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プレミアリーグの「セットプレー」をめぐる論争が激化、各クラブ首脳も問題視! しかし英紙は「サッカーの魅力は失われていない」

プレミアリーグの「セットプレー」をめぐる論争が激化、各クラブ首脳も問題視! しかし英紙は「サッカーの魅力は失われていない」

プレミアリーグでは、近年増加傾向にあるセットプレーが、試合のクオリティーや見応えをめぐって議論を呼んでいる。首位争いを続けるアーセナルの得点源の多くがCKなどのボールデッドから生まれていることもあり、戦術としての有効性が評価される一方で、サッカー本来の魅力を損なうのではないかという批判も各方面から噴出している。
 
 こうした議論について、イギリスの日刊紙『The Guardian』は、「現代サッカーをめぐる不満や不安の象徴的なテーマのひとつになっている」と指摘。近年のサッカーを取り巻く雰囲気について「全国のテレビスタジオやポッドキャストでは、疲れたコメンテーターたちがマイクに向かって不満をぶちまけている」「SNS上では『もうサッカーは終わった。これはかつて愛したサッカーではない』といった声が飛び交い、『美しいゲームは壊れてしまった』といった嘆きが広がっている」と伝える。

 実際、現場やOBからも現代サッカーへの不満が聞かれ、リバプールのアルネ・スロット監督はセットプレーの重要性が増している現状について「自分のサッカーの心はそれを好まない」と率直な思いを語り、元イングランド代表DFジョン・テリーや元コートジボワール代表ヤヤ・トゥーレ、オランダの名手ルート・フリットなども、現在のサッカーの流れに違和感を示しているという。解説者のクリス・サットンは、もしアーセナルが優勝すれば「プレミアリーグ史上で最も醜い優勝チームになる」とまで言い切っている。

 同メディアは、セットプレーの増加について「CKの場面での本格的な取っ組み合い。ロングスローのためにタッチラインに置かれたタオル。セットプレーを蹴るまでに90秒も費やし、エバートンはキックオフ直後にラグビーのようにボールを高く蹴り上げる……」などと指摘し、アーセナルに対しては「チェルシー戦でCKから得点し、次にCKから失点し、さらにCKから得点する」という展開を象徴的に紹介した。

 この“流行”はデータ上でも明らかであり、今季プレミアリーグの得点のうち、PKを除けば、27.1%がセットプレーから生まれているという。これはリーグ関係者の間でも議論の対象となっているとのことで、「プレミアリーグ各クラブのスポーツディレクターたちは、セットプレーによる得点の多さやペナルティーエリア内でのホールディングについて協議を行なっている」と、同メディアは報じる。

 さらに、こうした議論には、「セットプレーが試合のスペクタクル性を損なっているのではないかという懸念が背景にある」ということで、同リーグの審判組織「PGMO」は、昨夏の協議を受けて今季からペナルティーエリア内でのホールディングの取り締まりを強化。その結果、「セットプレー時のホールディングによるPKは今季、昨季同時期の4回から9回に増加した」という。もっとも、競技規則上ではインプレーでない状況ではFKが与えられないため、とりわけCK前には押し合いや小競り合いが頻繁に起こる状況が依然として続いている。
  議論の中心にいるのはアーセナルで、ミケル・アルテタ監督率いるチームは22年ぶりのリーグ優勝を目指して首位争いを続けているが、「59得点のうち22得点がボールデッドの状況から生まれ、そのうち16得点がCKから」(同メディア)という数字が示す通り、セットプレーは大きな武器となっている。

  しかしその戦術は、対戦相手の監督からも批判の対象となっており、ブライトンのファビアン・ヒュルツェラー監督は、アーセナルがCKの準備に多くの時間を費やす点を問題視。アーセナルのCKの平均リスタート時間は「44.4秒でプレミアリーグ最長」ということで、アメリカ生まれのドイツ人指揮官は「時間制限」の導入を提案している。

 ちなみにデータ会社「Opta」の統計によると、今季のプレミアリーグの得点の18%がCKから生まれており、これは同リーグ史上最多であるという。さらに欧州5大リーグにおいても、同リーグはセットプレーからの得点割合が最も高く、これにセリエAが24%、ブンデスリーガが22%、ラ・リーガが19%、リーグ・アンが17%で続く。

もっとも『The Guardian』紙は、こうした不満の背景にはサッカーそのものだけでなく、社会全体の不安や変化がある可能性も指摘する。「数十年にわたってサッカーは大きく変化してきたが、ある年齢層の人々が『昔の方が良かった』と嘆き続けるという現象だけはほとんど変わっていない」とし、現代サッカーをめぐる議論の多くはノスタルジーや価値観の衝突とも結びついていると分析。その上で、「サッカーの魅力は依然として失われておらず、“退屈”も“美しさ”もまた選択肢のひとつである」と指摘している。

構成●THE DIGEST編集部

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配信元: THE DIGEST

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