2026年のF1シーズン開幕を前に、大規模なスキャンダルは回避された。圧縮比の問題を巡り、メルセデスに対する抗議の可能性が取り沙汰された後、F1はまさに最悪のシナリオを回避する妥協案に達した。
先週、F1のパワーユニット(PU)マニュファクチャラーたちは、圧縮比の測定方法の変更に全会一致で賛成した。これまでエンジンの圧縮比は低温条件下でのみ測定されていたが、6月1日からは高温条件下でも測定が行なわれるようになる。2027年以降は、計測は130℃の作動条件下でのみ行なわれる。
「私には公平とは思えない」
スカイのポッドキャスト『Backstage Boxengasse』に出演した元F1ドライバーのラルフ・シューマッハーはそう語った。この変更により、メルセデスはアドバンテージを失うと見られているからだ。
そもそも、メルセデスは物議を醸しているPUを、FIAに合法性の確認をしながら開発。従来の測定方法では規則を守りながらも、マシンが走行している高温条件で圧縮比を上げるソリューションを見出したとされている。
「こうしたアイデアを思いつくのは素晴らしい」とシューマッハーは強調する。
「本来なら他チームにも改良の機会が与えられるべきだ」
「F1の平和のためには適応する方が良い」とシューマッハーも認める一方、特に「独自のソリューションに資金も投入した」ことを踏まえ、メルセデスにとって「当然ながら最善の妥協案ではない」と強調した。
FIAが他チームにエンジン改良を許可すれば、莫大なコストが発生する可能性がある。だからこそ、メルセデスが歩み寄ったことをシューマッハーは評価した。
「メルセデスがこの道程を共に歩んでくれるのは喜ばしい。チームにとって、この妥協は少し残念だろう」
「例えばフェラーリにも、スタートに関して同じようなことが起こった、彼らは『よし、全員のブースト圧を確保するために5秒の猶予を与えよう』と言ったのだ。別の方法もあるのに」
「それは(F1における)団結を示している」
「彼(メルセデスのトト・ウルフ代表)も、全体的な状況が個人の利益よりも重要であることをよく理解していると思う」
フェラーリは、新規則下におけるスタートが難しくなることを想定し、ターボチャージャーを小型にし、ターボラグを減らして蹴り出しを良くしようとしていた。
しかし議論の結果、スタートライトの点灯前に5秒の待機時間が与えられることになり、フェラーリの対策は空振りとなった。
新時代に向けて各チームが用意していた”隠しダマ”が、いくつか事前に対策された形だが、それでも物議を醸していた問題はおおよそクリアして開幕を迎えることができそうだ。

