巨人の泉口友汰が、シーズン最終戦で圧巻のパフォーマンスを披露した。2打数2安打2四球の4打席全出塁をマークし、打率を3割に乗せると同時に、出塁率を3割6分2厘1毛まで引き上げた。これにより、3割6分1厘5毛の広島・小園海斗を抜いて、リーグトップに立った。
6回の打席で四球を選んだ瞬間、一塁側ベンチのナインは一斉に両手を突き上げ、本人以上に喜びを爆発させた。代走・石塚裕惺が送られてベンチに戻った泉口をチームメートが笑顔で迎える姿は、最終戦のハイライトとなった。
ただ、打撃タイトル争いはこれで終わらない。広島はまだヤクルトと2試合を残しており、小園が出場するかどうかが最大の焦点となる。
小園は9月23日の巨人戦を最後に出場を見合わせているが、これは「首位打者」を狙うための新井貴浩監督の方針とみられる。すでに打率は3割6厘でトップに立っており、規定打席をクリアしているため、欠場したままでも他選手が上回らない限り、タイトルが確定する。
問題は「最高出塁率」のタイトルだ。泉口を超えるには、小園は残り試合での出塁が必須となる。計算上、1打席で一度出塁すれば逆転可能だが、2打席で1出塁では届かない。4打席以内に2出塁、7打席以内に3出塁が最低条件となる。つまり、出場すれば初回から数字が動く、極めて緊迫した状況なのだ。出塁率の算定では、凡退や犠飛を重ねると不利になる点が、小園にとっては悩ましい。
さらに阪神の大山悠輔も出塁率3割6厘で3位につけており、2日の阪神最終戦の結果次第では、争いに絡んでくる可能性を残す。セ・リーグの最高出塁率は泉口・小園・大山の三つ巴の戦いとして、最終盤までもつれそうである。
小園が当初の目標に掲げていた「三冠」はすでに難しい。「最多安打」は159本で、中日の岡林勇希(168本)と9本差。残り2試合で9安打は現実的ではない。小園の狙いは首位打者と最高出塁率の二冠に絞られるというわけだ。
小園は自身のインスタグラム・ストーリーズで「小園無双」と書かれた色紙の写真を投稿し、「がんばるぞー!」と意気込みを見せている。泉口が最終戦で鮮烈な存在感を示したが、小園が残り2試合でどこまで勝負強さを発揮できるのか。そして大山の動向も…。最後の瞬間まで目が離せないのである。
(ケン高田)

