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「難関大学」を回避する/させられる女子たち…男子は浪人を選ぶのに、女子はランクを下げる傾向となる頑固なジェンダートラック

「難関大学」を回避する/させられる女子たち…男子は浪人を選ぶのに、女子はランクを下げる傾向となる頑固なジェンダートラック

ある調査によると、全国の国立大学における男女比は、おおよそ6:4(6が男子)だが、難関大学になるにつれ、その女性比率は下がっていくという。さらに「浪人する」という選択肢が女子には少ないことも判明している。

本記事では書籍『なぜ「地方女子」は呪縛になるのか』より一部を抜粋・再構成し、難関高校に通う女子が男子に比べて「浪人する」という選択ができない背景、そして女性を特定の職業へといざなっていくジェンダー・トラックを解説する。

「難関大学」を回避する/させられる女子たち

大学進学率については年々男女差が縮まっているが、「どの大学へ進学するのか?」については、依然として男女差が根強く存在している。表2は、入試選抜度が高いと言われている「難関国立大学」の学部学生に占める女子の割合を示している。

国立大学全体でも女子学生は4割に満たないが、「難関国立大学」になると、その割合はさらに低くなることがわかる。この点について、二つの研究から詳しくみていこう。

その名もずばり「難関大に進学する女子はなぜ少ないのか」を著した教育社会学者の伊佐夏実によると、「難関高校」から「難関大学(偏差値60以上)」へ進学する割合は、男子が53.8%なのに対し、女子は37.6%と大きな差がある。

「学力偏差値」が高い高校出身であれば「難関大学」へ進学するトラックに乗る傾向にあるが、それだけでは説明できない男女分化が生じている。

この背景の一つに、(合格保証のない)浪人を選択してでも「難関大学」へチャレンジするかどうか、が存在している。

表3は、高校の偏差値、保護者の社会経済的背景、在住地域における浪人割合を男女ごとに示したものである。

「難関高校」は業績主義的競争に乗りやすいこと、追加の教育費を捻出する経済的余裕や教育投資へ意欲のある家庭であること、予備校などへのアクセスに恵まれた都市部に暮らすことが浪人の選択に影響を与えているという。

「難関高校」であれば、先輩やクラスメートが浪人を選択することを見聞きすることで、浪人への抵抗が薄まることは誰しも想像できるだろう。ただし、こうした傾向がより強いのは、男子である。

興味深いことに、女子は都市度による影響がみられない。浪人してでも「難関大学」への進学を目指す際、在住地域の「壁」が存在するのは男子であり、女子は浪人すること自体に「壁」が存在している可能性がある。

「下降移動組」

こうした「難関大学」への進学可能性をもっていたにもかかわらず、進学しなかった(できなかった)者たちを伊佐は「下降移動組」と名付け、誰が下降移動するのかを明らかにしている。

簡潔に述べるならば、男子と比べて女子の方が下降移動しやすい。先述した浪人のように、家庭の社会経済的背景や学習意欲が高いほど、三大都市圏に居住している場合、「難関大学」へ進学する傾向にあり、この傾向そのものについては男女差がみられない。ところが、そうした傾向とは関係なく下降移動する者が、女子にだけみられるという。

なぜ、女子は「難関大学」を回避してしまうのか。資格取得、職業教育の重視が背景にある、と伊佐は指摘する。

下降移動組の女子の13.8%が看護師、薬剤師、医療技術者といった医療職、8.6%が教職を高校2年生時点で希望する職種に挙げており、四年制の医療系学部と六年制薬学部、教職系学部へ実際に進学した下降移動組の女子は25.1%であった(男子は10.9%)。

医療・教職系学部は、「学力偏差値」が50〜59の大学に72.2%が位置づいており、「難関高校」からの進学としては下降移動へつながることになる*2

医療職・教職を女子が希望するのは、「将来の見通しが不透明」だからである。「難関高校」の女子の就業継続意識は、下降移動するかどうかにかかわらず、「結婚・子育てで仕事を中断するかもしれないが、基本的には一生働きたい」が5割、「働けなくなるまで一生仕事を続けたい」が1割程度となっており、キャリアの追求と向き合える(あるいは中断を気にしなくてよい)男子とは対照的に、キャリア継続へ向けた困難を想定しているという。

その中で実現可能性が高く、手堅いキャリアとして、医療職・教職が好まれている可能性を伊佐は指摘している。

この研究を通して、伊佐は次のように述べている。

難関高校出身女子のライフコース展望には、男子のほとんどが想定していない、「結婚や子育てによる仕事の中断」が織り込まれている。

そうしたなかで、ライフイベントの影響を受けてもなお雇用や賃金の面での安定性が確保され、仕事と家庭の両立が図れる特定の職業へ、なおかつそれは女性役割の面からみても「女性向き」とされる特定の職業へと女性をいざなっていくジェンダー・トラックは、維持されている。

1990年代に中西祐子が明らかにした女子特有の進路選択、ジェンダー・トラックは、現在も存在している*3

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