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史上初? 新宿署への届け出の9割を担う“性風俗専門”行政書士が、夜の業界でなくしたいもの

史上初? 新宿署への届け出の9割を担う“性風俗専門”行政書士が、夜の業界でなくしたいもの

異色のキャリアを経て“性風俗専門”の行政書士となった髙村直氏。彼は風営法手続きを通じて「夜の業界と行政の懸け橋になりたい」と語る。その想いから店舗型だけでなく、近年届け出が急増する「映像送信型性風俗特殊営業」(配信系)まで守備範囲は広がっている。


警察署で満額回答を引き出す実務の現場と、髙村が夜の業界で「なくしたいもの」に迫った『風俗カメラマン 「姫」を輝かせる者たちの世界』より一部抜粋、再編集してお届けする。〈全3回のうち3回目〉

史上初の性風俗を専門にする行政書士?

フーフェスの仕掛け人の一人である髙村直。2024年12月、品川区五反田で行われたフーフェスに初めて行った際、髙村と名刺交換をした。

「ごたんだ行政書士事務所代表」──。長身で均整の取れた体躯、決してギラギラしてはいない“しょうゆ顔”で、笑顔を絶やさない人懐こさがある。雰囲気としては、どことなく元サッカー日本代表の巻誠一郎を感じさせた。しかし、この時点ではフーフェスの仕掛け人であることさえも知らなかった。

その後、風俗写真家の酒井よし彦とも親しく話していたり、さまざまな業界関係者と会話する姿を見て、髙村とは、いったいどのような人物なのか、興味を抱いた。

髙村は1982年高知県生まれ。大学入学を機に上京。そこで、五反田にある風俗案内所でアルバイトを始め、性風俗業に関わるようになったという。

「最初、キャバクラでボーイのバイトをしようと思って面接に行ったんです。ところが、その店には『学生は雇えない』と言われ、断られたんです。しかし、『そういえば、最近できた案内所でバイトを募集しているよ』と教えてくれたのが、きっかけです」

その案内所は、日景忠男が経営する案内所だった。日景は、元芸能プロダクション社長。1983年に自殺した俳優・沖雅也の養父として知られていた。単なる経営者とバイトという関係を超え、髙村は日景を“東京の父”と慕うようになった。

「前もってお断りしますが、僕は結婚していますし、ノンケです(笑)。しかし、日景には人生とは何か、愛とは何かを叩き込んでもらいました。僕にとってかけがえのない恩人です」

風俗案内所というのは、客と店舗との“パイプ役”である。普段から性風俗店の店員や風俗嬢との信頼関係を築き、その店舗のサービス内容や金額を把握する。一方で、客は、どこに行けばいいか迷って案内所に足を運ぶ。身なりなどの外見やちょっとした会話などから、予算や好みを引き出し、マッチングする店を紹介する。

髙村は21歳にして案内所の醍醐味を覚え、人間観察のプロになっていく。これも日景の教えの賜物だと胸を張る。

大学卒業後の髙村は、一時、一般企業に就職したものの、日景から別事業の共同経営を持ちかけられ、会社を設立する。バイトから経営者となった。

「2004年に日景に出会い、彼が亡くなる2015年2月までの11年間、家族ぐるみの付き合いが続きました。しかし、日景は生前、『案内所が全てではない。次のステップに踏み出せよ』と僕に言い続けていました。でも、僕にはピンと来なかった。案内所の仕事に誇りも持っていたし、他のビジネスは思いつきもしませんでした」

それが日景の死によって変わった。何かを変えなければいけない。そう思い髙村は、大学院に入学する。いわゆる、“学び直し”だった。2年間でMBA、経営学の修士号を取得する。

夜の業界と行政の懸け橋になりたい

修士論文は「歓楽街を持つ地域の安心のまちづくりモデルの創出」。案内所で働いてきた経験を基に、風俗業界と行政、夜の街と行政の懸け橋になるためにはどうしたらいいのかという内容だった。

実践してきた内容は、「ソーシャル・イノベーション」。夜の街の変革だった。たとえば、店舗側の人間がたばこのポイ捨てをする。酔客も平気で捨てる。それを髙村は“拾う側”になった。行政には防犯カメラの設置要望などを出した。客引きやぼったくり防止の運動などを積極的に行ってきた。すると、区議や町内会の人たちが応援してくれるようになった。

このような実践報告を基にした論文は、髙村の“決意表明”でもあった。具体的で公益性が高い髙村の論文は、日景のアドバイスを具現化したものとなり、最優秀論文に選ばれた。2019年3月のことだった。

金儲けから街作りへ──。MBAを取得した髙村は、「次のステップ」に行政書士の資格取得を目指すこととした。

「夜の業界と行政の懸け橋になるために、国家資格を取りたかった。具体的に言えば風俗営業法、風営法手続きをやるためです」

こう考えた高村は、自身が経営する案内所事業を知人に譲渡し、行政書士の資格取得のため勉強を始めた。大学院を卒業した2019年のことだった。

翌年11月、高村は初めての試験に見事合格し、2021年3月に事務所を開設する。「夜のまち専門行政書士」という商標登録も済ませた。風営法、特に性風俗業界に特化した日本初の行政書士の誕生だった。髙村は語る。

「風俗といっても、大きく分けて2つあります。バーやスナック、キャバクラといった飲み屋さん系のものと、性風俗。前者の飲み屋系専門の行政書士はたくさんいますが、僕は後者の性風俗専門。この分野、性風俗アダルト業界に特化した専門行政書士は初めてのはずです」

その性風俗も多岐にわたる。店舗型と呼ばれるソープ、箱ヘルなどがあり、派遣型ではデリヘルなど業態は多種多様だ。それぞれに精通し、対応しなければならないのである。

加えて、近年、届け出が増えているのが、アダルト業界だと髙村は語る。

「かつてのAV、アダルトDVDではなく、いわゆる素人の個人が、自ら撮影してネット上で配信する形のものです。これは『映像送信型性風俗特殊営業』というのですが、これにも風営法上の届け出が必要なんです。ものすごく増えています」

たとえば、「ファンティア(Fantia)」というサイトがある。漫画や小説、音楽、映像作品など、さまざまな表現活動をしている人が活用している“クリエイター支援プラットフォーム”だ。

こういったサイト上で動画をアップし、月額制で課金すると見られるという仕組みである。いわゆる裏垢界隈で知られる人たちが、よく利用しているサイトである。

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