岡山国際サーキットで行なわれたスーパーGT公式テストの初日。元F1ドライバーのダニール・クビアトが、JLOCのランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO2で初走行を行なった。
彼にとっては、GT3規格の車両に乗るのも初めて。F1を離れた後も主にLMP2やLMDhなどのプロトタイプ車両に乗っており、いわゆる“箱車”はNASCAR車両くらいしか経験がない。そんな中でクビアトは今回のテストで様々な習熟を行ない、午後のGT300専有走行でのアタックはクラス14番手のタイムで終えた。
走行を振り返り、クビアトは次のように語った。
「岡山は初めてだし、GTカー、GT3カーでの本格的なテストという意味でも初めての経験だった。プロセスをたくさん踏まないといけなかった中で、2セッションあったのは良かった」
「最初のセッションは、とにかくコースを覚えること。ブレーキングポイントを確認したり、初めてのサーキットに来たときにやるような基本的なことをやった。2回目のセッションでは、もう少しドライビングやクルマについて探っていく感じだった。もちろんラップを重ねるごとにクルマやコースにも慣れていったし、この段階としてはとてもポジティブで良い感触だ」
GT3車両はクビアトが長年乗ってきたフォーミュラカーとは様々な点で違いがある。ABSやトラクションコントロールなどの電子制御が入っており、それをうまく使いこなす必要がある。さらに車両の重量も重く、違ったドライビングスタイルを求められるのだ。
「全てが僕にとっては新しい経験だ」とクビアトは言う。
「速さを見せるにはそれらの仕組みをしっかり理解しないといけない。それらを学ぶには長い道のりがあると思うし、ラップを重ねるたびに新しい発見があるけど、チームメイトも経験豊富だから助かっている。彼らが何をしているのか知れるのは間違いなくプラスになるよ」
前述の通りテストでは14番手タイムだったクビアトだが、現段階ではタイムを気にしているわけではないとのこと。今シーズンの目標についても特に設定せず、できる限り適応して最大限の結果を残したいと語った。
クビアトは適応力には自信があるようだが、適応という点で印象的だったのは、初めて日本のレースに参加するとは思えないほど馴染んでいること。今季彼のチームメイトとなるGT500&GT300チャンピオン経験者、小暮卓史も、想像以上にリラックスしていて尚且つ紳士的なクビアトの人間性に好印象を抱いている。
公式中継のインタビューでも、「クルマ、イイデス」「アリガトウ、ジャア、マタ」など日本語もたくさん披露するなどサービス満点。セッション後の囲み取材の際も、開口一番「クソサムイ」と一体どこで覚えたのか分からない日本語で取材陣を驚かせた。
「チームメイトたちから教わったんだ!」とクビアトは笑顔を見せる。
「今朝はとても寒かったから、彼らに尋ねたんだ。あとはDuolingo(語学学習アプリ)もちょっとやった(笑)」
■スーパーフォーミュラ参戦の可能性は?
クビアトと言えば、これまでスーパーフォーミュラ参戦の可能性が何度か取り沙汰されながらも、実現には至らなかった。スーパーGT参戦が叶った今もスーパーフォーミュラを目標としているのかと尋ねると、今はJLOCでのプログラムに集中しているとして、やや明言を避ける形でコメントした。
「今年は当然、JLOCと共にGT300でベストを尽くすことが目標だ」
「チームの皆さんはすごく良くしてくれていて、僕はここでベストを尽くしたい。その先は、将来どんな道が開けるかを見ていくことになる」
「とはいえ、日本のレース文化やサーキットに慣れるという点でも、これはポジティブな機会だと思っている。スーパーフォーミュラやスーパーGTは色んな要因に左右されるし、誰が乗るかを決めるキーパーソンも存在する。そういう点でも違った世界だ」
「僕はここにランボルギーニのファクトリードライバーとして来ている。来年以降どんな扉が開くのかは、これからの話だね」

