今年も花粉症のシーズンが到来した。主な原因とされているのは、スギやヒノキの花粉だが、実は今、避暑地ならぬ「避粉地」がクローズアップされている。
避粉地とは「スギやヒノキなどが少なく、花粉を気にせずに過ごせる場所」を指す。国内ではスギやヒノキが自生しにくい寒冷地域や標高の高い地域、戦後に大規模な植林が行われなかった離島地域などが、代表的な避粉地に該当する。
この地域特性を生かす形で、全国各地の避粉地では今、「避粉旅」をキャッチコピーに掲げたツアーや、休暇と仕事を兼ねたワーケーションなど、避粉をテーマにした集客活動が盛んに行われている。中でも北海道東部に位置する釧路市は「避粉プロジェクトのトップランナー」として知られる。
釧路市は十数年前から「花粉ゼロの町」を謳い文句に、通常料金よりも割安な避粉ツアープランや、滞在費の一部を補助するワーケーションプランなどを積極的にPR。その結果、例えば釧路プリンスホテルが企画している避粉ツアーの昨年の予約者数は、プランをスタートさせた2020年のおよそ4倍に達したと報じられている。
ところが、だ。「花粉ゼロ」の看板には偽りがあるのではないか――。そんな声が地元で囁かれ始めているのだ。地元メディアの報道記者が指摘する。
「釧路市がスギやヒノキの少ない地域であることは事実です。しかし釧路市には寒い地域でよく育つシラカバが数多く自生しており、持病にシラカバ花粉症を抱える人にとっては、避粉地になりえません。初夏に花を咲かせるシラカバの花粉は、4月下旬から6月上旬にかけて飛散量のピークを迎えるので、この期間は要注意となります」
そこで釧路市の公式サイトを覗いてみると〈釧路にはスギやヒノキが自生していません。花粉症でお悩みの方にとってはオアシスかもしれません〉の紹介文に続いて、やや控えめな感じで、次のような「但し書き」が添えられていたのだ。
〈5月頃をピークに、微量ですがシラカバ等の花粉は飛散します〉
ちなみに「シラカバ等」の「等」には、花粉症を引き起こす「イネ科の植物」などが該当し、飛散期間は5月から9月にかけての長期に及ぶ。
この釧路の事例からもわかるように、避粉地に出向く際には、スギやヒノキ以外のアレルゲンの有無にも留意する必要があると言えるだろう。
(石森巌/ジャーナリスト)

