
片頭痛持ちの人は、仕事や授業中に頭がズキズキ、ガンガンして困ることが多いでしょう。
片頭痛は単なる強い頭痛ではなく、ひどい場合には、吐き気や嘔吐、光や音への過敏などを伴う神経学的な疾患です。
そして実は、片頭痛発作にははっきりとした「4つの段階」があることが分かっています。
この段階を理解することが、発作をうまく乗り切る鍵になるのです。
目次
- 片頭痛は急に起きない、「前兆期」と「オーラ期」
- 本番はここから、「頭痛期」と「後発期」
片頭痛は急に起きない、「前兆期」と「オーラ期」
第1段階:前兆期(プレモニトリー期)
片頭痛は、いきなり始まるわけではありません。
まず、痛みの発作の24〜48時間前から始まる「前兆期(プレモニトリー期)」があります。これはいわば“警告サイン”の期間です。
この段階では、集中力の低下、いら立ち、不眠、特定の食べ物への強い欲求などが現れることがあります。
一見すると体調不良やストレスのせいにも思える症状ですが、実は脳の「視床下部」という部位の異常な活性化が関与していると考えられています。
視床下部は体温、食欲、気分、睡眠などを調整する司令塔のような場所です。
ここが乱れることで、日常的な機能にじわじわと影響が出てきます。この段階で気づければ、早めの休息や薬の準備が可能になります。
第2段階:オーラ期
次に現れることがあるのが「オーラ期」です。ただし、オーラ期を経験するのは全体の約30%とされています。
オーラ期とは、視覚や感覚、言語に現れる神経学的な症状です。
代表的なのは視覚性オーラで、光がチカチカする、ギザギザの模様が見える、視野の一部が欠けるといった現象が起こります。
ほかにも、顔や手足の軽いしびれ感、言葉が出にくくなるなどもあります。
これには「皮質拡延性抑制」と呼ばれる現象が関係していると考えられています。これは脳の表面をゆっくりと広がる電気活動の波で、その通過に伴って一時的に神経の働きが変化します。
その結果、視覚や感覚に異常が生じるのです。
本番はここから、「頭痛期」と「後発期」
第3段階:頭痛期
多くの人が「片頭痛」と聞いて思い浮かべるのがこの段階です。
ズキズキと脈打つような頭痛が現れ、吐き気や嘔吐、光や音への強い過敏が加わります。
対処や治療をしない場合、この状態は4〜72時間続くことがあります。
この段階では、顔の感覚を伝える三叉神経が異常に活性化し、「カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)」というタンパク質が放出されます。
これが脳に痛みとして認識される一因です。近年は、このCGRPの働きを抑える注射薬も登場しています。
また、脳の延髄にある嘔吐中枢が活性化することで、吐き気や嘔吐が生じます。
つまり頭だけでなく、複数の脳ネットワークが同時に巻き込まれている状態なのです。
第4段階:後発期(ポストドローム)
激しい頭痛が去ったあとも、すぐに元通りにはなりません。
「片頭痛の二日酔い」とも呼ばれる後発期が待っています。
この段階では強い疲労感や集中力の低下が見られます。
脳が正常な状態へ戻ろうとエネルギーを使っているためです。ここで無理をすると、前の発作が完全に終わる前に次の発作が始まる「重複発作」につながることもあります。
段階を知ることが最大の武器
片頭痛は、突然襲ってくる不可解な痛みではありません。前兆期、オーラ期、頭痛期、後発期という4つの段階を経る、一定のパターンを持った神経学的現象です。
自分が今どの段階にいるのかを理解できれば、早めに薬を使う、休息を取る、無理を避けるといった具体的な対処が可能になります。
「また頭痛が来た」と嘆くのではなく、「いまはどの段階か」と考えること。それが、片頭痛に振り回されない第一歩なのです。
参考文献
A Migraine Is Not Just a Headache: The 4 Distinct Stages Explained
https://www.sciencealert.com/a-migraine-is-not-just-a-headache-the-4-distinct-stages-explained
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

