いち早くWBC決勝ラウンド進出を決めた侍ジャパンに続き、最後の最後に2位通過となった韓国に、思わぬ騒動が勃発した。
それは3月9日の、韓国×オーストラリア戦。韓国が7-2で勝利したのだが、これに怒り心頭なのは、マイアミ行きを逃した台湾のファンだ。
いったいなぜか。それは準々決勝進出を決める「失点率」の差にあった。
9回表の韓国の攻撃。ここで1点を追加して7-2とし、準々決勝への進出条件を満たした。その直後、二死一塁で打席に立ったムン・ボギョンが、あっけなく3球三振したのである。
もしこの試合を8-3で韓国が勝利していれば、台湾が進出できたため「台湾を落とすための故意の三振だ」として、ムンのSNSに罵詈雑言が浴びせられることに。
スポーツジャーナリストは、
「他力本願とはいえ、自分たちの運命が他国の露骨なスコアコントロールで絶たれたとすれば、彼らが怒る気持ちは分かります」
そう同情の意を表しつつも、次のように言うのだ。
「故意三振であっても責められません。このゲームは『目の前の試合を普通に戦うこと』よりも『大会の突破条件の数字をクリアすること』だけを目的とした頭脳戦。8回には大差で負けているオーストラリアが、無死から送りバントで好機を作り、なんとか1点をもぎ取ったのですが、通常の試合なら、終盤の大量ビハインドでアウトを献上するバントなど、まずありえない。韓国だけでなくオーストラリアもまた、失点率の複雑な計算式と睨めっこし、マイアミ行きの条件を満たすためのプレーに徹していました」
その上で9回表の韓国の攻撃について、このスポーツジャーナリストは、
「仮に追加点を取っても、韓国チームが不利になる要素はありませんでした。『7-2』でも『8-2』でも、9回裏にオーストラリアを無失点に抑えることが、韓国が進出する絶対条件。9点以上取ればオーストラリアの突破を防げたため、相手の士気を下げる側面からも、得点を取るにこしたことはない。ここであっさりムンが三振した不可解さだけが、台湾の猛反発に繋がっているのでしょう」
選手もファンも混乱必至の進出ルールであった。
(川瀬大輔)

