
J1百年構想リーグ序盤戦の“明と暗”。東京Vは決定力向上で好発進。福岡は“ハマらない時”の耐え方も共有していきたい
EASTとWESTに分ける形式で行なわれているJ1百年構想リーグ。降格がなく、2026−27シーズンに向けた強化期間という位置付けもあるなかで、序盤戦で“明と暗”が出てきている。
ハーフシーズンはレースで例えるなら短距離戦のようなもの。スタートダッシュのアドバンテージは大きい。言い換えれば、序盤戦で出遅れてしまったチームは挽回が難しくなりそうだ。
EASTでは昨年J1王者の鹿島が勝点10で、堂々の首位に立っている。開幕戦ではFC東京にPK戦負けで勝点1にとどまったが、そこから3連勝。前半戦の大一番となったアウェーの浦和戦では、早い時間帯に2点をリードされながらも、前半のうちにPKで1点を返し、チームの強みとなっているセットプレーで得点し、3-2の逆転勝利に持ち込んだ。
鬼木達監督は2点のビハインドでも、選手たちが落ち着いてゲームを進めたこと、キャプテンの柴崎岳、決勝点を記録したチャヴリッチら交代選手の活躍を勝因に挙げた。
一つひとつの試合を振り返ると、決して圧倒的な強さを見せているわけではないことは、昨シーズンと変わらない。しかし、攻撃面ではビルドアップのチャレンジ、22歳のDF溝口修平や大卒ルーキー林晴己の積極的な起用など、チームの進化を促す要素も入れながら、効果的な選手交代も含めて、勝負をモノにするという鬼木監督の手腕が良い方に表われている。
昨年からメンバーの入れ替わりがほとんどない構成だが、若手の成長に加えて、長期離脱から復帰した選手の奮起が、ここからの鍵になってきそうだ。
ここまで勝点9の町田も、ポジティブに評価できる点が多い。EASTでは唯一、ACLエリートと並行しながら、リーグの4試合すべては、ワンプレーで結果が変わってもおかしくない試合内容だった。
それでもキャプテンの昌子源と怪我から復帰した岡村大八を中心に粘り強い守備を見せて、攻撃では4得点のエリキや3得点の相馬勇紀が決定力を発揮している。ボランチのネタ・ラヴィを含めて、中軸を担う選手は明確だ。
それでもACLとの過密日程を戦うなかで、チーム全体としてタフになってきていることが、残りシーズンで良い方に向いていけばEAST首位、さらには優勝も十分に期待できる。
鹿島と町田に関しては言わば順当という序盤戦の成績で、東京Vのスタートダッシュは話題性があるトピックの1つだ。3勝(1PK戦勝ち)1敗の勝点8で3位につけている。
昨シーズンは徹底した堅守をベースに粘り強く勝点を積み上げたが、得点はリーグ最少の23だった。それがここまでの4試合で、町田と並ぶトップの9得点を記録している。ただし、シュート数は4試合で22本と決して多くはなく、チャンスを高い確率で仕留めていることが、結果に表われている。
3-1で勝利した水戸との開幕戦を除くと、すべて後半に得点を記録しているのは、相手の隙をうまく突いていること、途中出場で2得点の吉田泰授など、交代策の成功もあるだろう。
ただし、開幕3連敗だった横浜F・マリノスに2-3で敗れたゲームでは、守備面で脆さが出てしまった結果であり、城福浩監督も前半の終わりや後半立ち上がりの緩みを厳しく指摘していた。次節は7日に首位の鹿島と敵地で戦うが、ここ試金石になってきそうだ。
序盤戦で大きく躓いてしまったのは柏だ。昨シーズンは鹿島と最終節まで優勝を争っており、ハーフシーズンとはいえタイトル獲得にかける思いは強く感じられた。
ACLエリートの出場権も“仮の状態”で、この百年構想リーグを優勝してアジアへというのは、リカルド・ロドリゲス監督をはじめとしたチームの合言葉だ。
しかし、川崎との開幕戦は25分までにエリソンにハットトリックを許し、反撃も及ばず3-5で敗れると、東京V戦、鹿島戦も黒星でずるずる3連敗を喫してしまった。
不調の理由は少なくない怪我人が挙げられるが、スタイルは昨年と同じでも、全体の強度に物足りなさがあったのは、4節・FC東京戦(2-0)でスタメン復帰し、1得点で勝利に貢献した垣田裕暉も指摘するところだ。
