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一生懸命なのに算数が苦手な子供がいるのはなぜか? スタンフォード大が見つけた「脳のクセ」

一生懸命なのに算数が苦手な子供がいるのはなぜか? スタンフォード大が見つけた「脳のクセ」

一生懸命なのに算数が苦手な子供がいるのはなぜか? スタンフォード大が見つけた「脳のクセ」
一生懸命なのに算数が苦手な子供がいるのはなぜか? スタンフォード大が見つけた「脳のクセ」 / Credit:Canva

アメリカのスタンフォード大学(Stanford University)で行われた研究によって、算数が苦手な子どもには、問題にあたる時の頭の動かし方と脳の働き方が違う可能性が示されました。

研究では事前の勉強や努力とは縁遠い「どちらの数が大きいか当てるゲーム」が様々な難易度で行われており、算数が苦手な子に共通した行動パターンと脳活動パターンが発見されたのです。

これまで算数の成績の悪さ、とくに小学校2~3レベルの算数は「努力の問題」「勉強したかしないかの問題」と言われがちでしたが、今回の研究ではそのような常識を疑わせる結果となりました。

研究内容の詳細は2026年2月9日に『Journal of Neuroscience』にて発表されました。

目次

  • 7人に1人とも言われる「算数のつまずき」
  • 超簡単な問題から見えてきた「算数が苦手な子」の性質
  • 算数が苦手な子供の本質に切り込む

7人に1人とも言われる「算数のつまずき」

7人に1人とも言われる「算数のつまずき」
7人に1人とも言われる「算数のつまずき」 / Credit:Canva

教室を見回すと、同じ授業を受け、同じ宿題をこなしていても、算数のテストになると毎回高得点をとる子と、頑張っているのになかなか点が伸びない子がいます。後者の子は、自分なりに真剣に取り組んでいるのに、「どうして自分だけできないのだろう」と感じてしまいやすいです。

しかし過去に行われた調査では、算数や数学の学びに特有のつまずきをもつ子どもは、学校に通う子どもの4〜14%ほどと推定されています。

これは最大で約7人に1人の割合であり、単純に世界人口に換算すれば膨大な数に及びます。

そうなると自然に疑問が浮かびます。

もしこの数値が正しいなら、算数でのつまづきは単に子供の「一生懸命さの不足」や「努力不足」で説明がつくものなのでしょうか?

もしそうなら「努力しているのに算数でつまづく」という人は理論上いない優しい世界になるはずです。

しかし現実は違います。

過去に報告された調査には、算数につまづく生徒の中には、大きな努力を払っているにもかかわらず、5+7=12などのたし算や4×6=24 などの掛け算の技術習得に長年苦労し続ける例や、いつまでも指を数えたり、紙に点を打ったりして計算し続けている子供がいるとされています。

また興味深いことに、算数が苦手な子供のIQは必ずしも低いわけではないという研究結果も報告されています。

ただ既存の研究は、計算問題の正解率などが重視されており、「まちがえたあとの立て直し方」や「問題のむずかしさに応じた慎重さの調整」といった部分は見過ごされがちになっていました。

そこで今回の研究チームは、これまでの研究ではあまり注目されてこなかった心の中のプロセスにも切り込むとともに、脳回路レベルでの違いも調べることにしました。

もしこれらに共通点があるなら、算数の成績が振るわない理由をより深く知ることができるはずです。

超簡単な問題から見えてきた「算数が苦手な子」の性質

超簡単な問題から見えてきた「算数が苦手な子」の性質
超簡単な問題から見えてきた「算数が苦手な子」の性質 / Credit:Canva

研究ではまず子供たちの中から算数が苦手なグループの特定が行われました。

具体的には計算問題の正確性と速度を確かめるテストをしてもらい、下位25%を算数が苦手なグループとし、それ以外を算数が比較的できるグループとしました。

あまりにも分け方が雑だと思う人がいるかもしれませんが、今回の研究は数学が「苦手な子供たち」に焦点をあてており、調査を行うには「苦手な子 VS 苦手ではない子」と分類するのが理にかなっているのです。

次に両方のグループの脳活動をfMRI(脳の働きを画像で見る検査)で調べながら「どちらの数が大きいか当てるゲーム」をしてもらい、そのときの正解・不正解と反応時間から、「どれくらい慎重に考えているか」「まちがえたあとにどれだけ行動を変えているか」といった行動パターンを調べました。

「どちらの数が大きいか当てるゲーム」は簡単なレベルでは

「2」と「7」

「●●」と「●●●●」

などが表示され、子どもたちはどちらが大きいかを答えます。

しかし難しいレベルになると比べる対象が

「6」と「7」

「●●●●●●●●●●●」と「●●●●●●●●●●●●」

のように、両者の差がとても狭くなります。

それでも、このゲームの正解率そのものは、算数が苦手なグループとそうでないグループで大きくは変わりませんでした。

「いやいや、小学生で「6 と 7」や「丸の多さが」がわからない子なんていないでしょ?」と思うかもしれません。

もちろん、ふつうのテストで「6 と 7のどっちが大きい?」や「丸の数はどっちが多い?」と聞かれて、いつまでも迷う小学生はほとんどいません。

でも今回のゲームでは、数字が一瞬だけ表示され、すぐにボタンで答えなければならないような“スピード勝負”の条件になっています。

さらに問題は連続して出され、わざと簡単な問題と難しい問題が混ざるように設計されています。

結果、正解率そのものは算数が苦手な子とそうでない子で大きな差はなかったものの、細かな中身にはっきりとした差がみえてきました。

たとえば算数が苦手ではないグループの子供たちは、数字の問題がむずかしくなると自然とスピードを落とし、「少し慎重に考えよう」というモードに切り替えていました。

また、一度まちがえた直後の数字の問題では、さらにゆっくり目に正解を選ぶようになっていました。

ところが、苦手な子どもたちは、数字の問題がむずかしくなっても、またミスをしたあとでも、あまりペースを変えずに答え続けることが多かったのです。

(※点の集まりで比べる問題では、こうしたの差はほとんど目立たず、数字の問題だけでみられた違いです)

こういうと「やっぱり、やる気の問題だったのでは?」あるいは「算数が苦手な子はやる気もなくて適当に答えただけでは?」と思うかもしれません。

しかし算数が苦手な子が何事にもやる気がないだけならば、「苦手な子 VS 苦手ではない子」でほとんど平均点が変わらないという結果は矛盾してしまいます。

そこで次に研究者たちは「慎重さ」と「まちがえた後」の行動パターンの変化を、数理モデル(反応のクセを数字で分けて見る計算)を組み立てて、「苦手な子 VS 苦手ではない子」の違いをとくに数字の問題で詳しく調べました。

すると算数が苦手な子では、この慎重さとミス後の立て直しの設定値が、得意な子よりも低い傾向が示されました。

研究者たちもこの点について「数学が苦手な子どもは、問題を間違えた後に戦略を変える可能性が低いことが分かりました。たとえ間違いの種類が異なっていても、それに応じて思考を更新する傾向が見られませんでした。行動を調整することが難しいというこの傾向が、通常の数学能力を持つ子どもと数学学習に課題のある子どもの重要な違いでした。」と表現しています。

さらに脳画像の結果から、数字の問題を解いているときに、実行機能を支える中前頭回の活動の低下が「慎重さの不足」と関連し、ミスに気づいて行動を見直す前部帯状皮質の活動の低下が「ミス後の立て直しの弱さ」と関連している可能性が示されました。

しかし、なぜ数学の問題で苦手な子とそうでない子の差が顕在化したのでしょうか?

配信元: ナゾロジー

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