組織や環境が変わるだけで、人の評価は大きく変わる――。そんな問題意識から生まれたのが、生年月日を起点に統計解析とAIで人物傾向を推定するHRテック「ETOGRAM」だ。開発を手がけたアストロメディアの永尾洋輔社長は、これまで延べ9000人以上の相談に向き合う中で、「能力があるのに環境が合わず離職する」ケースを数多く見てきたという。採用や配置、育成の精度向上を目指す新たな試みについて聞いた。
人は「環境」によって輝き方が変わる
永尾氏は、人には環境次第で力を発揮しやすい場面もあれば、逆に実力を出しにくい場面もあるとみる。そうした考え方のもとで開発しているのがETOGRAMだ。統計解析とAIを用い、生年月日という変わらない情報を起点に、「強みが出る場面」「崩れやすい場面」「意思決定の癖」「対人コミュニケーションの特徴」を言語化する仕組みという。
企業向けには、採用、配置、育成、定着、リスク予防までを一気通貫で支援するHRテックとして展開を見込む。具体的には、面接設計における深掘り質問例、配属や上司との相性、チーム編成、1on1や評価面談の観点、オンボーディング時の注意点などを提示する。提供開始は2026年春ごろを予定している。2025年度の東京都経営革新計画の認定も受けた。
5万5000人超のデータから「強み」と「リスク」を探る
ETOGRAMは、5万5000人以上の生年月日を起点に、職業や行動様式に関するデータを統計解析し、AIを組み合わせて人物傾向を推定するシステムだ。永尾氏は「採用・配置・育成で使える『扱い方の地図』を示すサービス」と説明する。
特徴の1つが、人の本質を「ライトサイド」と「ダークサイド」の両面から捉えようとする点だ。ライトサイドは、環境が整ったときに伸びやすい強みや得意領域、周囲に与える良い影響を指す。一方のダークサイドは、疲労やプレッシャー、権限がかかった際に出やすい盲点や衝突のパターン、判断ミスの癖を意味する。
自己申告に左右されにくい視点として活用し、面接時の質問設計やオンボーディング、上司と部下の接し方などに落とし込む構想だ。永尾氏は、スタッフの癖や考え方を把握することで、コンプライアンス違反の未然防止にもつなげたい考えを示す。もっとも、個人を断定的に捉えるのではなく、傾向を理解することで、組織の中での活躍の仕方やトラブルの予防策まで提示することを目指すとしている。


