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男女で異なる大学進学の経済的利点…高卒女性は30年働いても「平均年収が250万円」という日本の悲しい現実

男女で異なる大学進学の経済的利点…高卒女性は30年働いても「平均年収が250万円」という日本の悲しい現実

地方に生まれ育った女性は、その出身地域や通っている高校の特性、保護者の学歴といった社的諸条件を乗り越えなければ大学進学が難しいと、教育社会学を研究する寺町晋哉氏は指摘する。


本記事では書籍『なぜ「地方女子」は呪縛になるのか』より一部を抜粋・再構成し、大学進学の経済的利点の男女差を明らかにする。

無視できない進学費用

将来就きたい職業がある、学びたい学問があるなど、大学へ進学する目的は人によってさまざまだろうし、そこに優劣はない。ただ、どんな目的であれ、無視できないものが「お金」である。

日本の高等教育は無償ではないため、高校以降の教育機関への進学は教育費がかかる。どれだけ志の高い目的だったとしても、経済的利点に見合わなければ、進学を躊躇してしまったり、諦めざるを得なかったりする可能性は高くなる。学歴が高いほど賃金が高くなる傾向にあるため、高等教育へ進学することには経済的利点がある。

しかし、大学進学による経済的利点は、男女で異なっている。

大学進学にかかわる教育費は、授業料などの直接費用だけではない。大学へ通った場合、高卒後すぐに就職したならば得られていた4年分の収入を放棄することになる(機会費用)。

極めて単純化して説明するならば、仮に高卒後すぐに就労し、手取り年収が200万円とすると、4年間で800万円の収入を得ることになるが、大学へ通うことでその800万円を放棄することになる。

そして大学へ通うことで、国公立大学ではおおよそ入学料約28万円と、年間授業料約53万円を4年間支払うことになり、約240万円の直接費用を要する。つまり、大卒後すぐに就労したとしても、高卒後すぐに就労する場合と比較して、1040万円の差が生まれている。

したがって、直接費用と機会費用を合わせた1040万円を「大卒後に就労した場合の収入-高卒後に就労した場合の収入」で回収できなければ、大学進学の経済的利点がなくなる。

男女で異なる大学進学の経済的利点

高等教育費に詳しい日下田岳史は、『現場で使える教育社会学』において、就職後のキャリアを中断することなく60歳まで働き続けた場合、大学進学にかかわる教育費の「投資」が、どの程度の利回り(私的内部収益率)になるのかを計算している。

日下田によると、男女ともに高等専門学校卒と大学卒の私的内部収益率が高い*1。それ以外の進路では、男性の場合、専門学校卒や短大卒の私的内部収益率はほぼゼロかマイナスなのに対して、女性の場合、2〜4年未満の専門学校や短大であっても大卒に匹敵する(場合によっては超える)値であり、2年未満の専門学校でもプラスである。

つまり、女性は高卒後に専門学校や短大、大学へ進学することが経済的には「合理的」な選択となる。

しかし、女性のライフコースは結婚や出産の影響を受けやすいため、「就職後のキャリアを中断することなく60歳まで働き続けた場合」という条件を満たせるかどうかが不透明になりやすい。

日下田は著書『女性の大学進学拡大と機会格差』の中で、収益率がプラスになるために、短大で30歳前半頃、大学で30歳半ば頃まで働く見込みが必要と指摘している。それより早期に就労を中止した場合、短大や大学への進学は経済的合理性がなくなってしまうのである。

この値は2009年データから算出されたものであるが、現在でも30代半ばで職業キャリアを中止すれば、経済的合理性という点では不利益を被ると考えられる。反対に、男性は結婚や出産の影響を受けにくいため、就労を継続しやすく、大学進学が経済的利点を伴いやすい。

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