高市早苗首相が2日夜、自分の名がつけられた暗号資産(仮想通貨)「SANAE TOKEN(サナエトークン)」との関係を否定する声明を出し波紋が広がっている。発行元がネットで高市首相の名前やイラストも使って宣伝した暗号資産に関連付けたこのプロジェクトに、高市首相もXでたびたび引用する【公認】と銘打ったファンサイトのアカウントが「共感」や「連帯」を表明していたからだ。
関わった企業は仮想通貨の発行に必要な登録をしていない可能性があり、金融庁も調査の検討を始めたもようだ。
「ただのミームじゃない。日本の希望だ」と書き込んでいた
SANAE TOKENは連続起業家・溝口勇児氏率いるNo Border DAOが2月25日にローンチし、YouTube番組「No Border」の公式Xアカウントを通じ発行を発表した。
「いわゆるミームコインですね。ミームコインとはジョークや風刺のネタで発行される暗号資産で、コインの名前に使われるキャラクターや人物とは無関係に勝手に発行されているものがほとんどです。
ありとあらゆるジャンルのコインがあり、多くは価値がゼロの“電子ゴミ”になると言っていいですが、中には一瞬で価値が数百倍になるものもあって投機ゲームとして楽しまれています」(暗号資産投資家)
「サナエトークン」の発行にあたり、No BorderはXで声明をポストしている。
〈新しいテクノロジーで民主主義をアップデートする「Japan is Back」プロジェクトを推進するためのインセンティブトークン「SANAE TOKEN」が本日発行されました。
「Japan is Back」は、No Borderアプリコミュニティの意見を踏まえながら、藤井先生が中心となって進めてくださっているプロジェクトです〉
No Border DAOが関わるとみられるホームページは、Japan is Backプロジェクトとはテクノロジーを活用して多くの声を収集、整理する「ブロードリスニング」と呼ばれる手法を使い高市首相らに寄せられた声を届け「日本の民主主義をアップデートする試み」だと説明。中心にいる「藤井先生」とは京都大学大学院の藤井聡教授とみられる。
同Xアカウントのポストでは、
〈トークンの名称も、民主的に選ばれたリーダーを象徴する言葉として“サナエ”を冠する流れになり、結果、「SANAE TOKEN」を発行するにいたりました。〉
と説明するが、プロジェクトのホームページでは、
〈”SANAE TOKEN"は、ただのミームじゃない。日本の希望だ。〉
と謳うそばに高市首相のイラストが描かれている。
高市首相が否定で大暴落…
さらに高市首相のファンクラブを名乗るXアカウント「【公認】チームサナエが日本を変える」(以下「チームサナエ」)は同2月25日、「Japan is Back」プロジェクトを紹介しながら
〈コミュニティ提案により実現した「SANAE TOKEN」という新たなインセンティブ設計も注目されています〉
とミームコインの存在も紹介。
〈チームサナエはこの取り組みに共感し、我々のVeanas号での活動と連携をして、共に日本の明るい未来を紡いでいきたいと思います〉
と表明していた。
初値が0.1円だったSANAE TOKENは、暗号資産の取引分析プラットフォ―ム「DEX Screener」の日足チャートによればローンチされた2月25日のうちに約4.2円と40倍を超える最高値を記録。その後は約1.73円~約2円の間を推移してきた。
「高市首相の名がつけられた上、京大大学院の藤井聡教授がプロジェクトに絡むということもあり、宝くじ感覚で買った人も多かったんじゃないでしょうか。それに暗号資産投資家ならかつての『トランプコイン』騒動を思い浮かべたでしょうしね。
トランプコインも『これ公認なの?』って不安が残るタイミングで買った人たちは爆儲けしています。トランプ氏自身が米大統領公認ミームだととれる内容をSNSでポストし、そこから約20倍まで跳ね上がったんですから」(同前)
この現象が拡大したのを見た高市首相は2日夜、関与を否定する声明をXにポスト。
〈名前のせいか、色々な誤解があるようですが、このトークンについては、私は全く存じ上げませんし、私の事務所側も、当該トークンがどのようなものなのかについて知らされておりません。本件について我々が何らかの承認を与えさせて頂いたこともございません。〉
その直後、SANAE TOKEN は約0.9円まで暴落し、3日には約1.1円程度で推移していた。

