最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
脳トレ四択クイズ | Merkystyle
【対談連載】銀登美 店主 高橋哲久

【対談連載】銀登美 店主 高橋哲久

●こぼれ話


 ショッピングや食事を楽しむにはまだ少し早い午前中の銀座。街全体がまだまだ寝ぼけた様子で、静かな時間が流れる中、仕入れ業者のきびきびとした動きが映える。「仕事、仕事」と自分に言い聞かせながら、キョロキョロとおいしそうなお店をチェック。もちろんお値段も。
 今回の対談は、高級寿司店「銀登美」店主の高橋哲久さん。周囲に早いと言われながらも35歳で銀座にお店を持ち、自分の味で勝負してきた強者だ。高級寿司店になじみがなさ過ぎるあまり、必要以上に背筋をピンと伸ばして、いざ入店。美しいヒノキの一枚板が存在感と光を放つ。そのカウンターの中から、穏やかな表情で出迎えてくれた高橋さん。すっとした立ち姿は、一本の強い柱が通っているよう。お店と高橋さんの雰囲気がとても合っている。
 気さくにいろいろとお話してくださるので、「厳しそうな方でなくて良かったです」と思わず私の心の声がポロリ。しゃんとした世界観がありながらも、心地よく緊張せずにお寿司を楽しめそうだ。そう思わせてくれるのも、お話の内容、人に与える印象、内装が持つ力、全てを含めて場をしっかりデザインしておられるからだと分かる。
 職人の世界は、暗黙知に依存する領域が大きいのではないかと想像している。形式化することで、抜け落ちる何かがあるような気がしている。例えば、道具から伝わる音で状態を察する力、空気や湿度で変わる感覚、お客様とのリズムなどがそうではないだろうか。修業という「時間」がそれを埋めてくれるのだとしたら、若くして店主となり、継続してきた高橋さんはやはり特別な努力家だ。
 お寿司は華道や茶道など、「道」が付く世界と似ている部分があるように思う。伝統や世界観、そして精神性も魅力で、それを次世代につないでいくことはとても大切なことだ。きっと先人たちがやってきたからこそ、私たちはおいしいお寿司の世界を知ることができている。利益率や効率性を思えば、おそらく高橋さんお一人で切り盛りしたほうが良いかもしれない。しかし、高橋さんは人を残したいとおっしゃられた。
 多様な価値観と選択肢が広がる今、暗黙知の多い世界を伝え残していくのは苦労も多いだろうが、高橋さんの挑戦に大いに期待したい。心意気にあっぱれ。(奥田芳恵)
心に響く人生の匠たち
 「千人回峰」というタイトルは、比叡山の峰々を千日かけて駆け巡り、悟りを開く天台宗の荒行「千日回峰」から拝借したものです。千人の方々とお会いして、その哲学・行動の深淵に触れたいと願い、この連載を続けています。
 「人ありて我あり」は、私の座右の銘です。人は夢と希望がある限り、前に進むことができると考えています。中学生の頃から私を捕らえて放さないテーマ「人とはなんぞや」を掲げながら「千人回峰」に臨み、千通りの「人とはなんぞや」がみえたとき、「人ありて我あり」の「人」が私のなかでさらに昇華されるのではないか、と考えています。
奥田喜久男(週刊BCN 創刊編集長)
<1000分の第388回(下)>
※編注:文中に登場する企業名は敬称を省略しました。
配信元: BCN+R

提供元

プロフィール画像

BCN+R

BCN+Rは、世の中のリアルを速く、正しく伝えるニュースサイトです。デジタル家電、グルメ、マネー、ヘルスケア、ライフスタイルの最新トレンドを発信し、デジタルで便利な暮らしを応援するメディアです。

あなたにおすすめ