大相撲春場所が3月8日に初日を迎えた。本来なら大関・安青錦の綱取り場所一色になるはずだったが、伊勢ケ浜親方(元横綱・照ノ富士)による弟子・伯乃富士への暴行問題が中心になっている。
休場説が浮上していた伯乃富士は「師匠(伊勢ケ浜親方)とやってきた相撲をやりきります」と出場を決意したことを明かしたが、先場所12日目の宇良戦で負傷した左母趾MTP側副靭帯損傷という問題がある。「約4週間の安静加療」という診断書を出しているが、また完治していない。
強行出場を決めた初日(欧勝馬戦)では同じ箇所(左足親指)を痛めたことを明かし、15日間の皆勤出場が怪しくなってきたところで、3月9日には休場となってしまった。
相撲協会では「加害者」である伊勢ケ浜親方の「春場所の休場」という暫定処分を決めた。相撲担当記者によれば、
「伊勢ケ浜親方の場所中の主な仕事は館内警備です。NHKが15日間、生中継をしますが、相撲解説に定評があった伊勢ケ浜親方は今場所もNHKゲスト解説候補の1人。そんな親方がテレビに映ったら、協会批判に拍車がかかりますから」
相撲協会ではコンプライアンス委員会が、今回の暴行騒動を調査中。場所中の他の親方衆にとっても、安青錦の綱取り以上に、
「伊勢ケ浜親方の処分が厳罰になるかどうかに注目しています」(相撲協会OB)
同じモンゴル勢の旧宮城野部屋力士による暴行案件では「部屋の閉鎖」を決めた。2020年7月にタクシーで居眠りをしていた弟子に対して暴行を働いた中川親方(元幕内・旭里)は「2階級降格(委員⇒年寄)+部屋閉鎖」という処分の末に、相撲協会を退職している。
協会が科した伊勢ケ浜親方の暫定処分は「部屋での弟子の指導は認める」というもの。この決定には親方衆の中から、
「白鵬(旧宮城野部屋)の時と比較しても甘すぎる」
という声が出ているのは言うまでもない。
(小田龍司)

