それが基本的な方向性になります。電解質(バッテリーセルの中身の部分)がゲル状になった半固体電池を採用した次世代バッテリーの導入もですが、より安心して使えるような仕組みなども採用できればと考えています。
──ありがとうございました!

●半固体電池採用の製品を発売 バッテリーの寿命が把握できる機能も搭載し安全性を追求


 2月25日、エレコムでは早速、半固体電池を採用したモバイルバッテリーの新製品を発表した。
 業界内では、「半固体・準個体」の定義があいまいな現状があるが、エレコムでは「電解質がゲル状であること」「独自試験により、従来のリチウムイオン電池よりも安全性が高いと証明されたもの」の二つを定義づけし、開発を進めてきたとのこと。
 重量や体積については、従来のリチウムイオン電池と大差ない仕上がりとのことで、サイズ・重さもそれほど変わりがない。特に田邉さんによると、新機能「Health Monitor」には、かなりの時間をかけたという。充放電の回数から、電池の健康状態を自動で診断し、LEDの色でわかりやすく表示する機能で、買い替えのタイミングがわかりやすくなるという便利な機能だ。
 電池寿命は充電2000回程度と長寿命で、-15~45度と広い温度範囲で使用できる高い汎用性も備える。
 手持ちの古いモバイルバッテリーを交換することで割引で購入できる「古いモバイルバッテリー卒業キャンペーン」も行う。リチウムイオン電池搭載製品の処分法を正しく知ってもらう意図もある取り組みだという。
配信元: BCN+R

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