新たに導入されるレギュレーションによって、大きく変更されたF1マシン。変更点は数々あるが、ファンにとって最も目を引くのは、リヤライトと新たにミラーに搭載されたサイドライトかもしれない。
プレシーズンテストから新マシンの走行に注目していたファンは、コーナーの出口でリヤのライトが赤く1回光ったりしているのを目の当たりにしたことだろう。スタート練習を正面から捉えた映像では、サイドミラーが黄色く点滅しているのも真新しい光景だった。
新レギュレーションで再デザインされたこれらのライトの色と点灯パターンは一体何を意味するのだろうか? これを理解してレースを観戦すれば、各マシンの状態も把握しやすくなるはずだ。
リヤの衝撃吸収構造ライト
車体後部中央に位置する衝撃吸収構造に搭載された楕円形のライトは、ほとんどの場合で赤色に点灯する。その主な機能は、パワーユニット(PU)のエネルギーレベルを示すことだ。
新PUは電気エネルギーの出力が大幅に増えている。そのため、たとえエンジンが全開でも、モーターの出力が下がっていたり、充電をしていたりすればマシンは減速することになる。
リヤウイングのエンドプレートに装着されるライトも連動し、外からでは分かりにくいPUの状況を、すぐ後ろを走るマシンに知らせて追突などの事故を防ぐ役割をこのライトが担っている。
『ERSステータスライト』と呼ばれるこの使い方には、3つの点灯パターンがある。
赤点滅1回:MGU-Kによる出力が設定された最大値350kWを下回っている場合
赤点滅2回:MGU-Kによる出力が完全に停止している場合
高速赤点滅状態:エンジンが通常通り作動しているにもかかわらず、MGU-Kが充電中の場合
このうち、高速で点滅しているケースは『スーパークリッピング』と言われる状態だ。これはエンジン全開状態を維持しつつ、MGU-Kでバッテリーを充電するというものだ。エンジンは全開にもかかわらず、マシンは減速することになるため、もっとも目立つ形で後方へ警告しているわけだ。
その点灯状況から、ライバルのエネルギーマネジメントを推し量り、バトルに役立てるケースも多く見られるはずだ。
また従来と同じく、例えばセーフティカー出動時など、以下のような様々な状況を知らせるためにもリヤライトは使用される。
・セーフティカーやバーチャルセーフティカー出動時
・レースコントロールが路面グリップ低下を宣言した時
・エンジンストール時
・ギヤがニュートラルに入っている時
・スピードリミッター作動時
・コース上でエンジン停止した時
・低速(時速20km未満)走行時
・ウエットタイヤ装着時
約180gの軽量化を実現した新デザインの衝撃吸収構造ライトには、後方オンボードカメラも搭載されている。またカラー変更も可能。赤色ではなく、青色で光る例外が、ルーキーが走行するパターンだ。
スーパーライセンスを持たないドライバーが、フリー走行限定ライセンスでFP1などに出走する場合、経験の浅いドライバーであることを知らせるのだ。
FIAシングルシーターディレクターのニコラス・トンバジスは、ライトの新たな役割について次のように説明した。
「まず、新しい仕様ができた。つまり、色を変更できるということだ。これにより、後続のドライバーに異なるメッセージを伝えることができる」
トンバジスはそうF1.comに語った。
「これは今後進化し、改善されていくだろう。ただ赤いライトだけを点灯させるのではなく、様々なライトを点灯させるためだ」
「(現時点では)充電中か急減速中かを後続のドライバーに警告することを目的としており、言うまでもなく雨天時の本来の機能も主な機能として備わっている。異なる色を使用できる新しい仕様により、後ろにいる人にさらに多くの情報を提供できると考えている」
ラテラル・セーフティ・ライト
ミラーに追加された新しいラテラル・セーフティ・ライトは、前方と側面の両方から視認可能で、スピンまたはアクシデントが発生した場合にのみ点灯する。
F1は安全対策を常に前進させており、このライトはマシンが停止していることを示す、追加のシグナルとなる。
オレンジ色の警告灯は、マシンが完全に停止したとき、または時速20kmを下回ったときに点灯する。レーススタート時に、ギヤがニュートラルになっている場合にも点灯するが、ドライバーがギヤを入れると消灯する。
「ドライバーミーティングでドライバーたちが出したアイデアなんだ」とトンバジスは付け加えた。
「ウエットコンディションでマシンがスピンして横向きになった場合、リヤのライトが見えなくなるというのが彼らの意見だったんだ」
「もしかしたら、近づいてくる車があるかもしれない。霧がかかっていると見えにくいかもしれない。側面灯を設置するという提案があったので、追加したんだ」