3連敗の期間はSNSなどで色々とネガティブな声も見られたが、チームがブレることなく自分たちのスタイルを継続しながら、クオリティを高めていくことが大事になる。もちろん対戦相手も“柏慣れ”している部分もあるが、そこを乗り越えていけるかがポイントだろう。
WESTでは、いわゆる優勝候補が軒並み上位に顔を揃えている。
京都が勝点9で首位に立ち、広島と神戸が同じ勝点8で追う。昨季の上位陣が順当に勝点を伸ばしており、どこか1つが抜けるというよりは、最後までハイレベルな首位争いが展開されそうだ。
そこにイェンス・ヴィッシング新監督が率いるG大阪が、同様に勝点8で4位につけているのは今後の伸びしろも含めて、躍進への期待感がある。ACL2でも準々決勝まで進んでおり、ここから楽しみな要素の多いチームだ。
京都は開幕戦がいきなり優勝候補の神戸との大一番で、90分は1-1。惜しくもPK戦に敗れて勝点1となったが、吉田孝行新監督が率いる清水との第2節は逆にPK戦勝ち、そこから福岡に2-0で勝利すると、広島戦で2-1の劇的な逆転勝利を決めた。
正直、広島戦は相手の方がチャンスが多く、どちらに転んでもおかしくない試合内容だったが、持ち前の強度を90分落とさないという基準では、やはりJ1全体でもトップクラスの評価ができる。そこにエースのラファエル・エリアスの決定力が強烈なプラスアルファとなっていることは間違いない。
広島、神戸、G大阪に関しては、EASTの町田と同じく、ACLを戦いながら、この成績を出している事実は軽視できない。もちろん、リーグ戦に専念できるチームの方がアドバンテージはあるが、アジアでの戦いを通してチームがタフになっていくのはポジティブに捉えたい。
百年構想リーグはチャレンジのシーズンという見方もあるが、結果的にこれら3チームには、思い切った選手起用も求められてくる。それぞれ期待の若手選手を抱えるなかで、そうした選手の起用はこの大会だけでなく、26-27シーズンにもプラスになっていきそうだ。
昇格組の長崎はいきなり広島、神戸という優勝候補を相手に、2点差の敗戦で連敗を喫したが、名古屋には3-1の勝利。さらにC大阪を相手に、マテウス・ジェズスのゴールを守り切る形で競り勝ち、連勝を飾った。
1つの転機は、神戸戦の後半に3バックから4バックに変更したこと。名古屋戦では3バックに戻したが、強度もクオリティもJ2とは違うJ1の戦いにおいて、柔軟にシステムを選択していけるのは、長崎の強みになるかもしれない。
そこに名古屋戦で加入後初ゴールを決めたチアゴ・サンタナや、規格外のスピードを誇るノーマン・キャンベルがさらにフィットしてくれば、決め手という部分でも勝負していけるだろう。
10位の福岡に関しては、クラブ内の体制変更や突如の監督交代で、チームが難しい状況にあるのは明らか。見方を変えれば、このハーフシーズンで地盤を固めて、26-27シーズンの飛躍に繋げていくべき期間と割り切ることもできる。
塚原真也監督は、ハイプレスと中盤のコンパクトなブロックを組み合わせて、攻撃では持つところと素早く縦に運ぶところの目を揃えようとしているのは見て取れる。ただ、うまくハマる時とハマらない時のパフォーマンスに波があり、今のところハマらない時間の方が多い。
ハマる時間帯を増やしていくことに加え、ハマらない時の耐え方も共有していきたい。また、ここまで明確な得点限がないことも戦いを苦しくしているだけに、シャハブ・ザヘディはもちろん、欧州帰りのU-23日本代表FW道脇豊のブレイクにも期待したい。
取材・文●河治良幸
【画像】日向坂や乃木坂の人気メンバー、ゆうちゃみ、加護亜依ら豪華タレント陣が来場、Jリーグのスタジアムに華を添えるゲストを特集
【画像】Jリーガーが好きな女性タレントは?長澤まさみ、ガッキー、広瀬すずらを抑えての1位は…
【記事】「大谷翔平って何であんなに凄いの?」中村俊輔の素朴な疑問。指導者としてスーパースター育成にも思考を巡らせる
