なぜ生年月日なのか 自己申告に依存しない人物推定へ
永尾氏がこうした仕組みを構想した背景には、自身の経験がある。本人によれば、同じ努力をしていても、所属する組織や業界が変わることで評価が一変する場面を経験し、人は努力だけでなく環境に大きく左右されるという理不尽さを感じたという。
その後、8年間で延べ9000人を超える個別相談に向き合う中で、「能力はあるのに人間関係でつまずく」「環境が合わず急に燃え尽きる」といった、いわば“もったいない離脱”を数多く見てきた。一方で企業の人事判断は、面接時の印象や自己申告に寄りがちで、配属後のミスマッチや早期離職、トラブル対応によって現場が疲弊するケースも少なくないという。
そこで着目したのが、変えられない出生情報だった。生年月日を起点に、先入観を抑えた統計的な人物推定ができれば、採用と定着の精度を高められるのではないか――。そうした発想からETOGRAMの開発を始めたとしている。
「能力があるのに辞める」背景にある設計ミス
永尾氏は、定着しない理由の多くは能力不足ではなく、役割期待や裁量、評価軸、上司との相性といった「設計ミス」にあるとみる。ETOGRAMでは、候補者や社員が力を発揮しやすい条件と、つまずきやすい条件を整理したうえで、採用時には面接での見極めポイントや質問例を示す。
さらに配属時には向いている役割や業務スタイル、相性の出やすい上司像を提示し、運用時にはオンボーディング、1on1、評価面談での伝え方まで支援する。再配置の場面では、配置転換やチーム編成の判断材料としての活用も想定する。加えて、将来的にトラブルにつながる可能性がある条件や想定される事案まで整理し、個人と組織のかみ合わせを事前に調整することで、持続可能な組織と人材のマッチングを目指す考えだ。

