妊娠中からできる予防「母子免疫ワクチン」とは

従来、RSウイルスの予防といえば手洗いや消毒といった生活習慣が中心でした。しかし近年、新しい予防策として注目されているのが「母子免疫ワクチン」です。これは妊婦さんが妊娠中に接種することで母体に抗体を作り、その抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行する仕組みです。生まれた瞬間から赤ちゃんを守れるという大きなメリットがあります。
接種できるのは妊娠24週から36週の間で、特に妊娠30週前後に接種すると、より効果的に抗体が移行するとされています。国内外の医師も「28〜32週ごろの接種が望ましい」と解説しており、妊婦さんの体調や出産予定日を踏まえた上で、かかりつけの産婦人科と相談しながら最適な時期を決めることが推奨されています。
この母子免疫ワクチンによって赤ちゃんに届けられた抗体は、生後およそ6か月まで効果が持続するとされます。特に重症化リスクが高い生後6か月未満の期間を守れる点で、これまでにない画期的な選択肢といえるでしょう。
接種費用と自治体の助成状況

母子免疫ワクチンは、これまでの生活習慣中心の対策に比べて強力な予防効果が期待できる一方、費用面も気になるポイントです。接種費用はおおむね3〜4万円程度とされており、基本的には自費負担になります。決して安くはない金額のため、導入をためらう妊婦さんも少なくありません。
ただし近年では、赤ちゃんの命と健康を守る観点から、自治体が独自に費用を助成する動きも広がりつつあります。すでに全額負担や一部補助を行っている地域もあり、今後さらに対象エリアが拡大していく可能性もあります。制度の有無は地域によって異なるため、住んでいる自治体の最新情報を確認しておくことが大切です。
また、医療機関ごとに取り扱い状況や接種スケジュールに違いがあるため、かかりつけの産婦人科に早めに相談することも重要です。費用と制度の両面を踏まえ、自分に合った方法で検討していくことが、赤ちゃんを守る第一歩につながります。
赤ちゃんを守るために今できること
RSウイルスは毎年のように流行し、乳幼児にとっては命に関わるほどのリスクを伴う病気です。重症化する危険性に加え、将来の喘息リスクまでも高めてしまう可能性があるため、決して軽視できません。
これまでの対策は、家庭での手洗いやマスク、消毒といった日常的な予防策が中心でした。そこに新しく加わったのが「母子免疫ワクチン」という選択肢です。妊娠中の母親が抗体を赤ちゃんに届けられることで、生まれてすぐの最も守ってあげたい時期に予防効果が期待できるのは、大きな安心材料といえるでしょう。
もちろん、すべての家庭にとってワクチン接種が最適とは限りません。費用面の負担や体調との兼ね合い、副反応の心配など、検討すべき要素もあります。だからこそ、かかりつけの産婦人科医に相談し、自分と赤ちゃんにとって最善の方法を一緒に考えることが大切です。 母子免疫ワクチンは、ママから赤ちゃんへの「最初のプレゼント」となるかもしれません。家庭でできる予防策とあわせて知識を深めることで、赤ちゃんの命と未来を守る準備を整えていきましょう。
