ライアン・クーグラーが描く「2026年の陰謀論」
かつての『X-ファイル』が描いたのは、影の政府、エリア51、組織的な隠蔽といった“90年代の闇”だった。しかし2026年の世界は、当時とは比べものにならないほど複雑だ。SNSによって真実は断片化し、AIはフェイク動画を量産し、誰もが監視し、監視される社会が当たり前になった。
クーグラー監督は、この混迷した時代において“何が未知の恐怖(X)なのか”を再定義しようとしている。かつてモルダーが懐中電灯で暗闇を切り裂いたように、クーグラーはスマホの画面越しに忍び寄る“現代の闇”に光を当てることになるだろう。
Huluが公開したログラインには、対照的な二人のFBI捜査官が、長らく封鎖されていた未解決現象の部署に配属されると記されている。これはまさに“現代版X-ファイル”の幕開けを予感させる。
モルダー&スカリー不在の壁……「継承」か「破壊」か
もちろん、不安もある。デヴィッド・ドゥカヴニーとジリアン・アンダーソンという“絶対的な二人”がいない『X-ファイル』を、果たしてファンは受け入れられるのか。
クーグラー監督は多様なキャストの起用を示唆しており、主演にはダニエル・デッドワイラーが決定した。これは現代的なアップデートだが、ファンが求めているのは外見の刷新ではない。
モルダーとスカリーが体現していた“孤独な探求心”や“科学と信仰の対立”、そして“真実に人生を賭ける覚悟”が、新しい主人公たちにどう受け継がれるのか。もし、かつての最終回で残された謎の断片が、新作のどこかにイースターエッグとして潜んでいたら――。そんな想像だけで、往年のファンの胸は高鳴る。
