ほぼワンオペ育児に対する疑問と不満
次に貴子さんから話を聞きました。
「ご主人が実家に行きたがらない事の他に、困っている事はありますか?」
貴子さんは「あります」と即答し、
「もっと育児を手伝って欲しいです。とにかく毎晩帰りが遅いし、朝も起きてくれないし。私もフルタイムで働いているので、協力してくれないと」
と言いました。繁さんの話の内容と一致します。
「ただ、今転職したばかりで頑張りどころだそうですが」
私が言うと、貴子さんは「分かってます」と言い、続けました。
「でも、夜遅くなるなら朝起きて手伝うとか。仕事も、そんなに遅くなる必要があるのか、私には分からないです。どうしてもって頼んだ時くらい、早く帰って来て欲しいのに、LINEも既読にならない事が多いですし、なっても返事もないですし」
その点は、うまく話し合えていないのかもしれません。
「お休みの日は出来る限り手伝っている、と繁さんは言っていましたが」
「でも、休みの日もなかなか起きなくて、子どもの習い事に遅刻してしまうんです。夫は多少の遅刻は別にいいだろうって言いますけど、お教室にも迷惑をかけてしまうし」
手伝ってはくれるけれど、貴子さんが満足できるレベルではない。夫婦間で起こりがちなすれ違いと言えます。
「夫婦喧嘩の後、貴子さんが実家に帰ったり、お母さんに電話するのを、繁さんは気にしているようでしたが」
私が言うと、貴子さんは「それは」と口を開きます。
「夫の顔を見たくなくなったりしますし。それに、誰かに愚痴を聞いて欲しいじゃないですか。だから母に話を聞いてもらうんです。母には昔からなんでも話していましたし」
なるほど。貴子さんとお母さんは心理的距離が近いようです。
「お父さんの繁さんへの発言は、どう思われますか?」
私が尋ねると、貴子さんは言います。
「あれは……父が悪かったと私も思います。ただ、父は少し変わっているというか。サラリーマン経験がないせいか、非常識な所があって。私が『やめて』と頼んでも気にしないんです。だから私も、夫と父の接触は極力少なく、とは思っています。でもせめて年に1度くらいは」
貴子さんも繁さんの気持ちは考えているようです。頻繁でなくてもいいから、年に1度。貴子さんの気持ちも分からなくはありません。照らし合わせのカウンセリングで、妥協点が見つかるでしょうか。
文/山脇由貴子
『夫婦はなぜ壊れるのか カウンセリングの現場で見た絶望と変化』 (幻冬舎新書)
山脇由貴子
2025/11/271,056円(税込)232ページISBN:978-4344987944夫への 妻への不平・不満は実はやり直しの鍵
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