
ジェームズ・L・ブルックス監督が15年ぶりにメガホンをとった映画「エラ・マッケイ」が、3月4日に配信された。本作は信念と理想に燃える女性州知事が家庭と仕事の両立に奔走するヒューマンコメディー。世界的に女性リーダーが増える中、日本でも2025年に高市早苗氏が女性初の内閣総理大臣に就任したばかり。今回はただの政治ドラマではない、本作の見どころを送る。(ネタバレを含みます)
■「セックス・エデュケーション」のエマ・マッキーが女性州知事を熱演
本作は、主人公の若き女性政治家エラ・マッケイが新米州知事として難題の数々に向き合い、厳しい政界で奮闘していく姿を描いた物語。エラは、浮気性だが娘との関係性を修復したい父エディ・マッケイ(ウディ・ハレルソン)やエラを母のように見守る伯母のヘレン・マッケイ、そして夫のライアン(ジャック・ロウデン)などの身近な人間関係に振り回されながらも権力の中心に立つ女性として理想を掲げ、実現に向かってパワフルに突き進んでいく。
理想に燃える若き州知事のエラを演じるのは、ドラマ「セックス・エデュケーション」(2019年ほか)シリーズや映画「ナイル殺人事件」(2022年)で存在感を見せるエマ・マッキー。そんなエラを家族としてだけでなく同じ女性としてもエラを支える伯母のヘレンを映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(2022年)や映画「シャッフル・フライデー」(2025年)のジェイミー・リー・カーティスが好演している。
物語はエラが愛する母を何度も裏切り、浮気を辞めなかった父のエディと伯母ヘレンの働くパブで久しぶりに再会するところから始まる。副知事のエラは、州知事の地位を引き継ぎ、これまで以上に忙しい生活を送るようになり、劇中では山積みになっていたあらゆる問題に直面していく様子がテンポよく描かれていく。
妊婦の女性や幼児たちのサポートの他にもさまざまな公約を掲げ、実現に向け力を尽くしていく一方で、やっかいだけどどこか憎めないエディや弟のケイシー・マッケイ(スパイク・ファーン)らの家族問題に巻き込まれ、さらには肩書のある職種に就く妻との格差に悩む夫・ライアンとの夫婦関係にもヒビが入ってしまう。
ありとあらゆる問題が重なり、ついにエラは辞職に追い込まれてしまうのか――という仕事と家庭の間で揺れる州知事・エラの人生をユーモアたっぷりに描いた作品だ。
■たくましく生きる女性たちの姿に共感
監督・脚本は、アカデミー賞、エミー賞受賞歴を持ち、「愛と追憶の日々」「ブロードキャスト・ニュース」「恋愛小説家」など、女性キャラクターの描写にも定評のある名匠ジェームズ・L・ブルックス。
鑑賞するのに少しハードルが高いと思われがちな「政治」というテーマを扱いながらも、ブルックス監督の演出らしい俳優陣のコミカルな演技や女性キャラクターたちの生き生きとした姿、シリアスだけでなくコメディータッチの痛快さもあり、あっという間に見終えてしまった。中でもヘレンがエディを始めとする男性キャラクターに罵声を放つシーンには、思わず笑ってしまう。心がスカッと晴れる人も多いはず。
また、父と娘、伯母と姪、姉と弟、夫婦関係などの身近な家族間でそれぞれが葛藤し、もがく場面もリアルだ。「俺は変わった」と最後まで言い張る浮気性の父はともかく、各登場人物たちに寄り添いたくなる家族ドラマとしての面も存分に味わえるだろう。
妊婦支援や幼児ケアの制度改革など、現実の政治課題を思わせるテーマにも踏み込むが、「お堅い政治ドラマ」と肩肘張らずに見られるヒューマンドラマとなっている。
映画「エラ・マッケイ」はディズニープラスで独占配信中。
◆文=suzuki

