拡大と多角化ブランドの枠を超えて
2000年代、「ベイクルーズ」は急速に拡大した。和田さんは、「ベイクルーズ」が抱える複数ブランドのECサイトを統合する際に、「スタイルクルーズ」というサイトの組織づくりに奔走。
「服を売るだけじゃなく、生活を提案する。そこに入ってきたのが、食と音楽と空間です」。
渋谷公園通りでアウトレット業態「ベーセーストック」を立ち上げたのも、他ならぬ和田さんだった。
「在庫を街中で売るなんて誰もやってなかった。ぼくらは在庫もコンテンツだと考えました。どう見せるかで意味が変わるんですよ。結果、アウトレットが安売りではなく、再構築の場所へと変化していきました」。
その後、飲食事業へ。渋谷や代々木八幡でレストランとジムを組み合わせた複合施設を運営。
「一生黒字にならないと思ってました(笑)。でも服も食も、根っこは同じ。どちらも人を元気にするツールなんですよ」。
やがて時代はECへ。社内では「ZOZOTOWN」を軽んじる向きが強かったものの、和田さんは提携を進言し、前澤友作氏と出店の約束をしました。
「出店料ゼロ、在庫もある。『やらない理由がないでしょ?』って言ったら、窪田さんにしこたま怒られました。でも、結果は大当たり。ZOZOがきっかけとなり、潜在的な顧客層が姿を現したのです」。
それは、のちにベイクルーズが独自ECを構築する基礎ともなっていった。
「ぼくはずっと、やったことのないことをやりたかった。数字より、ワクワクする方を選ぶ。失敗しても何かが残るから」。
飲食、中国進出、EC。やったことのない領域へとトライしたのも、根底にあるファッションへの強い思いからだった。
「衣料って、人と社会をつなぐメディアなんですよ。新しい出会いを作れる。それが面白くて、43年間続けてこられたのです」。